SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記
“つくること 悩むこと 楽しむこと/佐藤 碧”
こんにちは。
京都は蒸し暑い日が多くなってまいりました。
私はそれにつれ、徐々に外出を控え始めています。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。
ついこの間、浴衣の撮影に参加させていただき、日本の夏は浴衣なしでは語れない!
と感じたばかりですので、少しだけ浴衣についてお話しします。
SOU・SOUの浴衣は主に手捺染を使用したものですが、絞りや注染の浴衣もございます。
どの技法も一応制作した経験があるのですが、
本日は注染について、私の経験をもとに熱く語らせていただきます!
注染はざっくり言うと、“裏表のない布”を作ることのできる技法です。
そのため昔から手拭や浴衣として使用されてきました。
裏が見えても色がしっかり乗っていてほしいものによく使われるのですね。
手順に沿って説明させていただくと…
最初に図案を考えます。
柄の端は反転するので、反転してもつながる柄を考えなくてはなりません。
結構頭を使います。
そして決まった柄を、糊を置けるよう型にします。
専用の型紙を使い、カッターでどんどん掘っていきます。
手捺染が版を横に移動させ染めていくのに対し、
注染は型を固定したまま、
布を型の幅に合わせて折り返して糊を置いていきます。
型は布に置いているか、立てかけておくかのどちらかです。
あまり広範囲での移動はありませんが、体力仕事です。
防染するために布に乗せる糊だけで5kgほど、染めるための染液は一色10ℓくらい使います。
その染液はジョウロにいれて布の上から“注ぐ”ため、注染と呼ばれるそうです。
布はバキューム機能のついている台に置いておき、
注いだ染料を下からバキュームして布全体を染める仕組みになっています。
そして糊が乾かないうちに染めなければならないので、
ぶっ続けで6時間くらいかけて私は制作していました。
もちろん手際の良さが断然違いますが、職人さんたちは毎日これをしていると考えると、頭が上がりません…。
(しかも熱い染液を使うので、作業場は大げさに言うならサウナ状態です。)
私の作った布は、浴衣用ではないため幅も広く、メーター数も短いのですが、
染めたい柄をデザインし、型に起こして、やっとのことで染めて…と
たくさんの工程を経て作り上げたものは、どんな出来であっても愛おしいもの。達成感も格別です。
つくることはやってみるまでちょっぴり億劫ですが、
その中で悩んだり、苦しんだりして
試行錯誤を繰り返すことこそが、ものをつくる醍醐味だなと感じています。
着衣、傾衣、青山店では、注染のものを含めたくさんの浴衣をご用意してお待ちしておりますので、
是非店頭にお立ち寄りくださいませ!
2 件のコメント
少し面倒な億劫な気持ちから一歩踏み出して、試行錯誤し苦しい思いをした人にだけ訪れる達成感という醍醐味は正に「生きてる」って感じる瞬間でもありますね。染めもののような大変さは無いものの、仕事でモノを作るので、読んでいてその瞬間を思い出し、ニヤケました。
Snowさん
コメントありがとうございます。
共感していただけ嬉しいです!染めものだけに限らず、何かモノを作り終えた時の気分の良さは、何事にも変えられなく、くせになってしまいますよね。