SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記
“名水をめぐって/小林 真以子”
思えば初めて京都を訪れた時、鴨川や、神社の境内を流れる美しい川に、大きな衝撃を受けたものです。自然の水がすごく身近に、人々の暮らしに馴染んでいる様子に感動を覚えたからかもしれません。
先日訪れた、 『村田染工』会長さんより、このようなお話を伺いました。
「京都盆地の下には、巨大な水瓶のようなものがあるから、水脈に沿った所を掘ればなんぼでも地下水を汲み上げられるんや。
(驚くことに、京都盆地の下には琵琶湖と同じ程の水量を湛える天然の地下ダムがあるんだそうです)
その地下水は軟水〜弱硬水で、染色やお酒造り、豆腐やお茶、あらゆるものに適していて、今も京都の文化や産業を支えてるんや。」
その話を聞いてからというもの、京都の地下水にすっかり魅了され、お茶を淹れるのも料理に使う水も、毎日SOU・SOU近くの錦の地下水を汲み帰って使用しています。
それだけでは飽き足らず、そしてもっともっとたくさんの名水に出逢うため、地下水を巡る京都散歩をしてきました。
こちらは京都御所の西に本店を構える『お麩屋 麩嘉さん』。
SOU・SOUのご近所、錦市場さんにもお店がございますが、今回は本店へ。
大きなお多福の暖簾がかわいい創業200年の老舗です。お店の脇には京都の七名水「滋野井」があり、今もなお、この流れを汲むこだわりの井戸水を使った、手づくりのお麩造りを受け継いでいらっしゃいます。水温・水質が一年を通してほとんど変化しない地下水は、お麩造りに欠かせないそうです。
名物の『麩饅頭』は、丁寧に笹の葉で包まれてあり、ほのかな笹の香りと名水を味わうような、素朴で優しいお味でした。
そしてこちらは『林孝太郎造酢さん』。
180余年前創業当時、西陣織に使う糸の色止めをするためにお酢を作ってらしたそうです。
写真左下の木樽は昔、造酢の際に使われていたもの。
その横の水瓶は、丹後や遠方にお酢の配達をする際に使われていたそうです。
古い道具類を間近にし、歴史の深さを感じました。
京都の歴史に深く根付いた名水。京都の伝統は、広大な地下水脈の恩恵あってこそだったんだな と感動もひとしおのお散歩になりました。
最後に。。SOU・SOU近く、錦の地下水をつかってお茶を一服点てる瀟瀟さん。
より一層贅沢に感じる時間です。
(小林)