一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“SOU・SOUあれこれ【11】”
本日は日曜日!
SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田 由が書きますので皆さまどうぞお付き合いくださいませ!
有松鳴海絞り(ありまつなるみしぼり)
「東海道中膝栗毛」の主人公、弥次さんが有松絞りに魅せられてお土産に手ぬぐいを買ったとか・・・。
愛知県名古屋市で400年続く伝統ある絞り染め「有松鳴海絞り」。
竹田庄九郎(竹田嘉兵衛商店)によって生み出された有松鳴海絞りはお伊勢参りのお土産として大流行し、その名を日本中に広げました。
絞り染めというと、目が飛び出るほどの値段がついた着物やご年配向けの商品が多く、とちらかと言えばSOU・SOUが掲げる「ポップでかわいい」とは少し違うもののような気もしますが、かつてご縁がありJAPANブランドプロジェクトの一環としてSOU・SOUが有松鳴海絞りのプロデュースに関わることになりました。
そうは言っても、歴史ある伝統を受け継いできた職人さんたちに、京都から突然現れたどこの馬の骨ともわからないテキスタイルブランドが歓迎されるはずがありません。
そんな逆風の中でも若林が繰り返し訴たことは一貫していました。
・今や90%以上を占める中国製から脱却し、有松鳴海で絞られた本物を作る。
・超絶技巧的な絞り技術で商品の価格を上げるのではなく、シンプルでもニーズに合わせた商品を作る。
・若手に憧れと希望を持たせるような産業を目指す。
中でも若林が可能性を感じた絞り染めが「雪花(せっか)絞り」
「板締め(いたじめ)」という絞り技法の一つで、三角形に折りたたんだ生地に染料をチョンと浸すことで花が咲いたような染めに仕上がります。
ごくシンプルな技法であり、それ故、高度な技術を高級とする人さんから見れば板締めは格下の低価格品と見られるふしがあるようでした。
JAPANブランドプロジェクトで、この雪花絞りを前面に押し出した若林の案はなかなか受け入れられるものではありませんでした。
ですが、その数年後にビールのCMで女優の檀れいさんが雪花の浴衣を着用すると、たちまち有松鳴海絞りの雪花は話題になります。
SOU・SOUでも雪花絞りの在庫はあっという間に売り切れとなりました。
その時、有松で数少ない雪花絞りを生産していた張正(はりしょう)さんは大きなチャンスを掴みました。
その張正さんは雪花絞りの他に「豆絞り」という技術を持っています。
誰もが一度は見たことのある手ぬぐいの柄ですね。
しかし、このシンプルな豆絞りを日本で染められるのは張正さんだけ。
規則正しくもちょっと不揃いに並んだ丸い染め。
プリントにすれば簡単に作れるこの古典的な柄も張正さんがなければ無くなってします。
そう思うと、なんだかこの丸い玉が愛おしく見えてきます。
浴衣だけでなく衣類や小物など老若男女を惹きつけ、雪花絞りはSOU・SOUでもすっかり定番の人気商品となりました。
近清さんの「変わり雪花」は今までの雪花を覆すような美しいグラデーション。
400年の歴史の中で近清さんが見出した企業秘密の染め技術です。
簡単に着られて浴衣のような絞り染めも楽しめるのは、SOU・SOUの絞り商品の最大の魅力です。
有松鳴海絞りでのJAPANブランドプロジェクトはその後のSOU・SOUにも大きな影響を与えました。
仕事に対してネガティブな感情を持たない若林が、現地の職人さんたちをなかなか説得できずにいたことで、知らず知らずに感じていたストレス。
今だから言えることですが当時、ストレスで頭皮に謎のかさぶたができたそうです。
『もっともっとSOU・SOUが説得力のあるブランドなら、色んなことが変わっていたかもしれない!少しでも日本の伝統産業、産地を盛り上げていきたい!』
SOU・SOUがそんな大きな夢を抱きはじめたのもこの頃からでした。
そして、
「もし僕が三宅一生なら、みんな僕の言うことを信じてくれたやろな・・・」
なんて言う若林の名言(迷言?)もこの有松鳴海で生まれたのです。
この悔しさやもどかしさも、これまでの若林の活力となてっているのかもしれません。
《つづく》
それでは、また明日
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【今日の合言葉】
「有松鳴海絞り(ありまつなるみしぼり)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
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(若林)
10 件のコメント
毎回、楽しく読ませて頂いています♪
SOU・SOUのテキスタイルデザインとまた一味違った味わい深い「絞り」柄が、私も好きです。
涼しげな様相を醸し出して、今夏の超猛暑にうってつけですねぇ(^^)
「豆絞り」の手ぬぐいは離せませんねぇ♪。゚(゚´ω`゚)゚。
昨日お邪魔した時、祇園囃子の「コンチキチン」が流れてて、なんかとても嬉しい気分で一杯になりました♪
kazu-endlix様
昨日はご来店いただきましてありがとうございます!
また、コメントをいただき嬉しく存じます。
そうですよね、テキスタイルとはまた違った雰囲気や表情が絞り染めの魅力ですね。
やはり日本の夏には欠かせない絞り染め、そして豆絞りの手ぬぐい!
私も特にこの時期には好んで小物などにも取り入れております!
この1ヶ月はコンチキチンで盛り上がっていきましょう。
いつもお世話になっております。
有松鳴海絞りの美しい商品が出る度に購入しております。私にとって、その存在を知ったのも、その美しさに息を呑むのもsousouあってのことです。
若林社長のおかげで、今やたくさんの方が日本の素晴らしい伝統工芸を手にすることができますね。ありがとうございます。
また、ゆうちゃんの文章は、筋道がたっていて、分かりやすく、テンボが良くて読みやすい!作家さんになれるのでは?と思いながら、毎回楽しく読ませていただいてます!
後藤美希様
コメントをいただきましてありがとうございます。
お変わりございませんか?
絞り商品をご愛用いただきありがとうございます!同じ商品でも手仕事ですので一点一点がオンリーワンの一品です!
そんな商品を扱わせていただけるSOU・SOUは幸せだと感じます。
これからも素敵な絞り染めにたくさん出会いたいという気持ちはお客様と同じなんです。
また拙い文章に優しいお気持ちをいただき恐縮です。
これからも努力して参りますのでよろしくお付き合いいただけましたら幸いです。
様々な格闘、葛藤が有って、今のSOU・SOUが有るのですね。
SOU・SOUに出合えた事に感謝!そしてこれからもよろしくお願いします!
いつもコメントをいただきましてありがとうございます。
色々なご縁で日本の良いものと良いお客様に恵まれているSOU・SOUはとても幸せでございます!
今後もSOU・SOUをお楽しみいいただけるよう、一層頑張ってまります!
若林様 すでに一生MIYAKEを超えていらっしゃいます。チジミの男物肌着を見るたび、これでだれかファッショナブルな夏服をつくってくださらないかなと念じて半世紀。今や、一生さんのplantationがチジミで服つくりを始めました。遅かりし由良之助ですね。数年前、有松の街の工房も訪ねました。ポップな絞りの服つくりも、大変なことであったと思う重厚な街並みでした。どうぞこれからも、よきこの国の伝統技術をポップに軽やかに日常の暮らしに、行き渡らせてくださいませ。応援しています。
東野LUCY様
コメントをいただきありがとうございます。
以前から、縮生地の魅力にお気づきだったとのこと!SOU・SOUがご要望にお応えできるような製品にできておりますでしょうか!?
有松の街並みも風情があって素敵ですね。
絞りの伝統を町全体で守っておられるように感じました。
おこがましい事ではありますが、SOU・SOUも有松鳴海絞りの魅力を発信する一助となれば幸いです。
東野LUCY様からいただきましたお言葉、若林にも申し伝えいたします!
もし僕が三宅一生なら・・わかるなあ・・その気持ち。
場のパワーバランスだけでものごとが流れていくことありますよね。
社長のへこたれない前向きパワーの源はどこにあるんだろう・・
なんでもないものを錬金術のように世に送り出すのではない、伝統のつづきにあるSOU・SOU。これからもずっと好きでいるんだと思います。
絞りも涼しげで大好き。
絞り生地の日傘、商品化してほしいです。お願いします。
はな様
いつもコメントをいただきましてありがとうございます!
絞りの日傘、想像するだけで素敵ですね。
いただきましたご要望は、社内で共有し今後の商品展開の参考にさせていただきたいと存じます。
若林のポジティブパワーの秘訣は私も未だに分からないのですが、どこまでも素直にピュアな気持ちで色々なことを良くしていきたいと願っていることかもしれません!
有松鳴海絞りの魅力も借りて皆様に愛していただけるようなSOU・SOUの商品作りをして参りたいと存じます!