一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【41】”
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!
さて本日はSOU・SOU茶室のこと。
茶室には「水屋」というお点前の準備をするお勝手のような場所があります。
紆余曲折、限られたスペースでなんとか水屋スペースを確保したところで唯一、若林の要望があったのです。
「水屋でお湯が出て欲しい」
水屋について無知な私は帰宅後、その要望をそのまま父に伝えました。
「若林さんが水屋でお湯が出て欲しいって言うてはるねんけど。」
設備的には不可能ではないだろうと想像していた私。
しかし、父は真面目な顔で私に淡々と説明し始めました。
水屋では、お点前の準備としてお茶碗などの大切な道具を扱います。
今の時代でこそ水屋に水道の蛇口がついている場合がありますが、基本的には水瓶に水を張り柄杓を使って支度をします。
蛇口が付くことによって万が一、大切な道具をぶつけてしまったりしては一大事なので本来は金属的なものがない方が好ましい。
しかもSOU・SOU茶室は室内の中で、別の場所に水道もあるので蛇口は必要ないのではないか・・・お湯が出ることで傷みの原因にもなるよ。
諸々の話を聞いたのち、父から「もう一度、若林さんに伝えてみなさい」と言われ、翌日重い足取りで若林のもとへ出向き、お湯は不要なのではないかと・・・説明を終える前に若林から出てきた言葉は
「お湯が出たらアカン理由にはならへんな」
「いや・・・それはそうなんですけどー」
と私の返事は先細っていき返す言葉もなくなってしまい,
父もそこまで言うなら混合栓(お湯も出る蛇口)を探そう!と言うことにおさまりました。
その時のメモを見返すと、私の自信なさげな字で
「(お湯が出るのが)アカンわけではない」
と小さく書いてありました。
こういう時には父と若林が直接やり取りすればいいじゃないのかと何度も思ったのですが、ほとんどのやり取りで私を間に入れてくださったおかげで、私には大きな学びがあったこととも事実です。
ちなみに若林の「お湯」への想いは、自らのお稽古場の水屋の水が冷たすぎるという理由らしいです。
たかがお湯、されどお湯。
今でこそ笑い話ですが、SOU・SOU茶室の水屋の蛇口を見るたびに思い出しています。
《つづく》
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それでは、また明日。
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6 件のコメント
お湯、今では簡単にセンを捻ったら出ますけど・・・。でも、手が荒れますよね(^^;)
「父と若林が直接やり取りすればいいじゃないのかと何度も思ったのですが、ほとんどのやり取りで私を間に入れてくださったおかげで、私には大きな学びがあったこととも事実です。」
んっ・・読んでいて、直接やりとりしたらと見ていましたが、おかげで学びがあったと、良い方向へ。
お互いもワンクッションあることで、ぶつからずに済む、というのも。間の人は困りますけど。
返せない、・・わかります(^^;)ですよね。
色々詰まったSOU・SOUの茶室、お伺い出来たら嬉しいなぁ~\(^o^)/
よっ様
いつもコメントをいただきまして誠にありがとうございます。
直接やり取りするのはとても簡単かもしれませんが、間に入って両方の意見や要望を聞いているうちに、ただの伝達では相手に伝わらないと色々なことを考えるようになりました。
とてもありがたいと思っています。
今後もお付き合いいただけましたら幸いでございます。
お父様の対応が素晴らしいですね。
社長の意見を聞きながら、メリットデメリットを伝え、その上での社長の判断を柔軟に受け入れ、対応していく。伝統の守るだけでなく、未来につなげていく姿勢に今日も学ばせていただきました。
双方の意見が一致していないところでの伝達係の寺田さんのハラハラ感。職場あるある、のワンシーンではありますが、決定権のない中で意見が言えるわけでもなく・・・どうなっちゃうの??ってありますよね・・。いろんな思い出がSOU・SOU茶室には詰まってきましたね。来週も楽しみにしています。
はな様
コメントいただきましてありがとうございます。
また恐れ多いお言葉を頂戴しまして恐縮に存じます。
その時はどうしたら良いのかを自分なりに考えていたのかと思い出しておりました!
今でこそ笑い話になりましたが、私が無知なことも良かったのかもしれません。
今後もお付き合いいただけましたら幸いでございます。
水屋でお湯が出て欲しい!というのは 若林社長の思いやりですね 社員の皆さまが 冬にお稽古で水屋を使うときのことを考えて なんでしょうね
さすがでございます
先生によく言われました お茶はおもいやりと気配りだと
毎週 日曜日は茶室彼是を楽しみにしています
長く続くと嬉しいです
花ちゃん様
コメントをいただきましてありがとうございます。
また、嬉しいお言葉まで頂戴し恐縮に存じます。
私はまだ、水屋のお湯を体験していないのですが、いつかお湯が出て良かったと思う日が来るような気がします!
拙い文章ではありますがお付き合いいただけましたら幸いに存じます。