本間と古川の染織倶楽部 /
“第六話:染料の種類について”
染織倶楽部、第六話は化学染料の種類についてお届けいたします。
化学染料は粉末のものを水で溶かし使用しますが、第二話でお届けしたように
染料は非常に細かい粒子で構成されております。
少しの風圧でぶわっと舞い上がってしまうので、学生時代染料測る際は空調を切り
マスクが必須なのですが、面倒くさがっていつもマスクをつけずに豪快にはかっておりました。
よく冗談で「肺が染まるー」などと言っておりましたが、今になって振り返ると
危険なことをしていたなーと思います。
それはさておき、化学染料には種類がたくさんございまして
染め方や生地との相性によって染料を使い分けなければなりません。
例えば伊勢木綿手ぬぐいで例えますと手捺染と絞りの商品で染料が違います。
■手ぬぐい/金襴緞子(きんらんどんす)
まず、手捺染には染料をアルカリなどの助剤と化学反応を起こさせ色を固着させる
「反応染料」を使用しております。
特徴といたしましては発色も鮮やかで、堅牢度(変色や退色に絶えうる度合い)
にも優れています。
■ SOU・SOU×たばた絞 手ぬぐい/たばた雪花 朱雀
一方、絞りの商品は「スレン染料」という染料を使用しております。
落ち着いた色目が特徴で、こちらも堅牢度に優れており日常品の
手ぬぐいに適した染料です。
染めたときの色と出来上がりの色が異なるのもまた面白く、
私も毎日チェックしているまり木綿のブログでよくその様子が描かれています。
染める過程を見ていると染色は化学だなとしみじみ感じます。
■SOU・SOU×福しま絞り 手ぬぐい/水風船(みずふうせん)
ちなみに福しま絞りの手ぬぐいはスレン染料で染めた後に顔料を用いた
摺り友禅という技法で柄を重ねております。
多色摺りが可能で、女性にも人気の一品です。
染めという方法は「引き算ができない」と言われています。
色を重ねていくことは可能ですが、一度染めてしまうと元には戻せません。
もちろん脱色することは可能ですが、その分生地を傷めつけてしまいます。
非常に些細な条件で色の出方や滲み方もかわってしまうのですが、
それもまた手仕事の魅力のひとつだと思います。