SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記
“日々お茶日和*大工さん篇*/寺田 由”
茶の湯ひよっこ寺田です。
以前、駄話でもご紹介させていただきましたが、私の父は数奇屋大工の棟梁をしております。
幼い頃から金槌で釘を打ったり、ふかふかの木屑で遊ぶのが大好きで仕事場が遊び場でした。
ある日、企画室スタッフの李にオススメされた『竹中大工道具館』という博物館に行きました。
日本で唯一の大工道具の博物館だそうで、入館チケットも『鉋(かんな)』を模ったものです。
門をくぐってまず感激したのは、美しい丸みを帯びた曲線が特徴の『むくり屋根』と一直線に伸びる『軒(のき)』です。
そして、入口の自動ドアの扉は板をハツって模様を付けた『名栗(なぐり)仕上げ』。
これらは現代の建物では見かけることが少なくなりましたが、日本に昔からある伝統的な技法です。
館内は木材の香りに包まれ、実際に道具や木材に触れながら大工さんの世界を知ることができます。
中でも原寸大の『茶室模型』は圧倒的な存在感。
土壁を塗る前の竹を編んだ下地部分、柱と柱を組んだ部分、
『墨付け』といわれる大工さんが柱に付けた印など隅々まで見学することができます。
一見複雑そうに見えて、材料は昔から変わらず自然にあるもの。とてもシンプルです。
また、仕上げだけを美しくするのではなく、基礎の部分から丁寧な仕事をする日本人の美意識を感じました。
帰宅後さっそく父に話をしていると、取り出してきたのがこちら。
向こうが透けてしまうほど薄い『鉋屑(かんなくず)』。
刃物研ぎから始まる大工仕事、
鉋屑は手入れし抜いた自慢の道具で技術を磨いた職人のロマンなのかもしれません。