一期一絵 毎日更新!SOU・SOU読本

令和3年08月14日 土曜日号

一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事

“第三十五話/日進ゴム”


SOU・SOU足袋を発売してすぐに、NHKが取材に来てくれた。実質、これが初めてのテレビ取材だった。
どうして地下足袋をやり始めたのか等いろいろ聞かれ、取材で埼玉県のまるそう産業や兵庫県の高砂産業、岡山県のコレクト(生地屋)等をカメラマン、ディレクターの人たちと一緒に旅した。
十数分の番組だったと思うが、ものすごく長い時間カメラを回した。
さすがはNHK。時間と資金に余裕がある。
そして一度撮った映像は、同じ局内の他の番組でも使われたりしていて、結局4番組でSOU・SOU足袋を放送してくれた。
これはさすがに勢いがついた。そして地下足袋工場の方達もとても喜んで下さった。
NHKの信頼度はすごいと感じた。
そして某日、東京店にスーツを着た一人のおじさんがやって来た。そのおじさんは一通りSOU・SOUのカラフルな地下足袋を見て
「SOU・SOUさんはすごい!地下足袋のステージを上げてくれた。ありがとう!!」
と言い放って帰っていかれた。
後でその男性は自力足袋で有名な(株)日進ゴムの植田部長だということがわかった。
当時、日進ゴムさんとは取引がなかったが、SOU・SOU足袋みたいなものが世に出て来たことが本当にうれしかったのだったという。
そしてこの後日進ゴムとの取引が始まることになる。


(日進ゴム 植田部長)
その後、植田部長は会社に戻って地下足袋がファッショナブルに生まれ変わったということを同社の会長にお話しになられた。
会長はとても地下足袋が好きな方で、ご高齢で足が悪かったにも関わらず、後日岡山の本社から京都のSOU・SOUまでわざわざお運び下さった。
この頃店頭にはまだまるそう産業と高砂産業の地下足袋しかなかったが、カラフルでポップな地下足袋を見て会長はとても喜んでおられた。
隣におられた奥様が「お父さん、こういう若い人が出てきてよかったね、嬉しいね」と仰っていた。僕も嬉しかった。
その後しばらくして会長はお亡くなりになられた。
たった一度だったが、あのご夫妻にお会いできて本当によかったと思う。
(次回に続く)



それでは、また明日。

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「SOU・SOUへの道/第三十五話」

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