本間と古川の染織倶楽部 /
“第二十八話:『染色堅牢度』について”
染織倶楽部・第二十八話は『染色堅牢度(せんしょくけんろうど)』についてご紹介致します。
染色堅牢度といっても聞き慣れない方が多いと思います。
染色堅牢度とは、染料で染色された染色物や、顔料で着色された繊維製品が、
使用中に受ける様々な作用(日光や汗、洗濯、摩擦、アイロン、等)の要因により、
変色したり、退色したりして、染色物が変化してしまうことへの強度のことを言います。
早い話が色落ちです。
堅牢度は5級から1級まで有り、数字が大きい程強く(色が落ちない)なります。
色落ちの代表的なのが「藍染め」です。
染めおりでも 伊勢木綿先染め 藍染め の反物がいくつかございます。
写真の反物は臼井織布で20年〜30年前に織らたデッドストックのヴィンテージ物です。
経糸に硫化紺、緯糸に藍を使用しております。
硫化紺は酸性、藍はアルカリ性のため、
これを経糸と緯糸に使用して織ることによって、
中和され、色を定着させていたようです。
(硫化紺は公害や、排水の問題等で現在は国内での使用が禁止されております。)
ただ堅牢度は弱く、半年間位はお洗濯の際に色落ちがございます。
以前は糸の段階で半年置いて、織ったあとさらに一年置いて、
色を昇華させ、不純物を取り除いていたそうです。
現在、色落ちのこともあり、臼井織布では一般向けの商品に、
「藍染め」の反物は織られておらず、
ごく一部の、藍染めの特性をご存知の方にのみ織られいるそうです。
こちらは 伊勢木綿先染め 麻混
経糸に藍染めを使用致しております。
藍に対してインディゴ染料を5%使用致しております。これは色ムラを防ぐ為です。
こちらの反物も堅牢度は低いです。
着衣で扱っている デニム編み 襞(ひだ)もんぺ/濃紺(のうこん)
こちらの商品も同じくインディゴ染料を使用致しております。
デニムと同じで始めのうちはかなり色落ちします。
洗いを重ねていくうちに色落ちは止まります。
その他の、伊勢木綿先染め 反物
こちらに写っている反物は反応染料(化学染料)を使用しているため、
色落ちをすることはまずございません。
検査でも4~5級という高い染色堅牢度の数値がでております。
今回は『染色堅牢度』というちょっと馴染みの少ない、
専門的なことについてご紹介させて頂きました。
色が落ちる、褪せてくることは必ずしも悪いことではなく、
その過程も、「楽しみのひとつ」として捉えていただけたらと思います。