一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“SOU・SOUへの道(35)”
※これまでの「SOU・SOUへの道」はコチラ
前にも書いたが、僕は以前ビンテージ・ジーンズマニアであった。
501XXがあれば何もいらないと思っていた。
ビンテージをはかなくなってからも、ジーンズは好きでよくはいていた。
SOU・SOU足袋を作ったときもジーンズに合わせて履いていた。
接客の時にも「ジーンズに合いますよ」と言っていた。
しかし、ある時気がついた。
「どこの服屋の店員も言っているセリフだな、これは」
スニーカー屋も革靴屋もサンダル屋もセーター売り場もジャケット売り場も、皆が口をそろえて「ジーンズにも合いますよ」と言う。
どの店もそのセリフを常套句としているのだ。
その日から接客で「ジーンズにも合いますよ」と言うのを止めた。
そして、SOU・SOU(コラボを除く)では、ジーンズ等のカジュアルウェアを作るのを止めて、やはり地下足袋に本当に合う衣類を作っていこうと決めた。
まだ特に興味がある訳ではなかったが、「この先和装を避けて通ることは出来ないな」と覚悟した。
手始めにデニムを使って着物でも作ってみた。
今ではどこでもやってるベタな手法だ。
しかし僕の場合、ヘリンボーンツイル、ループ染ムラ糸デニム等、岡山産生地を使ってビンテージテイスト満載にしていた。
その時、そばにいて下さったのが室町の異端児、呉服界のピーコこともりたもとこさんだった。
僕は着物の知識ゼロだったが、もりたさんと話をしているとおもしろかった。
もりたさんはギャルソン等のモード服が大好きだったが、ある日着物のおもしろさに目覚めてどっぷりはまったのだそう。
着物を楽しんで着ているという時点で、呉服業界の人とはすでに輝きが違っていた。
そんな訳で、もりたさんと一緒に着物や周辺グッズを楽しみながら作った。
ある日、脇阪さんが東京生活研究所のディレクター山田節子さんという女性をSOU・SOU京都店に連れてこられた。いろいろお話を伺ったあと、ついでにデニムで作った着物の試作品を見せてみた。すると
「こういうものをつくるなら、あなた伊勢木綿って知ってる?すごくいいわよ。紹介するわ」
と言って、その場で携帯を取り出し電話をされた。
「もしもし臼井さん、山田です。今京都にいるんだけど、おもしろいものを作っているSOU・SOUという会社があるの。若林さんていう人なんだけどちょっと会ってみたら?」
という訳で、三重県津市に出向くことになり、伊勢木綿と出会った。
「これはいい」直感的にそう思った。
そして、話をきいてるうちに伊勢木綿は残さねばいけない伝統だと思い、それまで企画していたデニムの着物を全て中止して、伊勢木綿に切り替えた。
(つづく)
写真は、小学生の時から憧れているランボルギーニとBAMBIを着た某との2ショット。青山通りにて。
それでは、また明日。