一期一絵 毎日更新!SOU・SOU読本

令和3年06月26日 土曜日号

一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事

“第二十九話/高砂産業”


日本の伝統的な履物「地下足袋」は国産であるべき!そう思い続けて工場を探していたところ、
ある会社の紹介で高砂産業さんに出会うことができた。


(高砂産業 本社工場の看板)
高砂産業さんとの最初の打ち合わせのときに、僕は15分くらい遅刻をしてしまった。
そのせいかどうかは知らないが、
加古社長はニコリともせず不機嫌そうな面持ちで、
終始重い空気が流れていた。
20柄以上の加工書を見せて、表地裏地の柄合わせの指示や今後のビジネス展開等を話したが、
「ウチでは出来ひんな」と一蹴された。
こりゃあかん!と思い、とりあえず柄合わせ不要の簡単なものだけを机の上に残し、
その他の加工書や生地を見えないところに隠した。
「どのように裁断して頂いてもOKです、これなら大丈夫ですよね」と言って、何とか考え直してもらえた。
まーこれが現実だと思った。どこの馬の骨かわからん初対面の男に、
地下足袋についてあーしろ、こーしろ言われて、はいそうですかとはなかなかならない。
それに一回きりのオーダーで終わりだろうと思われていたのだから、なおさらだ。
しかしながら、結果的にこのとき加古社長がオーダーを受けてくださったことが
次に繋がっていったことは事実だ。本当に感謝しなければいけない。
地下足袋に関しては立ち上げから数年に渡り、生産を一人で担当してくれた畑中という女性スタッフがいた。
どんくさいところもあったが、人情があってとてもいいヤツだった。
仕事面では僕とよく口論になったが、本当によく耐え、がんばってくれた。彼女無しでは今はないと思っている。
彼女は8年前料理人のもとに嫁いだ。小料理屋の女将兼、母親としていそがしい毎日を送っているはず。
大変だとは思いますが、持ち前の明るさでがんばってほしい。
(次回に続く)


それでは、また明日。

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「SOU・SOUへの道/第二十九話」

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