本間と古川の染織倶楽部 /
“第二十一話:『伊勢木綿 先染め 柄』について”
今年最初の染織倶楽部、第二十一話は
伊勢木綿 先染めの柄についてご紹介をさせて頂きます。
伊勢木綿の先染めには様々な柄がございます。
経糸と緯糸の平織りで織り成す無限の柄の組み合わせです。
その幾つかをご紹介致します。
一、小絣(こがすり)
経糸に細かい絣の糸を使用している伊勢木綿の中では珍しい生地です。
今から約百年前、明治時代の柄です。当時は手織りでした。
拡大したもの
二、変り半分縞(かわりはんぶんじま)
昭和初期の柄。絹で織られていたものを伊勢木綿で復刻したものです。
経糸の微妙な配列で色の濃淡を表現しています。
拡大したもの
三、布団縞(ふとんじま)
江戸末期の柄。 伊勢木綿の先祖によって実際に使われていた柄です。
布団縞とは掛け布団や布団などに使われていたことからついた呼名だそうです。
当時は藍色の部分は本藍染めによるものでした。(現在は反応染料)
明治後期の柄。 布団縞の一種です。
伊勢の伝統色である海老茶色と黄土色を使用しています。
江戸末期の柄。 三筋(生地巾に三本の柄が入っていること)の布団縞。
縞と縞の間に広い無地場が有りますが、これは染色技術が発達した
江戸末期以後に見られる柄です。
糸が綺麗に染まっていないと無地の部分がムラになるからです。
綺麗な無地巾が広い生地は上等で贅沢品とされていたそうです。
拡大したもの
四、一本カタハ(いっぽんかたは)
江戸初期の柄。伊勢商人が着物として使用していた柄です。
お客様より目立たないようにと落ち着いた柄の着物を着ていたそうです。
この生地は着物ではなく法被や前掛け等に使う少し厚手(10/10)です。
拡大したもの
五、重ね格子(かさねこうし)
江戸末期の柄。元々はもっと細かい柄で着物用に絹で織られていた柄です。
時代劇では役人が着ていることの多い柄です。
六、貝割格子(かいわれこうし)
明治時代にあったオリジナルの柄を元にSOU・SOUが色出しをして、
さらに織元で配色をアレンジされたものです。年代問わず人気の柄です。
七、七変化弁慶(しちへんげべんけい)
江戸時代の柄。弁慶格子(歌舞伎十八番「勧進帳」に出てくる、
山伏姿の弁慶の舞台衣装にちなんだ名称)を元にアレンジされた柄です。
七変化弁慶はその時々で微妙に違った糸を使用しているため、
全く同じものにはなかなか出会えない生地です。
新店舗の染めおりでは今回ご紹介致しました生地はすべて計り売りで
販売致しております。
この他にも沢山の柄がございます。
また少しずつご紹介させて頂きたいと思います。
これからも是非、お付き合い下さいませ。
2 件のコメント
こんにちわ。 伊勢木綿 伊勢でもあまりお見かけしない貴重な柄が手に入るなんて 素敵!
カタハは わたしが初めてSOU・SOUさんで購入した タイパンツの柄です。合わせカタハだったかしら?正式の名は失念しました。まだまだ 現役。というか とても柔らかく どのてぬぐいよりもクタクタで履いていて心地がよいです。色も藍色でお洒落。宝物です。
染めおりさんの紹介 益々期待しております。
本間さま どうぞ お元気で。
はたむらかおり様
コメントありがとうございます。
先日はご来店頂き誠にありがとうございます。
お会いできてとても嬉しかったです。
あの後、着衣で田端さんと遭遇されていたとはビックリです。運命を感じますね。
染織倶楽部ではこれからも色々な紹介を行ってまいりますので、
拙い文章ではございますがどうぞお付き合い下さいませ。
寒い日が続いておりますので、お体に気を付けてお過ごし下さいませ。