週刊NEW PEOPLE / SOU・SOUサンフランシスコ店からのお便り
“物の持つ力”
サンフランシスコは梅雨の時期に入り、ここ数週間雨が続いています。
なので最近休日は家で読書することが多くなりました。
最近読み直しているのが、「暮らしの手帖」社発刊のロングセラー、「すてきなあなたに」。季節ごとに綴られた日々の暮らしについてのエッセイ集です。
アメリカに引っ越してくる時に母が持たせてくれたもので、10年以上何度も読み返しています。昭和初期に書かれているのに、今読んでも新鮮な驚きをくれる本です。
久々に読み返してみて、印象に残るエッセイがありました。
著者が京都にお住まいの文筆家、岡部伊都子さん宅を訪ねた際のお話です。
輪島の職人さんが丁寧に作った漆塗りのお椀を愛用されている岡部さんの言葉。
「物はときとして人よりもやさしいときがある、と岡部さんはおっしゃいます。
「誰でも悲しいときがあります。そういうとき、いい物は、だまって人を慰めてくれるものです。」」
この箇所を読んだ時に、SOU・SOUで足袋下を大量にご購入されていったお客様のお話を思い出しました。
その方のお母様はホスピスに入院されているそうで、ほぼ寝たきりで意識も朦朧とされている状態なのだそうです。
「でも寝たきりだから、足下だけは毎日目に入るでしょう。だからこういう楽しい靴下を履いていれば少しでも気分が楽しくなるんじゃないかと思ってね。」ということでした。
血がつながっているお嬢さんならではの、優しい心遣いだなーと思いました。
よいデザインとは使っている人の気分を高めてくれたり、ホッとさせてくれるものだと思います。
今、苦しい立場にいらっしゃる人のために、SOU・SOUの商品が少しでも慰めになってくれますように。
(小森)
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