一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【56】”
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!
学生時代、毎週のように遊びに行っていたお宅がありました。
元々は祖父の古くからの知人で、ご自宅でお茶のお稽古をされている先生でもあります。
当時、私はお茶のお稽古をしていなかったので、おしゃべりしながらお茶を飲んだり一緒に食事をするのが楽しみで厚かましくもお邪魔していました。
お台所でよく眺めていたのが、割烹着姿の先生がお菓子作りをしている光景。
いつもお鍋には小豆が炊かれ、優しい匂いが立ち込めていました。
そしてその横ではお砂糖と粉に紅を垂らして混ぜた色とりどりの粉を、蝶や桜の木型に摺り入れてコンコンと木枠を叩くと、型から可愛らしい干菓子がコロンコロンと出来上がる。
先生は、そうして季節ごとのお菓子を全て手作りしておられ、私はその横で出来立てのお菓子をつまみ食いをするのが楽しみでした。
前置きが長くなリました。
またまたお菓子の話ですが、お付き合いくださいませ。
京都の祇園に小さな美術館があります。
「ZENBI」
くずきりが有名な「鍵善良房」さんの美術館。
▲入館チケットも黒田辰秋の棗をオマージュしたもの
美術館からほど近いお店へ行くと、人間国宝・黒田辰秋の美しい漆の作品と一緒に干菓子の型が並んでいます。
くずきりと並んで名物なのが美しい季節の干菓子。
現在、ZENBIではそのお菓子の型がずらりと展示されています。
桜や紅葉など季節の定番の木型から、菊を模った鍵善の代表的なお菓子「菊寿糖」の木型もあります。
▲元治元年(1864年)に新調された木型。幕末、池田屋事件のあった年です!
お茶とお菓子、切っても切り離せない組み合わせを美しく表現するところが日本的です。
まずはお菓子を鑑賞し、口に含んで甘みを感じお茶をいただくとお茶の美味しさが一層引き立ちます。
あぁ、想像しただけでも豊な時を感じます。
この展示の魅力はなんと言っても、実際に使われていた道具であるというところ。
木型を掘る職人さん、お菓子を作る職人さん、お菓子を愛でお茶を楽しむ人々の一連の繋がりも一期一会なのかもしれません。
京都のSOU・SOUへお越しの際はお菓子屋さんの小さな美術館へ立ち寄られてみてはいかがでしょうか。
※展示内容などはご確認の上、お出かけくださいませ。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
・店舗でお会計時に、〔今日の合言葉〕を言って頂くと、1ポイント差し上げます。
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あしからず御了承願います。
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4 件のコメント
この干菓子の型!・・昔ばあちゃんと型押しして作った色付き餅を思い出しました。
いつ、何の時に作ったのか思いだせませんが、何かの行事のたびに、「しんこ」と言ったかな?
懐かしい~・・・。ありがとう、寺田さん\(^o^)/
よっ!様
いつも温かいコメントをいただきましてありがとうございます。
地方によってはお祝いの時などに使用されたお餅や練り物の型があるようですね。
家族の歴史の一品ですね!
使い込まれたお道具・そのお道具から作られるお干菓子の文様はまさに、見慣れた現役、今様。むしろ、幕末からこういうお菓子があったんですか?・・お干菓子の控えめな底ヂカラに心が動かされます。先人の方々が愛で続けてこられた季節を干菓子の中にみつけた・・。そんな朝になりました。春はタケノコ・・(清少納言も、ホントはそう思っていたに違いない)
はな様
いつも素敵なコメントをいただきましてありがとうございます。
菊の形の「菊寿糖」は幕末から変わらず今も販売されていうるようです!今見ても洗練されたデザインなだけに驚きます。
春はタケノコ・・・クスッとしてしまいました。私もきっとそう思っていたと思います(笑)