SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記
“翻訳できないことば/李 瀟瀟”
SOU・SOUホームページにて➯テキスタイルデザインページ、➯和菓子になったテキスタイルデザインページ、
及び➯月次絵と京旬菓ページの英語、中国語翻訳担当の李 しょうしょうです。
ある日のこと。一冊の本に出会いました。
ひとことでは訳せない、世界のユニークな単語たちを紹介する本で、原書のタイトルは『Lost in Translation』です。
著者のElla Frances Sandersは、20代のイラストレーターでもあり、フリーでスタイリッシュなイラストを添えながら、他の国のことばではそのニュアンスをうまく表現できない名詞や、動詞、形容詞などを集めています。
一語ずつ味わいながら、何とも不思議な感じですが、暖かいことばが多く、じんわりします。
例えば、【Pålegg/ポーレッグ】
↑ノルウェー語で、パンにのせたり挟んたり食べるものを何でもさしています。
何故ノルウェー語何でしょうかなぁと疑問を抱いてきて、ネット検索してみたら、
ノルウェーのスーパーでは、パンの上に載せる食品「Pålegg/ポーレッグ」のコーナーがあるらしいです。
翻訳できないこのことばには、独特の文化が隠されているようでドキドキします♪
旅行本ではないのに、世界を旅した気分になってきています!!
更に、ことばを噛み締めつつ、その語を使っている人々や光景を想像してみましょう――
【IKUTSUARPOK/イクトゥアルポク】
イヌイット語のことばです。
期待と待ちきれない気持ちで、家の中と外を何度も往復してしまいます。
誰かが丘の向こうや、その曲がり角から姿を現さないかしら…という寒い寒い北の国の淋しげなことばでした。
まるで映画のワンシーンのように投げかけてきてくれます。
そして、日本語もいくつか紹介されています。
【Komorebi/木漏れ日】
日本人と自然との距離感や感性がよく表れたことばです。
「まばゆくて目を閉じてしまうほどに美しいもの。
緑の葉の間をすりぬけた光は、魔法のように心をゆさぶるでしょう。」
私の母国語は中国語で、第二外国語は英語です。
日本語は第三外国語として勉強してきましたが、この3ヶ国語の中で、日本語の「翻訳できないことば」が一番多くあるんじゃないかなぁと感じております。
母国語の影響でもあり、初耳の日本語の単語を聞くと、まず、その音声が意味する漢字を頭の中で浮かべてきます。
それで理解の食い違いや、失敗談も少なくありませんでした。
例えば、「こしき」という言葉を初めて聞いたとき、
何故か「古式」という漢字を浮かび上がりました。
実は違います。
「こしき」の商品ページにもありますように、それは腰衣(こしぎぬ、二部式の着物の下)に見立てた衣で、腰で着ることから“こしき”と名づけました。
今、海外の方々にもSOU・SOUのテキスタイルをより楽しんでいただけるように、HPのテキスタイルデザイン紹介ページなどの英訳、中国語訳をやらせていただいております。
日に日に何重もの壁にぶち当たっています。
ex.「尚武」
日本では、「菖蒲」が「尚武」と同じ読みであり、また菖蒲の葉の形が剣を連想させることなどから、
「端午の節句」は、「尚武の節句」でもあります男の子の成長を祝い健康を祈るようになりました。
ちなみに、SOU・SOU語では、「尚武」の意味をとり、テキスタイル「鯉のぼり」の色味に命名されました。
「しょうぶ」、翻訳できないことばまた一つ増えましたね。
そして、語彙の壁、文化の壁の先には、雰囲気の壁があります。
今年睦月の月次絵と京旬菓のページです。
いつか原文の詩的な表現が英語と中国語で再現できますよう、磨いていきたいと思います!
今後とも宜しくお願い申し上げます。
4 件のコメント
いつも素敵なご紹介ありがとうございます!
私も手に取ってみたい素敵な本です。
それから、いつも店舗でお話しする時はもちろん、雰囲気のあるテキスタイルの解説の日本語を翻訳されているのがすごいなぁと思っておりました。本当に日本語はなかなか直訳できないことばがたくさんあり、さらに先日も記事になっていた大和ことばなど私たち日本人でも興味深いことばもたくさん。奥深くて面白いですね。
anzai様
いつものご愛顧、日記のコメントを頂きまして、誠にありがとうございます!
こちらの「翻訳できないことば」は本当に何度も読み返せる一冊なので、ぜひお読みくださいませ。
私も先日の大和ことばの記事がたいへん勉強になりました。
これらの奥深くて面白い日本語を翻訳でより多くの方々に伝えられるように頑張りますので、
今後共、何卒よろしくお願いいたします。
イヌイット語のところがアイヌ語と表記されています。
イヌイットとアイヌはまったく違う民族なのでお間違えなきよう…
コメントありがとうございます。
may様ご指摘の通り、「イヌイット語」の部分は表記ミスがございました、誠に失礼いたしました。該当箇所を修正いたしました。今後ともどうぞよろしくお願いします。