一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【54】”
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!
内輪の小さなお茶会、とは言っても私にできる最低限のおもてなしを・・・
と考えた時に必須だったものは3つ。
お茶・お菓子・お花
お茶とお菓子を購入できるお店は此処、京都で困ることはありません。
問題はお花です。
私の母は植物好きで、どこからともなく持って帰ってきた季節の花々を部屋に活けて日々のおもてなしをしています。
「どこからともなく」とは生垣や庭の植物、畦道の草花、散歩途中で出会った方に分けてもらったり様々。
でも、急に都合よく頃合いの花を手に入れることは私には少しハードルが高いな〜。
なんてことを考えていた時に出会ったのが、和花を扱う花屋さんの存在。
京都のSOU・SOUからも程近い「花政」さん(数軒隣は新撰組でお馴染みの池田屋跡)は創業160年を越える老舗中の老舗の花屋さん。
店内には小さな花や実をつけた枝や青々とした葉の椿など、小さくて可憐な山野草や和花が並びます。
日本人だからなのか、それとも自分が野山を駆けて育ったからなのか、和花には洋花の華やかさがなくとも心トキメクような可愛らしさがあります。
さて、床に活ける花を求めに行きましたが、どんな花がどれだけ必要なのかもわかりません。
お店の方に花を活ける場所と花入れと用途を伝え、見繕っていただくことにしました。
椿と山茱萸(さんしゅ)の枝。
見たこと聞いたこともない山茱萸、自分では絶対に選べないチョイスで季節の植物を知ることも大切な勉強です。
そして、2週間程経った別の機会に同じように茶室に活ける花を探しに行った時のこと。
お店の方は私を覚えていてくださったようで、その日は前回とは違う趣の椿と雛祭りが近かったこともあり桃を勧めてくださりました。
その際、少し複雑な形状になっていた椿の枝を見て
「この蕾を使ってくださいね、あとこの葉っぱを生かしてください」
と、アドバイスをくださいました。
お茶室のお花には葉の枚数などの決まりがあり、初心者の私は自然の枝木を相手に悪戦苦闘。
いつまで経っても準備が進まず花と戯れるのが想像できるだけに、このアドバイスは本当にありがたかったです。
そのアドバイス通りに活けたつもりですが、やはり先生のようにはいきませんね。
もっと自然に目をやり花の声に耳を澄ませたいと思います。
《つづく》
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それでは、また明日。
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【今日の合言葉】
「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」
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6 件のコメント
またまた共有話題をありがとうございます!
春には黄色の花、秋のグミの様な甘酸っぱい赤い実は
漢方生薬として有名な山茱萸。
漏れを防ぐ収斂作用や腎の滋養強壮効果があって、
年齢によるトラブルの味方六味地黄丸、八味地黄丸
に配合されたり、果実酒やジャムも人気です。
生薬のきっかけって、日常の勇姿からだそうで、
山茱萸も、真っ赤で生命力感じるなぁとか、
こんなに酸っぱいとキュッと引き締まるに違いない。
なんてエントリーされたのかもと想像しています。
由ちゃんこの度も素敵な話題の提案
ありがとうございます。また楽しみしています。
大藤さま
コメントをいただきましてありがとうございます。
なんと、まさにホットな話題ですね!
山茱萸の実にそんな効能があったなんて知りませんでした。
生薬になるきっかけも面白いですね!人間らしい考え方に親近感を感じます。
いつも「ため」になる知識をありがとうございます!!
また、お話しできるのが楽しみです!!
和花、山野草。何かホッとする、というのか、心安らぐ雰囲気ですよね。
「お茶室のお花には~~」そうなのですね。色々な決まりごと、知らない身には勉強になります。
いえいえ、素敵だと思いますよ~!って、お茶の道の方からはそう見えないのかしら?
いつも素敵なお茶室お写真。皆さんのお茶室写真、うきうきしながら拝見しています。
まだまだ情報、楽しみにしております。
コメントをいただきましてありがとうございます。
お茶のお稽古を始めてからは、洋花よりも道端に咲いている花やお寺などのお庭に咲いている季節の花に目がいくようになりました。
一年中手に入るお花もありますが、やっぱり「季節」って大切だな〜と感じます!
お花やさんのお花は、私を少女漫画の主人公のような乙女な気持ちにさせてくれますし、お茶室のお花は、遠くの大自然には行けなくても、身の回りにも自然はちゃんとあることに気づかてくれます。
どちらも素敵。道端のお花にも気づき、季節を感じられる心の余裕をもちたいものです・・・。
野に在るように生ける・・これは、かなりの高等テクニックだと思います・・・。なんなんでしょうね?バランスなんでしょうか?「なんか違う」・・そ寺田さんの気持ちに深い共感を覚えます。
はな様
コメントをいただきましてありがとうございます。
私の場合は未熟さ故、なんとか型にはめたいと思ってしまうのが自然と逆行して「なんか違う」になってしまうのかもしれませんね。
まるで禅修行のようです。
それでも季節の花を愛で、茶室でお客様と気持ちを同じくするのは幸福な時間です。
はな様のコメントを拝見して、まるで一編の詩を読んだような豊な気持ちになりました。
ありがとうございます。