SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記
“お茶の時間/寺田 由”
みなさん、こんにちは。
スタッフの寺田です。
5月の連休が終わればあっという間に梅雨目前。
こうして目の前の暮らしと共に季節が通り過ぎていくと思うと、もったいなくもあり愛おしくも感じる日々です。
ある哲学者が「人生に必要なものは暇な時間だ」といった言葉の重みがぐんと身近に思えてなりません。
さて・・・
先日、兄姉と共通の友人やそのお友達を交えて茶室で小さなお茶会を開きました。
お茶がどんなものか体験してみたい、と興味を持ってくれた同世代7人の気楽な集まりです。
私は濃茶を、兄たちが薄茶を手分けしてお点前をいたしました。
「気楽な」というのはお客様に対しての思いでもありますが、我々自身の言い訳でもあり・・・「お点前間違えちゃうかも知れないけど、大目に見てね」ということでもあったりします。
今回は小間という電気も冷房もない特に狭い茶室にご案内。
世の中に濃茶と名のつくお菓子や飲み物は多くあれど、みなさん本当の濃茶は初めて!ということで私の責任が非常に重いなぁ・・・
これでお茶を嫌いになりませんようにと心を込めて
・・・いや、神頼み
・・・ここはもぅ利休さん頼みで濃茶を練りました。
お稽古ではこのタイミングでコレを聞いてこう答える!という「問答」というシュチュエーションがあるのですが、そんなことは構わず出てきた「美味しい!!」という素直な感想にどれほど嬉しく感動したか分かりません。
みんなで道具を見たり、お菓子を取り分けたりすることも楽しい。
お茶をして打ち解けてからは時間が経つのもあっという間。
気がつけば密室に5時間も皆で語らう時間になっていました。
歴史や文学、政治や哲学といった話題に対しカッコつけるわけでもなく、知ったかぶりをするでもなく、ざっくばらんに話し正解を求めず議論する。
その空間には互いを尊重し打算や損得はなく、狭い茶室内にただただ無限に広がる「調和」が生まれた時間。
もしかすると、私たちはもっとコミュニケーションを持てる場を欲しているのかも知れないとすら思える機会でした。
分かりやすさに騙されることなく、分かりやすいことを利用して断言せず、複雑なことをじっくり味わって楽しむ時間。
まさに茶道のようなものを親しむ時間が私たちには必要なのだと思える幸福な1日となりました。
それではまた、ごきげんよう。
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