一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【33】”
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!
SOU・SOUの「そう」は「そう、そう」という相槌の「そう」
クリエイティブの「創」
装いの「装」
住まいの「荘」
かんたんの「草(そう)」
「かんたんの草(そう)」とは、日本文化の中で生まれた美意識を表現する「真(しん)・行(ぎょう)・草(そう)」の「草」のこと。
茶室はこの「草」の部類に入る建物なのです。
例えば、きらびやかな装飾が施された書院造りの建物が「真」であるとするならば茶室は素朴で簡素。
その詫びた世界の中に美を追求するものなのだと思います。
さてそんな「草」の空間、SOU・SOU茶室の天井を見上げてみます。
少し荒っぽい板が貼られていますが、これも実は茶室が「草」であることを示しています。
気持ちを少しだけ千利休の生きた戦国時代にタイムスリップしてみましょう。
喧騒からは離れた素朴な空間。
「草」の庵。
見た目に分かる華美なものはありません。
木・土・紙・竹どれも日本人の生活の中で身近なものをありのまま使うことを「美」としました。
今の時代なら、つやつやピカピカの板を天井に貼ることは容易ことですが、それでは全体的な「草」の空間のバランスが崩れてしまいます。
ですので、この「へぎ板」という板が貼られます。
「へぎ板」は杉の板を熟練の職人さんが薄くへつらった板。
一見、なんのこともない板にも見えますが実はこれが現在では「超」が付くほどの貴重品。
職人の手仕事でしか生み出せない「へぎ板」を扱える職人さんがおらず、へぎ板を求めて大工が血眼になって探すそう。
そのため祖父の時代から比べると2倍、3倍と価格は高騰。
ピカピカの板ならば機械で簡単にできるものを、今や「草」であるはずのへぎ板の方が高級品とはなんとも皮肉なことです。
さらに、へぎ板の中でも奈良県の「吉野杉」のへぎ板は扱いが非常に難しく特に貴重なものになっているそうです。
SOU・SOUの茶室にも無事に仕上げられた「吉野杉のへぎ板」。
板を入手するだけでも困難を強いられた天井、実はそれだけではありません。
写真をご覧いただけるとお分かりいただけるよう、室内に建てているSOU・SOUの茶室は既存の天井と茶室の天井との間がごく僅かしかなく、天井がカッツカツの状態。
同じ広さの天井なら2〜3日で終えられるものが、釘を打つスペースの余裕がなく1週間程度かったほど。
父曰く
「床より天井の方が上等や、絶対に濡らしたらアカンで!」
と言うことで、手垢が付くのも怖くて決して触れるまいと心に誓いました。
《つづく》
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それでは、また明日。
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2 件のコメント
「草」であるはずのへぎ板の方が高級品!
何が価値があるかは難しいですね(^^;)
また、難しい仕事(天井貼り)、大変でしたでしょうね。
SOU・SOU、「そう」。いつも思います、そう、そう・・。意味のある「そう」\(^o^)/
よっ様
いつもコメントをいただきましてありがとうございます。
いいことのような、少し残念なような気もしますが時代によって価値は変わるものですね!