一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事
“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【32】”
数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!
「そこでお扇子を持ってにじり入るのよ」
「ニジリハイルってどういうこと?」
初めてのお茶のお稽古での出来事。
大人になっても分からない動作があるんだ!と、驚きと同時に戸惑った記憶です。
にじり入るとは・・・
正座しながら手をついてそのまま体を進める動き。
これは簡単そうに見えて意外とスイスイ進まない、修行の身には思わずよっこらしょ!と言葉が出てきそう動作です。
さて「にじり入る」という動作もそうですが、茶室には「躙口(にじりぐち)」という出入口があります。
「ニジリ」と言う学校では教えてくれない言葉。
そうです、コビトの入り口か?はたまた忍者屋敷のからくり扉かと思うほど不自然に小さい入り口。
「おもてなし」を礎とする茶道の世界で、お客様をわざわざ小さい戸から出入りさせるなんてちょっとトンチンカンなように思いますが、理由なしに何百年も受け継がれるはずもありません。
茶道の祖、千利休の生きた時代は戦国時代真っ只中。身分の階級が強い時代でした。
ですが、茶室の中では全ての人が平等で、どんなに身分の高い人でも刀を外して頭を下げて入らなければならない。
そんな時代の価値観を覆すものでした。
そのため、その昔は茶室には刀掛があったそうです。
なるほどなーと感心しながら、当時の千利休と秀吉の関係性を想像せずにはいられませんね。
さて、現代は刀を持った物騒な人もお殿様もおりませんので本当は別に身を小さくにじり入る必要はありません。
その代わり戦国時代よりも人類が少しだけ進化して日本人も全体的に大柄になりましたし、外国の方もお茶を楽しむことが多くなりました。
ですので父は場所や使われる人を想定し、場合によっては少しだけ躙口を大きく設計することもあります。
SOU・SOUの茶室にもちゃんと躙口がございます!
にじり入ることもできますよ。
躙口があることで、和室からぐっと茶室の雰囲気になります。
躙口の向こうに続く狭くとも無限な世界を持つ茶室、今も躙口が残っていると言うことは「茶室の中では皆平等」と利休が想う精神が受け継がれていると言うことですね。
《つづく》
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それでは、また明日。
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2 件のコメント
ずずっつ、ずずっ・・っと、入るやつ・・ですよね(^^;)
あれ、良いなぁ~なんて、思っているの、私ぐらいかな?(^^;)
お茶席、いつか、きっと!・・・。
よっ!さま
いつもコメントをいただきましてありがとうございます。
そうです!ズズズっと入るあれです。
どうにも先輩たちのようにスマートにはいきません。
まだまだ修行中です!