一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【60】”
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!
数奇屋大工一家に生まれただけで、お茶を嗜むというより気ままに楽しんでいるだけの私のたわいもない話。
今回はちょっと番外編!として父と私のお出かけにお付き合いくださいませ!
大人になってから一緒に出かけることもなくなってしまいましたが、ある日の休みに娘サービスしてやるか!と思う父と、たまには親孝行してようか!という私の思惑が奇跡的に一致し、一緒に出かけることに!
朝早くから出かけた先は大手建設会社が開設した神戸にある日本唯一の大工道具の博物館「竹中大工道具館」。
少々マニアックにも思えますが、展示はかなり充実しており見どころ満載!
大工道具の展示から社寺建築の解説まで、どちらかといえば大人の方が楽しめてしまう内容です。
私は以前にも訪れたことがあるのですが、ここはやはりプロの大工さんを連れて行く方がより見聞が広がるだろうという下心・・・。
道具のことについては正直よく分からないところもあるのですが、私が特に気に入っているコーナーは「棟梁の言葉」という展示。
法隆寺や薬師寺といった数々の歴史的建造物の改修や修復に携わられた宮大工の西岡常一棟梁の言葉。
大工の世界で知らぬ者はいないほどの棟梁です。
祖父も父も「棟梁」として仕事をしている姿を見て「責任者」や「現場監督」とは違うニュアンスで理解してきた「棟梁」という存在がより具現化された言葉。
この言葉を目にしたとき、歳を取っても山へ足を運び木を見極めていた祖父の姿がふと目に浮かびました。
そして記録に残る緻密なメモや計算。
一見、経験や長年の勘がモノをいう世界のように感じますが全ては計算。
施主、建物、材木、職人、全ての些細なことにも気を配ることができなければ、棟梁は務まらないのだと思います。
大工でなくても全ての人に当てはまる部分があるのではないでしょうか。
さて、自由行動すぎる父を捕まえて見学したのは数奇屋建築のコーナー。
実寸大の茶室駆体があり、実際に中に入って見学することができます。
解説というより非常に小言がうるさい。
私の祖父は一緒に美術館に出かけると、展示してある茶道具全てに値段を付けながら鑑賞をするという曲者でしたが、父もなかなかの素質の持ち主です。
ですが、色々な考え方や信念を聞くと数奇屋建築がいかに概念化されず繊細で美的センスが集結された建物かということが具に感じられます。
結局いつも仕事(建築)の話しかできない父娘ではありますが、それもまた我が家らしい休日です。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
(1日に1ポイントのみの進呈です)
・毎日変わりますので、ご注意ください。
・店舗のみのサービスとさせて頂きます。
あしからず御了承願います。
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10 件のコメント
久しぶりの茶室彼是。すご~~いっ!!行ってみたいです。楽しそう。
「解説というより非常に小言がうるさい。」笑わせて頂きました(^^;)(失礼)
勉強に成ります、と書いたら良いのか、知らないことはまだまだ沢山あるなぁ~と。
毎週日曜のブログ担当、大変とは思いますが、こちら側は楽しみにしております。
まだまだ色々教えて下さい。
よ様
コメントいただきましてありがとうございます。
リアルな親子のやり取りを笑っていただけて良かったです!
これが日常です。
また、お付き合いいただけましたら幸いです!
寺田様
お父様とのお出かけ場所のチョイスが素敵です。
大工道具の博物館、初めて知りました。
寺社建築好きで、西岡棟梁の本を何度も読んでました。
先人達の技術、仕事の足跡が垣間見える場所を教えてくださいまして、ありがとうございます。
ぼん様
コメントをいただきましてありがとうございます。
西岡棟梁、映像などで拝見するお姿も厳しい眼差しや指先などやはり偉大な方だったのだと感じます。
社寺建築にご興味がおありとのことですので、ぜひ一度!おすすめです!
今回も興味深く読ませて頂きました。
孫として娘として、二代に渡る「棟梁」を日々の暮らしの中で触れられて理解されている事に羨ましく思います。
鉄道建築に携わる仕事をしてきた私ですが、木造建築は奥が深く、なかなか一朝一夕に理解できるものではありませんね。
私も機会を作って、一度この道具館に行ってみたいと思いました。
続きの「茶室彼是」も楽しみにしております♪
kazu-endlix様
コメントをいただきましてありがとうございます。
お父さんがお勤めのお家に生まれたかったなーと思ったこともなきにしもあらず・・・ですが、今となってはなかなか変な家に生まれて良かったなと思います(笑)
鉄道建築とは!また興味深いところです。またぜひお話を伺わせてくださいませ。
そして、ぜひ神戸に行かれた際は竹中道具館へ行ってみてくださいませ!
父娘でのお出かけ、行き先が渋いですね!
大工道具館、初めて知りました。こうした技術や伝統は、もっと多くの人(勿論私も含めて)が知る機会があると良いですね。
そして棟梁の言葉はぐっとくるものがありました。うちの職場の天下りども…あ、いえ上司(苦笑)に毎朝読んで欲しいです。
私は幼い頃父を亡くしましたので、
寺田さん父娘のお出かけが羨ましくも微笑ましく拝読させて頂きました。素敵な場所を紹介してくださり、ありがとうございました。
chabo様
コメントをいただきましてありがとうございます。
普段はなかなかゆっくりと会話することもないのですが、お互いに興味のある場所を忖度いたしました(笑)
時代もあるかもしれないのですが、西岡棟梁の言葉の芯の強さのようなものは並大抵な努力をされていたからなのではないのかと勝手に想像しています。
ちょっとマニアックな博物館も面白い発見がありますよ!
西岡棟梁の、木に学べ、は教科書で出会いました。歴史の教科書に出てくる法隆寺と現代が今もなお、つながっていて、時空を飛び越え、かつての日本でその技術は完成されてたんだ・・先人のたちの偉大な軌跡。 その後、オトナになってから、そのお話を全編を通して拝読させていただいたことなど思い出しました。
個人的には、お父様の小言も聞いてみたいし、自己流鑑定団のお値段も聞いてみたいです。(ふふふ)
はな様
コメントをいただきましてありがとうございます。
そうですか!教科書にも載っているのですね!はな様の感想と言葉の表現がとても素敵です。
ロマンを感じますね。
父の小言も勝手に鑑定団も博物館からしたらとても迷惑だと思いますが、私も個人的には楽しくて大好きです(笑)