一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“第六十三話/雪花絞り”
僕が田端さんに提案した事がもう一つあった。それは”板締め雪花絞り”だった。
雪花絞りといえば今や浴衣の特集ページには必ずと言っていいほど出てくる超人気の絞りだが、当時は全国の絞り業者の中でも唯一、名古屋の有松で張正さんが生業としてやっておられたのみだった。
もちろん雪花絞りは昔からあるが、その価値が業界の誰にも認められず張正さんしかやっていなかったのだ。
しかし僕は初めて張正さんの工房におじゃましたときに「これしかない!」と思った。詳しい事はジャパンブランドプロジェクトを参照していただくとして、要は他の絞りより柄が新鮮でモダン、比較的簡単な技術で作れるので量産に向いていて、しかも中国製が無い(当時)。
絞りの90%以上が中国産になってしまった今、雪花絞りは値崩れに悩まされる事なく、同時に国産を守れる千載一遇のチャンスだと思ったのだ。
また、雪花絞りはとてもカワイイのに先述のとおり当時全く世の中に知られてなかった。事実SOU・SOUジャパンブランドプロジェクト前の全浴衣カタログを見ても雪花絞りを見つけることは出来ないだろう。だから田端さんにもその技術をマスターしてもらい、雪花を世に広める一助を担ってもらいたいと思った。
田端さんはもともと京鹿の子絞りの職人さん。いきなり別分野の絞りをやれと言われて戸惑われたに違いない。
しかし素直にトライし、練習を重ね、失敗を重ね、全て独学でマスターされたのが彼の凄いところ。そして今や“雪花”はたばた絞りの柱となっているのではないかと思う。
それにしても田端さんは、やる気に満ちた職人さんである。
絞り業界は衰退しているが、やはりそれは携わる人の責任が大きいと思う。時代のせいでも世の中のせいでもない。ぐんぐん成長しているたばた絞りを見ているとはっきりわかる。今後は更に次の世代のことを考えて、人材の育成に尽力して頂けたらと思う。
SOU•SOUへの道はこれで一旦終わります。
続きはいずれまた。
それでは、また明日。
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