一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【61】”
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!
SOU・SOUプロデューサーの若林は京都芸術大学で授業を行なっているのですが、学生さんが作品のタイトルに悩んだら和菓子の名前を参考にすると良いとアドバイスするそうです。
「和菓子の名前には風情のあるものが多く、知らないような言葉でも季節を感じるものや意味のあるものがあるから参考になるよ!」
ということ。
そう言われてみると確かにそんな気もしませんか?
ついつい、花より団子?いや、風情よりあんこ!と食いしん坊の血が騒いでしまっていました。
ということで、若林のアドバイス通り今月はお菓子の「銘」に注目しながら和菓子を楽しみましたのでご紹介いたします。
『更衣(こうい)』虎屋謹製
衣替えの時期に3日間だけ販売されるお菓子。
モダンなシンプルな見た目ですが、表面に掃かれた和三盆が涼しげな夏の衣を表現しています。
なるほど、そう言われれば6月の風が頬撫でるよう!
ちょっと大人な色気を感じるお菓子です。
『雨上がり』ZEN CAFE(鍵善良房)謹製
どんよりとした薄雲の梅雨空にコロンと色鮮やかな紫陽花のよう。
そぼろ状になった餡を餡玉に丁寧に付けて作られる「きんとん」。
定番の和菓子も色で季節を見事に表現できる美的感覚に感動すら覚えます。
ちょうど、店内にも儚げな紫陽花がいけてありました。
神様は憂鬱な季節も楽しめるように紫陽花の神秘的な色を創ったのかしら?そんなふうにも感じます。
皆さんはどんな雨上がりを想像しますか?
『水仙妹が袖(すいせんいもがそで)』虎屋謹製
日本人だってパッと見て意味のわからない日本語は多い。
「妹(いも)」というのは妻や恋人、姉妹などの女性を親しんで呼ぶ言葉だそうです。
そんな妹(いも)の纏う夏の軽やかな衣から紅白が透ける鮮やかで愛しい気持ちのお菓子。
私も兄がいるので、そんなふうに想ってくれるでしょうか・・・
いやいや、私のことは「妹」より「芋」だと思っているだろうな。残念。
お茶のお稽古を始めた頃、ありとあらゆるものに「銘」をつけて尋ねる作法が不思議でなりませんでした。
道具にもお菓子にも銘はなくとも相手に伝えることができるのに!
なんて・・・今思えば、我ながら風情のないことです。
ですが、こうして丁寧に物事の見つめると和菓子の銘ひとつとっても、短い言葉で最大限に想い感じることができ、その向こう側にある物語への想像力を掻き立たせます。
なんとも繊細で優美な感性ですね。
これからは食いしん坊をちょっぴり封印して、季節や風情を楽しみ、美しい日本の言葉と仲良くなりたいと思います。
《つづく》
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それでは、また明日。
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あしからず御了承願います。
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2 件のコメント
素敵な和菓子ですね。写真も和菓子の説明も素敵でした。
いくつでも食べられそう・・。
銘は、名付ける方のセンスと、拝見する側の知性も試されるような、奥深さがありますよね。
寺田さん、食いしん坊を封印しないで、本能のままに紹介してください。
美味しいものが好きな人が紹介してくださるものに、ハズレなし、と思っております。
はな様
いつもお優しいコメントをいただきましてありがとうございます。
感性と知性と品性が必要な茶道で、食欲の欲が抑えきれずにいる私はまだまだ大人の女性とは言えませんが・・・。
お言葉に甘えて食いしん坊を封印せず行こうと思います!