一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“SOU・SOUへの道(14)”
※これまでの「SOU・SOUへの道」はコチラ。
NYでは家庭教師をつけた。英語が全く話せなかったからだ。
朝は8時からアメリカ人の先生に、夜は橋本さんに英語を教わった。
英語は文法や発音はどうでもいい。
おどおどせずに、とにかくしゃべることが大事だと感じた。
実際アメリカにはろくに学校に行っていない人も大勢いるし、文字が書けない人もいっぱいいる。人種のルツボ(「ルソンの壺」を略しているわけではない)と言われるNYでは、スパニッシュ、チャイニーズ等、英語の発音がむちゃくちゃで全然聞き取れない人もいっぱいいた。
ネイティブの英語にこだわるのは、日本人のクセだと思う。
基本的に毎日朝から橋本さんの事務所に出勤した。少し仕事も手伝った。だらだらしたくないと思ったからだ。
昼からはマンハッタン中を歩き回った。
フットロッカー、GAP、バーニーズ、五番街、その他有名ショップを見て回った。
日曜日は朝からフリーマーケットに行った。
ビンテージの掘り出し物がたくさんあって楽しかった。
ある日、もっと効率良くいろんなところに行きたいと思ったので、自転車を買った。
支払いが終わって店員がタイヤの空気を入れているのだが、前輪の空気が全然入らない。どうやらパンクしているらしい。
しかし、この店ではパンク修理が出来ないとのこと。仕方がないので修理が出来る店を教えてもらい、前輪を少し浮かせ気味にして押しながらとぼとぼ歩いた。
そしてそのお店に着いたのだが、修理は出来ないと言われた。なんで?
結局、雪が降る中3時間くらい修理の出来る自転車屋を探し、やっと見つけて直してもらい、ようやく自転車に乗って事務所のビルに戻ってきた。
自転車をとめて超太いチェーンで電柱にぐるぐる巻きにしてカギをかける。これがNYだと思った。
事務所に戻って、その日の出来事を橋本さんに話していたら、「自転車、ヤバイよ!」と言われた。
慌てて外に出てみると、自転車は消えていた。ぶっといチェーンはパッキリと切断されていた。
雪の中、3時間前輪を少し浮かせて押して歩いて、乗ったのはたったの15分。これがNYかと思った。
(つづく)
写真は、最近疲れ過ぎてお湯を入れながら眠っているちゅぢゅきさん。
それでは、また明日。