一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“学生時代の作品”
これは僕が専門学校時代に作ったウールのジャケットです。
上前側を分解して、中の縫製が見えるようにしました。
これらは全てハンドメイドです。1着の完成までに
毎日朝から夕方まで作業をやって、2ヶ月くらいかかります。
(教えてもらいながらですが)
ボタンホールももちろん手縫い。
ジャケットは肩の仕立てが一番大切です。
肩パッドももちろん、自分の体型に合わせて一から作るのです。
芯や綿が何層にもなっています。
衿の線みたいなのは「ハ刺し」といって、衿を身体に
沿わせるために施します。これももちろん手縫いです。
ちなみに、細かく刺すと衿が硬くなります。
裏返すとこんな感じです。袖裏はゆとりをもたせてありますので、
だぶった感じに見えます。
アームホールは「玉まつり」といって、この部分専用の縫い方です。
裾のアップ。縁に施した点々は「星ドメ」といって、
中の縫い代を押さえるためだけに入れます。
これは表からは見えません。
テーラードジャケットは、説明し始めたらきりが無いほど
技術が満載で、手間がかかっています。
でも、こういった技術を教えてくれる学校は残念ながら
国内にはもう存在しません。
(僕が卒業してすぐ廃校になったそうです)
そして、こういう本物の技術は知っている人も知ろうと思う人も、
今のファッション業界にはほとんどいません。
大体そんな技術を必要とする会社がないのですから。
そういう意味ではたまーに見かける
「テーラー○○」みたいなお店は本当に貴重です。
僕は本物の技術を学ぶという事は、良いものを大切に使おうとする心や、
人を見る目を養うことに繋がるのだと思っています。
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こんにちは、名芸の学生です。
更新が楽しみで毎日拝見しています。
祖父は、紳士服の仕立屋さんでした。
地元では有名で2世代にわたって祖父の作ったスーツを着ていると聞きました。今度、実家に帰った時には、祖父と話少しでも技術を学ぼうと思います。
祖父から技術を学ぶといいなぁとは思っていましたが、まだちゃんと教えてもらっていません。ちゃんと教えてもらおうと思います。
きっかけをありがとうございました。
いっそ後を継いでみられたらいかがですか。
そのときはオーダーしに行きます。(笑)