SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記
“寺の秋/中村 奈緒子”
朝夕に冬の気配が感じられる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
10月の晴天のある日、深まる秋を感じに、妙心寺の塔頭・退蔵院を訪れました。
如拙筆の国宝『瓢鮎図(ひょうねんず)』があることで有名なお寺です。
少し見にくいですが、瓢箪を持った男と、川を泳ぐナマズが描かれています。
この絵は、室町幕府の4代将軍・足利義持が、
「ただでさえぬるぬるして捕まえにくいナマズを、こともあろうに瓢箪で捕まえることができるか」という禅の公案(修行のための問題)を考え、そのテーマとなる絵を画僧の如拙に命じて描かせたもの。
上部の文字の部分は、公案に対する高僧たちの回答です。
この瓢鮎図にちなんで、退蔵院のそこかしこには、瓢箪やナマズのモチーフが。
お茶室でいただいた茶菓にも。
そして、瓢箪といえば、、
こちらの本の表紙も、ひょうたん。
時折ページをめくっては、季節の移り変わりを敏感に感じとる日本人の感性の細やかさ、
例句から浮かんでくる情景にしみじみ感動しています。
今月25日頃には、『俳句歳時記 冬』も発売されます。
表紙のテキスタイルデザインも含めて、今からとても楽しみです。
それでは最後に、ここで一句。
一服の 茶を喫すれば 紅葉かな
お茶室から眺めた、名庭「余香苑」の紅葉がすこし色づいていました。
そのまんまですが。。
豊かな季語を持つ日本の四季折々の情景を、これからも深く味わっていけたらと思います。
(中村)
2 件のコメント
禅カルチャーの茶道は、御紹介のあった「瓢箪で鯰をいかにゲットするか」を考えさせたり、掛け軸にしてお茶席に飾ると、お遊びの要素がたっぷり。親しめるかなぁと思って気軽に入ろうとすると、様々な手順やお約束事があったりして、ちょっとばかりよそよそしい。どちらが茶道のお顔、そして本音なのと思い悩みます。きっと先人も、今、お稽古に励んでおられる方たちも、柔らかい面と堅苦しい面を面白がって各の茶道ワールドを探求しているんだろうなぁ。
石橋さま
コメントいただき、ありがとうございます!
おっしゃる通りで、私もお稽古では、茶道具や花、お茶菓子の美しさに目を奪われたかと思えば、お点前を厳しく指導されたりと一喜一憂しております。
もしかしたら、その緩急が茶道の魅力のひとつなのかもしれませんね。