一期一絵 毎日更新!SOU・SOU読本

平成16年08月01日 日曜日号

SOU・SOUいとをかし / SOU・SOUの日常をお届け

“特別インタビュー”



茶道を学ぶ
人から人へ。受け継ぐ伝統文化

茶道には稽古の各段階ごとに学ぶことを許可する「許状(きょじょう)」というものがあります。修了証やライセンスではないですが、一つの資格のようなもの。その「お茶名(ちゃめい)」を拝受した(お茶名とはお家元より極意皆伝のお許しをいただくこと)着衣店長 石田明日香と、伊勢木綿店長 本間陽子にインタビュー。

「その道に入らんと思ふ心こそ我身ながらの師匠なりけれ」

茶道を習い始めたきっかけや、その面白いところなどをお伺いしました!



お二人とも茶道を習い始めて長いですね。始めたきっかけはなんですか?

石田 今年13年目を迎えました。きっかけは現SOU・SOU着衣の2階に『SOU・SOU しつらい』がオープンする際に、スタッフがお抹茶をたてることになったんです。それで習いに行き始めました。
元々、お茶で有名な宇治出身だったこともあって茶道をいつか習いたいなと思っていました。なかなか一歩踏み出せなかったんですが、仕事がきっかけとなりちょうどいいタイミングで始められました。

本間 私もSOU・SOUがきっかけです。私の場合SOU・SOUしつらいがオープンした後に入社したので面接の時点で若林さんから「お茶やってもらうから。」と言われていました。私もやってみたいと思っていたので、すんなり習い始めました。入社して1年は先輩スタッフに教えてもらって、その後今の教室に通い始めました。始めてから12年ほどです。






茶道の魅力、楽しさってなんですか?

石田 日本の伝統的なものという魅力はもちろん、茶道は、お道具・お軸・お花、様々なところから季節を感じられるところが面白いです。あと、季節を「先取り」とか「名残」を表現するのも面白いですね。例えば夏の終わりのお茶会では、お道具で夏の名残惜しさをちょっと残したり、秋のものを取り入れて季節を先取りしたり。日本で生まれたからこその四季折々の独特の考えが面白いです。

本間 私はお茶のお稽古に行った時のあの空間も好きですね。正直最初は、ちょっとやらされてる感があったんですけど、いつもお稽古が終わって帰る時にすごくスッキリするんですよ。浄化されるような。「やっぱり今日もお稽古に来てよかった」って毎回思って帰れるのがいい。それが多分今に繋がっているなって思っています。




お茶のお稽古に通ってみて、自身が変わったことやよかったことありますか。

石田 常に周りの動きを見ているので、仕事の接客にも生かされます。茶道って、無駄な動きが基本的にないんです。次の人がこう動くから、とか。人のことも考えながら、無駄なく動く。そういったことをより考えて意識するようになりました。亭主はもちろんですがお客様でも動き方がある。チームプレーでお互い思いやっての動きは勉強になりますね。

本間 無駄がないというのはいつも思います。あとは所作。「なにか持つ」ときに指を揃えたり、「扉を開ける」ときに音を立てすぎないようにしたり。お点前の中で、お客様に汚れたとされるものを見せないように、お尻をみせない方向に回ったりするんです。そういったちょっとしたことも生かされています。



日常生活に生かされることが多いですね。では、辛かったことありますか。

本間 私は早起きです(笑)お茶会の日などは特に朝8時集合で、着物着るってなると朝5時起き。冬場だと特にまだ真っ暗で。あとは正座ですね。長時間はまだ慣れないですね。

石田 多分湿度とかの関係で「今日はやけに痺れるな」とかありますね。あとはお稽古が季節によって変わるので、お点前がなかなか覚えられないところですね。基本的な動きは自然と流れていくんですけど。慣れてきたなと思ったぐらいにお点前が変わるから、毎回一からです。先生も根気よく教え続けてくださって心苦しさがあります。すっと自然に、分かるようになれたらかっこいいですね。




茶道に興味があるけど、まだやったことないという方に向けてアドバイスありますか?

石田 茶道とか、◯◯道ってすごい重く感じるんじゃないですかね。なかなか入りづらいと思うんですけど、入っちゃえば全然大丈夫。その一歩踏み出す勇気ですね。裏千家やと裏千家ドットコムというHPで調べやすいので、自分の通いたい場所や時間など都合で選んで、そこから連絡。見学してちょっと違うなと思ったら別のところに行けばいいし、思っているより案外入りやすいんじゃないかなって思います。

本間 あとはカルチャーセンターとかも気楽でおすすめです。和気あいあいの先生も多いので、興味がある方はぜひ一歩踏み出してもらえたらと思います。



お茶会にすら行ったことないっていう人になにかありますか?

本間 いきなりお茶会や習い事はハードルが高いって方は、イベントとかでやってる茶室とかいいですね。たまに気楽に入れる茶席があるからそこからやってみるのはおすすめです。お茶碗回すとかそんなんやり方知らなくても大丈夫なんで。慣れてきたらお道具とかお花、掛け軸を見てみたり。掛け軸はそのお茶会の趣旨がわかるのですごく大事なんです。でも読めないんですよね(笑)最初から全部楽しめなくてもちょっとずつ見たり聞いたりして、好きなとこから入れるのも茶道のいいところですね。



お茶名をとられたということで、お二人の茶名を教えてください。

本間 私は、名前から一文字とって「宗陽(そうよう)」です。下の名前の一文字目からの方が多いですね。

石田 私は明日香の「香」からとって「宗香(そうか)」です。私はそれを使ってくださいとお願いしました。友人に相談して明日香の3文字の中からどれがいいか聞いた時に、その人が私のことを思い浮かべた時に「風露香(ふうろかんばし)」という言葉が浮かんできたといってくれて。じゃあ「香」させてもらおうとお願いしました。


本間 大体茶名をとれるのは8年ぐらいで先生から「茶名取れるけどどうする?」って聞かれたんですが、とっていいんだろうか。というのが一番の感想でした。でも私は茶名をとったことがきっかけでスイッチが入った感じします。茶道をもっと知りたいって。お茶会とかも今まで以上に積極的に参加したりお手伝いしようって意識が変わりました。

石田 私もそれほど意識してなくて茶名以上は許状はいらないかなと思っていました。でも本間店長が茶名を取得されたのをみて気持ちが変わりました。一緒に茶名を取得した他の方とお茶会をさせてもらったり、今ではとってよかったなと思います。



きっかけとなった『SOU・SOUしつらい』は、その後移動して『SOU・SOU在釜』になりますね。現在休業中ですがSOU・SOU在釜は振り返るとどうですか?

石田 むちゃくちゃ面白かったですよね。お客様ももちろんですけど、スタッフ側も今月のお菓子どんなのかなって。

本間 楽しみでしたね、毎回。絵葉書とセットになって。


石田 そうなんです!味もすごく美味しかった。例えば、ピスタチオの味のうぐいすもち。今でも覚えてます。亀屋良長さんでそのまま商品になっていました。テキスタイルから生まれた和菓子と一緒に楽しむお抹茶、それ今もどこもやってないですよね。それに携われたのはすごくよかったなって思います。

本間 お手前がすごい近距離であるじゃないですか。動画を撮る方もいたり、手も震えるし、緊張しました。

石田 私はお抹茶もなんですけど、コーヒーの方がすごい緊張しました。アイスコーヒーマシーンがね。上から入れてくるくるってしてる間に冷えるんです。失敗でいうとホットコーヒーのときに、粉まみれになったこともあります(笑)あのゆったりしたあの空間は、今ではできなかったことやなと思うので、すごくいいなと思います。



最後に、読んでくださった方々に一言!

石田 コーヒーもいいけど、お茶もいいんちゃうって皆様に伝えたいです。洋食もいいけど、和食もいい。

本間 いろんなこと学べます。全部をすぐ知ろうっていうのは無理なので、1つ興味のあることがあったらそれを磨いていけばいいと思います。お菓子を楽しんで、そこから色々、あ、器もそういえば可愛かったなみたいな。色々繋がっていくと思います。


ありがとうございました!




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