SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記
“わたしの本棚【2】/寺田 由”
皆さま、こんにちは。
活字中毒気味なスタッフの寺田です。
以前「わたしの本棚」と題して私のお気に入り本をご紹介させていただきました。
今回も少しだけ私の“偏愛”にお付き合いください!
飽きもせず続いている「伊勢木綿 手ぬぐい×読書記録」。
増えに増えて、現在進行形で増え続けている伊勢木綿手ぬぐい。
今回、ご紹介するのは日本学者のドナルド・キーンさんの本。
日本文学や日本文化の研究、とりわけ英語圏への日本文化を紹介した功績は高く評価されています。
キーンさんは日本について「自分たちの伝統に興味がないということは一つの弱点だと思う」
という言葉を残しています。
核心を突かれる言葉にドキッとすると同時に無情感を感じずにはいられません。
SOU・SOUで仕事をしている私は、日常的に強く日本の伝統や文化に対する興味と思考が巡り続けています。
例えば、高島縮(たかしまちぢみ)や伊勢木綿といった伝統布。
これらは日本の風土と共に受け繋がれていく「伝統」であり「文化」です。
そして、その生地を使った「長方形衣(ワンピース)」や「風靡(トップス)」といった衣類は和装文化の現代版といえるSOU・SOUが提案する新しい和装。
細々とお稽古を続ける「茶道」は言わずもがなの日本の伝統文化。
では、「日本文化」の正体とは一体なんだろう。
底なしの日本文化をどのようにして理解し得ているのだろうか、と悶々とする日々です。
そのような中でキーンさんの本は読者が「キーンさんの眼を通して日本を見つめること」に面白さと学びがあります。
異文化圏からやってきたキーンさんの「疑問」や「感覚」をそのまま素直に受け取ることで、新しい日本に出会えるような気がします。
キーンさんは浄瑠璃や狂言、俳句、文学の分野では時代の文豪たちと交流を重ね多くの記録を残しています。
特に、三島由紀夫との交友録には深すぎる友情と人間ドラマがあり、思いを重ねるたびに胸が熱くなります。
↑私のお気に入りは三島由紀夫と語らう何気ないワンシーン。
京都に留学していたキーンさんは京都通でもありました。(河原町 しる幸の暖簾の前で)
晩年には日本国籍を取得して日本人として生涯を終えたキーンさん。
キーンさんから見た日本は、決して古き良き時代の日本ではなく「古きも新しきも時代に関係なく良き日本」なのです。そして衰えることなき好奇心で日本を見つめ、日本を愛した「日本人」でした。
皆さんも、涼しい室内で夏の読書にいかがでしょうか。
それでは、ごきげんよう。
(寺田)
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