一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“第三十八話/リニューアル”
以前にも書いたが、当初のSOU・SOU京都店の場所はわかりづらかった。
冬のある平日の夕方、お店に一本の電話があった。
「そちらのお店はどうやって行けばいいですか?」
中年位の女性の声だった。
「どちらからお越しですか?」
「京都駅からタクシーで行きます」
「あ、そうですか。それでは“御幸町御池を上がったところ”と運転手さんに伝えてください。そこに真っ黒なビルがありますので、その3階です。エレベーターは2階からですのでご注意下さい。」
「わかりました」
一旦電話を切った。
車で20分位せ着く距離なのに、30分経っても1時間経っても現れない。
さらにしばらくたった頃、「はー、やっと見つけた。。」と言って二人の母娘連れが入って来られた。
二人は少し雨に濡れていた。
「いらっしゃいませ。ひょっとして先ほどお電話頂いたお客様ですか?」
「はい、そうです。ちょっと迷ってその辺でぐるぐる歩いてしまいました」
「すみません。上手く説明出来ていなくて・・・」
店内の地下足袋をいろいろ見られて、娘さんが貼付地下足袋TA-I-RU(今は廃盤)をお買い上げになり、そのまま店を出ようとエレベーターボタンを押された。
<懐かしの貼付地下足袋TA-I-RU>
窓の外を見るとまだ雨が降っていたので「ちょっと待ってください」と言って、不要なビニール傘を差し上げた。
そして「今から京都観光ですか?」と訪ねたら、「いえ、もう帰ります」とおっしゃった。
「どこからお見えですか?」
「北海道です。」
「えー!北海道からわざわざですか?ひょっとして地下足袋を買いにですか?」
「そうです。」
「せっかくなのでよかったら、少し京都観光でもされては如何ですか? 時間ありませんか?」
僕は申し訳ない気持ちになって、ついその母娘にそんな事を言ってしまった。
しかし観光はまた今度にということで、そのまま空港に向かわれた。
そんなことならタダで差し上げてもよかったな─という気持ちになった。
この時に「もうSOU・SOUは路面店にしよう。わかる人だけ来てくれれば良いという尖った洋服屋みたいなスタンスはSOU・SOUには向いていない」と強く思った。
そこで、まず旗だけ作って仮設オープンしていた「SOU・SOU足袋(現在はSOU・SOU le coq sportif )」の場所を「SOU・SOU伊勢木綿」としてリニューアルオープンし、SOU・SOU足袋も移転リニューアルオープンすることにした。ちなみに今はそこが「SOU・SOU伊勢木綿」になってます。
(移転後の「SOU・SOU足袋」現在は「SOU・SOU伊勢木綿」になってます)
その後それまでSOU・SOUがあった場所をどうしようかと考えた。
ビルの3階にあって、広々とした空間を生かすには何がいいか・・・?と考えたとき”家具屋”が頭に浮かんだ。
ちょうど上の階には辻村デザイン事務所もある。
場合によっては家具のオーダーも出来るしちょうどいいな。。
という訳で、”SOU・SOUしつらい”というカテゴリーを作って、家具・インテリア雑貨の店にすることにした。
(次回に続く)
それでは、また明日。
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「SOU・SOUへの道/第三十八話」
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