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令和元年08月25日 日曜日号

SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記

“夏の旅/寺田 由”

皆さま、ご機嫌いかがお過ごしでしょうか。
お茶好きの寺田です。

このところもっぱらお家人間でしたが、この夏は重い腰を上げて旅に出かけました。

行き先は日本有数の温泉街、熱海
日帰りでは毎年のように訪れていますが、今回の目的はとあるお宿に宿泊すること。

相模湾を見渡す崖の上に建つこちらの建物は私が生まれた年に祖父が建てたものです。

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祖父の元で仕事をしていた若かりし頃の母が図面を引き、茶室は父が手掛けました。

石はスリランカに技術指導に行き採石し、ガラスもアメリカまで赴き持ち帰った等々・・・
建物だけでも約2年がかりの工事で、あまりの規模の大きさに通常の作業場では材料が入りきらず臨時の作業場を増設したほどだそうです。

そんな我が家の伝説のような話を幼い頃から幾度となく聞いており、
いつか自分の目で見たいと思っておりましたが、個人の邸宅だったため実際に目にすることは叶いませんでした。
ところが、数年前に所有者が変わりホテルとして生まれ変わったと聞き、念願叶って訪ねることができました。

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玄関、ダイニング、一部の数寄屋造りの客室は当時のまま、ほとんど手を加えていないとのこと。
床や建具、照明器具までそのままです。

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なにかと大胆にリノベーションされる建物が多い中、改築された部分は極僅かです。
元々の建物はどこを見ても大切に手がかけられ、30年以上の時を経ても色褪せることなく輝きを増していることに、ただただ感動いたしました。



「この建物が私たちの誇りです。」



と、ありがたいことに多くの従業員の方に声をかけていただき、色々なお話を伺いながら
建物を大切に愛してくださっているという想いが強く伝わり、私も胸に熱くこみ上げるものがありました。

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美味しいお料理や景色はさることながら、心尽くしのおもてなしと空間に家族の歴史が重なり、
ほんの少しだけ誇らしい気持ちになりました。
それと同時に、世代や持ち主が変わっても人に喜んでもらえるものを自分の手で生み出せる祖父や両親が羨ましくもあります。
新しいものもいいですが、時には古くなりゆく過程を感じるのも良いものです。
建物のには、目に見えない人間関係や信頼関係の歴史でもあるのだと思いました。
今度は家族で訪れたいです。

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