平成26年01月08日 水曜日号
“第二十一話:『伊勢木綿 先染め 柄』について”
今年最初の染織倶楽部、第二十一話は
伊勢木綿 先染めの柄についてご紹介をさせて頂きます。
伊勢木綿の先染めには様々な柄がございます。
経糸と緯糸の平織りで織り成す無限の柄の組み合わせです。
その幾つかをご紹介致します。
一、小絣(こがすり)
経糸に細かい絣の糸を使用している伊勢木綿の中では珍しい生地です。
今から約百年前、明治時代の柄です。当時は手織りでした。
拡大したもの
二、変り半分縞(かわりはんぶんじま)
昭和初期の柄。絹で織られていたものを伊勢木綿で復刻したものです。
経糸の微妙な配列で色の濃淡を表現しています。
拡大したもの
三、布団縞(ふとんじま)
江戸末期の柄。 伊勢木綿の先祖によって実際に使われていた柄です。
布団縞とは掛け布団や布団などに使われていたことからついた呼名だそうです。
当時は藍色の部分は本藍染めによるものでした。(現在は反応染料)
明治後期の柄。 布団縞の一種です。
伊勢の伝統色である海老茶色と黄土色を使用しています。
江戸末期の柄。 三筋(生地巾に三本の柄が入っていること)の布団縞。
縞と縞の間に広い無地場が有りますが、これは染色技術が発達した
江戸末期以後に見られる柄です。
糸が綺麗に染まっていないと無地の部分がムラになるからです。
綺麗な無地巾が広い生地は上等で贅沢品とされていたそうです。
拡大したもの
四、一本カタハ(いっぽんかたは)
江戸初期の柄。伊勢商人が着物として使用していた柄です。
お客様より目立たないようにと落ち着いた柄の着物を着ていたそうです。
この生地は着物ではなく法被や前掛け等に使う少し厚手(10/10)です。
拡大したもの
五、重ね格子(かさねこうし)
江戸末期の柄。元々はもっと細かい柄で着物用に絹で織られていた柄です。
時代劇では役人が着ていることの多い柄です。
六、貝割格子(かいわれこうし)
明治時代にあったオリジナルの柄を元にSOU・SOUが色出しをして、
さらに織元で配色をアレンジされたものです。年代問わず人気の柄です。
七、七変化弁慶(しちへんげべんけい)
江戸時代の柄。弁慶格子(歌舞伎十八番「勧進帳」に出てくる、
山伏姿の弁慶の舞台衣装にちなんだ名称)を元にアレンジされた柄です。
七変化弁慶はその時々で微妙に違った糸を使用しているため、
全く同じものにはなかなか出会えない生地です。
新店舗の染めおりでは今回ご紹介致しました生地はすべて計り売りで
販売致しております。
この他にも沢山の柄がございます。
また少しずつご紹介させて頂きたいと思います。
これからも是非、お付き合い下さいませ。
平成25年12月25日 水曜日号
“第二十話『シルクプロテイン加工』について”
新店舗「染めおり」もオープンし、より一層様々な生地、テキスタイルをお楽しみいただけるようになったかと思います。
20回を迎えました染織倶楽部、今回は「シルクプロテイン加工」についてお届けいたします。
業界では知っている方も多くいらっしゃると思いますが、一般的にはまだまだ認知度が低いと思います。
シルクプロテインとは、その名の通り絹のたんぱく質を指します。
天然シルクから抽出された純度の高いたんぱく質を生地にコーティングすることにより、
シルクの持つ特性を生地に施す加工を「シルクプロテイン加工」と呼びます。
特徴としましては
①人の肌に近いアミノ酸を含んでおりますので、肌に優しく保湿効果にも期待が持てます。
②優れた吸湿性と通気性。
雑菌の繁殖を防ぎ、汗をかいてもべたつきません。
③熱伝導性が低く、夏はさわやかで冬はあたたかい着用感です。
衣類は直接肌に触れるものです。
シルクプロテイン加工を施した生地は、お子様にも安心して着用していただけます。
以上の特徴を踏まえ、SOU・SOUではわらべぎでシルクプロテイン加工の商品を
展開中でございます。
■たかしまちぢみ こどもじりそで
ウール地の場合肌触りがより柔らかくなることが多いですが、高島ちぢみの場合、
加工しても、生地そのものの肌触りが柔らかくなるわけではなく、縮特有のシボや
シャリ感は残ります。
防菌消臭効果が期待できるので、お子様が汗をかいても安心です!
いくつかの生地で試作をしておりますが、現在はサンプル段階で不採用となったものも
ございます。
いずれ多様な展開をみせることを、期待したいと思います。
やはり絹は高級なイメージがありますが、同じ特徴を持つ他の生地の商品があれば、
もっと身近に感じられるかもしれませんね。
どこかで見かけた際には、是非チェックしてみて下さい。
平成25年12月18日 水曜日号
“第十九話:『祝・布袋、染めおりオープン』について”
染織倶楽部、第十九話は『祝・布袋、染めおりオープン』といたしまして、
新店舗のご紹介をさせて頂きます。
現在の着衣と傾衣の間にオープン致しました、『布袋と染めおり』
1階は布袋、2階が染めおりです。
布袋は足袋屋の地下にあった店舗がそのまま地上に移店いたしました。
地下にあった時よりも、より明るくポップな印象です。
お馴染みのがま口や書衣、小巾折。
まだネットショップに掲載されていない福島絞りの小巾折。可愛いです。
奥にはもちろん風呂敷コーナーも。
2階へ上がると新ジャンルの“染めおり”です。
まずは伊勢木綿 文(てぬぐい)と特岡、京縮の計り売りが目の前に広がります。
本棚に本がずらっと並んでいるかのように沢山の生地がございます。
ゆっくりくつろぎながらお選びいただけます。
中央辺りにはなべつかみやランチョンマット、布茶たく、
大人気のハギレコーナーも。
以前よりもたっぷりと置けるようになりました。掘り出し物があるかもしれません。
ハギレコーナーの後ろにはSOU・SOU麻織物・岩田工房の生地と、
SOーSUーUプリントが施してある、オープン記念セールの生地。
裏毛タイプの生地もあり、とってもお得です。
暖かいので今時期の衣服を作られる方にはおすすめです。
先へ進むと、新商品の綿の平織21番手の生地に8号帆布、
奥には、のれんに天童木工の椅子が。
反対側には、伊勢木綿先染めの反物の計り売りがずらり。
染めおりにご来店の際には是非ご覧いただきたいコーナーです。
伊勢木綿の20/20(着物地)や30/30(浴衣地)の計り売りは他ではまずないと思います。
これだけの種類がそろっているのもこの“染めおり”ならではです。
畳の上へはご自由にお上がり頂けますので、お気軽にご覧下さいませ。
只今、オープン記念企画と致しまして、生地を合計5000円以上お求めで、
SOU・SOUオリジナル刺繍ネームにお名前や記念日をお入れ致しております。
この機会に是非。
生地のことや、どの生地で何を作ったらいいのか等、
ご質問がございましたらいつでもお尋ね下さいませ。
皆様のお越しを心よりお待ちいたしております。
平成25年11月27日 水曜日号
“第十八話『型口』について”
今回の染織倶楽部は、『型口(かたくち)』についてお届けいたします。
型口というのは手捺染の特徴でございまして、柄を染める際の送り柄の重なりのことを呼びます。
■手ぬぐい/まり
■手ぬぐい/ほほえみ
日本ではこの型口を目立たせないよう、見せないようにとしてきましたが、
海外ではデザインのひとつとして表現しております。
<海外のテキスタイル>
<日本のテキスタイル>
型口を目立たせないために、版を作る際に試行錯誤を繰り返します。
この型口を味とみるか、隠すかどちらが正しいとは判定しがたいものがございます。
型口を極限まで目立たせない日本の職人技術も、一つのデザインとする
海外のデザイナーのおおらかさも、私はどちらも素晴らしいと感じます。
SOU・SOUではこの型口も一つの味として、商品として取り扱っております。
■手捺染 風呂敷/ほほえみ
型口の特徴を知れば、デザインに生かすことも可能です。
■ ひふじばん 十分丈/ひょうたん
将来、この型口が衰退しつつある手捺染の印となるかもしれません。
- コメント
-
目立たなくするにせよ、デザインの一部にするにせよ、かなりの努力を要しそうですね。その何とかしてやろうというのが尊いのだと思います。
前田様
コメントいただき、ありがとうございます。
確かに、型口を生かすも隠すもどこで柄を切って送るのがベストなのか、頭を悩ますところであると思います。
生地端をみるとその柄の型が見えるので、はぎれをご覧になる際の楽しみのひとつとしてもオススメでございます!
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平成25年11月13日 水曜日号
“第十七話:『羅紗』について”
染織倶楽部、第十七話は『羅紗(らしゃ)』についてご紹介致します。
羅紗 御御衣 単(らしゃ おみごろも ひとえ)
冬物商品で沢山登場している『羅紗』
毛織物の一種のことを言い、日本に入って来たのは16世紀の中頃で
南蛮貿易によってもたらされました。
羅紗とはポルトガル語に由来する外来語です。
羅紗 長方形衣 組
第十三話でご紹介致しました『モスリン』は、
毛の中でも「梳毛(そもう)」という毛足が細くて長い毛糸を使用しているのに対し、
『羅紗』は「紡毛(ぼうもう)」という太く短い毛や毛糸屑を使い作られています。
モスリン 四角衣(しかくい) 羅紗 四角衣 組
「梳毛(そもう)」と「紡毛(ぼうもう)」の違いについて少しご紹介致します。
ウールを糸にするには、長めの原料を梳いていく「梳毛(そもう)」と、
短い原料を紡いでいく「紡毛(ぼうもう)」の、2方式があります。
主流をなすのは「梳毛(そもう)」で、薄くて、軽く、しなやかな生地が出来ます。
その工程は極めて長く、複雑です。
「紡毛(ぼうもう)」は梳毛とは呼べない短い毛を紡いでできています。
毛糸屑、非ウール繊維などを混合して糸にすることができ、
梳毛糸に比べて太く、表面の毛羽が多いのが特徴です。
原料を選ばないので、その表情は多彩です。
紡毛糸はツイードやフラノをはじめ毛布やカーペットにも使用されます。
ちなみに日本では毛織物の産地を尾州(愛知県一宮市、尾張西部)の梳毛、
泉州(大阪府南部)の紡毛と呼んだりも致します。
話はかわりまして、SOU・SOUで扱っている羅紗(御御衣・長方形衣・四角衣)は、
実はネットに入れて、洗濯機の手洗いモードで洗って頂くことが出来ます。
普通は紡毛糸を使用しているので洗濯機洗いは出来ませんが、
裏面にはポリエステル、ナイロンを使用したダブルフェイス生地のため
洗ってもほとんど縮みません。
左:何度も洗濯をしている2年前の羅紗 右:新品の羅紗
裏面:何度も洗濯をしている2年前の羅紗
『羅紗』は紡毛糸を密に織って起毛させた厚地の生地であり、
とても丈夫で保湿性も高いです。体を毛布のようにつつみこんでくれます。
これからの冬の寒さにも負けない『羅紗』で暖かく過ごしてみてはいかかでしょうか?
- コメント
-
本間さま
こんばんわ。いつもありがとうございます。
わたしはまさに 毛織の町 愛知は一宮に住んでおります。世界にも十分に通用する素晴らしい毛織が自慢です。今回の記事とても嬉しいです。梳毛という言葉は存じませんでしたので 勉強になりました。もっと地方都市が 地場産業を盛り上げていかなければならないのに こうしてSOU・SOUさんで一宮の毛織に触れることになるとは。。。でも何か「えにし」を感じますので これでいいかな?私も二年前の 羅紗長方形衣 まだまだ現役です。あたたかくて ついつい選んでしまいます。昨年のテキスタイルと余白のコンビ、そして今年のバイカラー「組」大好きな着衣が増えていき 幸せに冬を過ごすことに 感謝いたします。
はたむらかおり様
いつもありがとうございます。
一宮へは川島テキスタイルスクールに通っていた頃に、工場見学をさせてもらいに行ったことがございます。毎年開催されるジャパンテキスタイルコンテストの作品展にも伺い、色々な作品を拝見させて頂きました。生地の美しさに尾州の毛織物のレベルの高さを感じました。
羅紗は紡毛糸を使っておりますので、尾州産ではございませんが、丈夫で暖かいです。
私の二年前の羅紗もまだまだ現役です。
毎年新しいデザインも登場しております。
いつもSOU・SOUを大切に思って頂き、感謝の気持でいっぱいです。ありがとうございます。
また、お店でお会いできるのを楽しみに致しております。
織物の組織の中で綟り織という経糸がもじれて織れる組織があり、さらに、その中に紗織と絽織、そして羅織がありますので、羅紗と間違われないよう気を付けて下さい。
小西誠二様
コメント頂きありがとうございます。
確かに織りの組織と名前が似ていますね。
さすが、織りの組織のプロフェッショナルです。いつも勉強になります。
また小西様の色々な作品を拝見できるのを楽しみに致しております。
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平成25年10月16日 水曜日号
“第十六話『フロッキープリント』について”
今回の染織倶楽部は、『フロッキープリント』についてお届けいたします。
フロッキーとは生地の上に置いた糊に起毛した生地を圧着させ、柄を施す技法です。
『フロッキー』の語源はフロック(植毛)から来ているのだそう。
毛足の長い生地を静電気で起毛させ、カットするという、
なんとも独特の加工方法です。
聞き慣れない言葉ですが、Tシャツに施されることの多い技法ですので
皆さん1度は目にしたことがあるかもしれません。
SOU・SOUでは、SOU・SOU 10th Anniversary 長袖Tシャツで
このフロッキープリントを使用しております。
普通の顔料プリントとは違い、柄が立体的に浮き上がりベルベットのような触り心地が
特徴でございます。
ベルベット調の生地と立体感のあるプリントは、高級感を感じさせます。
SOU・SOU好き必見、10周年を迎えたSOU・SOUのアニバーサリーTシャツ。
皆様も是非、お試し下さいませ。
- コメント
-
時々頼まれて京都案内するのですが オファーをする人をSOU・SOUに連れて来たらすっかりフアンになってしいました。
先日もこのシャツ着てました。
最近会うたびに全身ルコックでスカーフが伊勢木綿なので合うときはかぶらないようにしてます。
島津様
コメントいただき、ありがとうございます。
先日お連れ様がつくものAnniversarTシャツと間がさね青和のくびまきをお召しになっていましたね。
いつもたくさんの方にSOU・SOUをご紹介いただき、誠にありがとうございます。
秋物の新作も、また見せていただけるのを楽しみにしております!
小生が川島織物(現・LIXILグループ川島織物セルコン)に50年前に入社して2年目に研究開発の部門に配属され、カーテンにフロッキー加工をする試作を担当した事があり、もう少しで商品化すると事まで行きましたが、採用されずに終わった経験があります。SOU・SOUのフロッキー加工の商品が成功される事を願います。
小西誠二様
コメントいただき、ありがとうございます。
幾度にも及ぶ研究と試作を重ねてこそ、今の染織技術が確立されるのですね。
今後とも染織倶楽部並びにSOU・SOUにお付き合いの程、宜しくお願い致します。
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平成25年10月09日 水曜日号
“第十五話:『ウール』について”
秋冬になるとウール製品が多くなりますね。
染織倶楽部、第十五話は『ウール』についてご紹介致します。
ウールは羊だけではなく、動物の毛の総称として呼ばれています。
羊から刈り取った毛を羊毛。それ以外から刈り取った毛を獣毛(アンゴラ・
カシミヤなど)といって区分されます。
第十三話でご紹介したモスリンは上質なメリノウール100%です。
オーストラリア・メリノ
ウールの表面には、スケール(髪の毛の場合キューティクルと呼ばれます)
と呼ばれるウロコ状のものが無数にあります。
このスケールと呼ばれるウロコは湿気を含むと開き、
乾燥してくるとウロコは閉じます。(髪の毛も同じです)
つまりスケールの開閉によって、衣服内の湿度を
コントロールしてくれる働きがあります。
スケール
よくウール製品を洗うと縮んでしまうという事を聞いたことが
あるかもしれませんが、それはこのスケールが関係しています。
水に濡れるとスケールが開き、もみ作業によってスケールが絡み合い収縮し、
硬くなります。これをフェルト化といいます。
洗濯機や乾燥機を使用して縮んでしまった経験のある方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか?
最近ではこのウロコを除去したり、樹脂でスケールが開かないように加工したもので、
水洗い可能なウォッシャブルウールとして売られている製品もございます。
(ただしスケールのもつ湿度コントロールは無くなります)
逆にフェルト化させたものを製品化したものも沢山あり、用途に寄って
使い分けられております。
SOU・SOUでもウォッシャブルウールの製品がございます。
■ウォッシャブルウール天竺 小袖莢
(現在店頭のみ販売。近日NETショップ掲載予定)
スケールの開閉によって、衣服内の湿度をコントロールしてくれるウール。
実は秋冬だけではなく、夏にはサマーウールとしても人気があります。
毛の細さ(番手)や織り方、編み方次第では、
秋冬はもちろん、一年通して付き合っていける万能素材なのです。
平成25年09月25日 水曜日号
“第十四話:『泥染め』について”
今回の染織倶楽部は、『泥染め』についてお届けいたします。
「泥染め」とは土から採取される成分を用いる染色技法です。
土の中には有機物や枯れた植物、植物が生きるために必要な栄養素など
様々な物が含まれています。
通常の染色方法とは異なり熱湯で煮炊きしたり媒染液を使用しないので、
人にも地球にも優しい「天然染料」のひとつです。
「泥染め」と聞くと茶やグレーの渋い色味を想像してしまいますが
土の色、含まれる成分によって発色もちがってくるのだとか。
SOU・SOUでは土に含まれる鉄分「べんがら」を用いた、ナカジマ株式会社による
「べんがら泥染め」をほどこした商品を取り扱っております。
上■もじり袖 短衣 単(たんい ひとえ)/海松茶(みるちゃ)×間がさね
下■風靡下 作務/海松茶(みるちゃ)×間がさね
この製品は一旦化学染料でベージュに染めた後にベンガラ染めをし味を出しておりますので、
全てが天然染料の色合いで出している訳ではございません。
泥染めは、奄美大島の大島紬によく用いられる技法です。
近頃はTシャツなど身近な衣類にも使用されています。
また、時間が経っても色褪せが少ないのも特徴のひとつでございます。
子供が泥んこの中で遊んだ後の汚れは落ちにくい、なんて経験をしたことのある
お母さんも多いのではないでしょうか。
泥染めの色は大地の色、とも言われているそう。
場所によって発色が違うので、色との出会いは一期一会です。
それぞれの地域や場所にる色の差に注目してみるのも、
泥染めの楽しみ方のひとつかもしれません。
- コメント
-
泥染めがTシャツにまで使われているとは!
大島紬のイメージだったので、認識が変わりました。
今後もいろんなネタを発信して下さい。期待しています。
前田様
コメントいただき、ありがとうございます。
天然染料は染める生地によって高級なイメージから身近な衣類にまで幅広く使える面が魅力だと思います。
コアな話題をご所望とのことでしたが、お楽しみいただけましたでしょうか。
是非今後共お付き合いの程、よろしくお願いいたします。
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平成25年09月11日 水曜日号
“第十三話:『モスリン』について”
風が涼しくなり最近少しづつ秋の気配を感じます。
染織倶楽部、第十三話は『モスリン』についてご紹介致します。
現在ご予約を承り中の秋物商品で沢山使われているモスリン。
SOU・SOUでは通年販売しており、すでにご存知の方やファンがとても多い生地のひとつです。
この美しい布のルーツは遠くメソポタミアの首都モスール(今のイラク第二の都市)にあります。
エジプト経由でヨーロッパへ伝わり日本には江戸末期に入ってきました。
素材は上質なメリノウール100%です。
ウールの中でも梳毛(そもう)という毛足が長い糸の、極細の単糸を使用し平織りで織ってあります。
羽のように軽く、さらっとした手触りで、着用した時のトロンとした落ち感がなんとも綺麗です。
深みのある発色で暖かく蒸れないのも特徴の一つです。
モスリン商品にはこのようなネームが付いております。
今回の秋物先行予約で新しく登場した、モスリンアイテムをご紹介致します。
・モスリン四角衣
・モスリン長方形
・モスリン薙刀貫頭衣
・モスリン草木染め 開襟帯草衣/モスリン草木染め 広形もんぺ 穏
・モスリン寛衣 下
・モスリン小袖風靡 作務/モスリン 風靡下 博多
これからの時期に最適なモスリンは、一度袖を通すとその着心地のよさと、
綺麗なシルエットにやみつきになります。私も大好きな生地の一つです。
秋には一枚で着用し、寒くなってくると衿巻ジバンや薙ジバンを組み合わせたり、
むささびや小袖莢を羽織ったりとアレンジして頂けます。そして春にはまた一枚でお召いただけます。
長く使って頂けるのも人気の一つです。
ちょっとしたパーティや結婚式の二次会などの、ハレの日にもおすすめです。
是非この機会にお試し下さいませ。
平成25年08月28日 水曜日号
“第十二話:『写真製版』について”
今回の染織倶楽部は、『写真製版』についてお届けいたします。
写真製版とは通常、印刷物等に使われる技法でございます。
『四色分解』とも言いますが、全ての色を四色のかけ合わせによって表現しております。
ちなみに、テレビやパソコン等は通常三色で全ての映像をつくり出します。
虫めがね等でご覧いただくと、よく分かります。
この技法を手捺染で応用したのが、下図の写真製版シリーズでございます。
■手ぬぐい/絵具皿
■手ぬぐい/鞘
■くびまき(巾着袋付き)/花畑
■高島縮 ボタンダウン半袖シャツ/チャリンチャリンラクガキ 芝生
■小巾折/炭酸水(たんさんすい)
通常捺染プリントは一版一色で柄を表現します。
四版(四色)のかけ合わせによって色を創り出す写真製版は、
ちょっとした条件の違いで大きな色の変化をもたらしてしまいます。
どれだけ思い描く表現に近づけるかどうかが、職人さんの腕の見せ所です。
しかし最近では、インクジェットプリントが発達しておりますので、
四色分解のこの技法は、超・アナログ染色方法と言えるのではないかと思います。
昔、発明された時には最先端、しかし今ではほとんど見かけることがない
アナログなこの写真製版手捺染プリント。
是非一度、ご覧下さいませ。
- コメント
-
このシリーズは写真製版だったのですね。
色の出方が素敵で「お気に入り」として使っております。
商品企画担当者様
新作を新作を期待しています。
前田様
コメントいただき、ありがとうございます。
写真製版には通常の捺染とはまた違う、独特の魅力がありますね。
商品じっくり見てみると、写真製版の特徴がご覧いただけると思います。
9月5日から秋冬予約も順次スタートいたします。
今しばらくお待ち下さいませ!
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平成25年08月14日 水曜日号
“第十一話:『織と編』について”
染織倶楽部、第十一話は『織と編』についてご紹介致します。
布には大きく分けて2種類ございます。
経糸と緯糸の2種類の糸を用いて「一段」ずつ布地を作り上げる『織物』と、
1本の糸から作りあげることができ、結び目を作る要領で「一目」ずつ形を作って行く『編物』です。
織物は布帛(ふはく)とも呼ばれ、一般的には伸縮性が少ないです。
SOU・SOUで扱っている『織物』を一部ご紹介致します。
・伊勢木綿
・武鑓織布(たけやりしょくふ)星桜雲斎(ほしざくらうんさい)
・久留米絣
・高島縮 長方形衣
エンボス加工を施しているため、織物ですが生地に伸縮性があります。
編物は第一話でもご紹介致しました天竺や足袋下など伸縮性に優れています。
SOU・SOUで扱っている『編物』を一部ご紹介致します。
・袖なしジバン
・足袋下
・デニム編み
・目利安
一見チノパンのように見えますが、編みを細かくして布帛に近づけた編物です。
以上のように、『織と編』の2種類だけでも様々な布がございます。
織物のような編物や、編物のような織物。
織り方や編み方によって幾通りにも姿を変える布にこれからも魅了され続けます。
平成25年07月24日 水曜日号
“第十話:手捺染について”
はやいもので十回目となりました染織倶楽部、今回はSOU・SOUでメインにしております染色技術「手捺染」についてお届けいたします。
「捺染(なせん)」というのは、染料を混ぜた糊を使って生地に模様を施す技法でございます。
染料自体が防染の役割を果たしておりますので、染料がにじむことがなく細かい柄を表現することが可能でございます。
■左:東山三十六峰
■右:花鳥風月
捺染は色ごとに版が分かれており、一色ずつ染めていくことで柄を表現していきます。
例えば「うらら」を染める場合、二色ですので二つの版が必要です。
色数が増えると版も増えるので、手間も染める時間もかかります。
しかし色が重なった際の発色が美しいのが特徴でございます。
■おおらかとりどり
固まった糊の上に新たな色を乗せるので、単純に二色を混ぜた色ではなく下の色の発色が強く残ります。
捺染には職人が1版ずつ手作業で染める「手捺染」と、機械が自動で染めるオートスクリーンがございます。
■左:手捺染の様子
■右:オートスクリーンの様子
SOU・SOUの商品はほとんどが手捺染ですが、荒川風呂敷、ワコールとのコラボレーション商品はオートスクリーンで染ております。
■風呂敷(大)/暫(しばらく) 孔雀(くじゃく)
一度にたくさん生産できるのがオートスクリーンの利点でございます。
オートスクリーンにも種類があって、手捺染同様版を用いたものや、凹凸のあるロール状の型で染めるローラープリントなどがございます。
機械の利点は大量生産ができることとコストの面で有利です。
対して手捺染は職人さんが一版ずつ手作業で色を擦ってのせていくため、生産できる量には限りがございます。
余談ですが、夏は猛暑の中、冬は極寒の中作業をしなければならないため、作業場の環境はとても厳しいものがあります。
技術的には色ムラが出ないよう常に均一の力、スピードで色をのせなければいけません。
オートプリントに比べて手捺染は生地にしっかりと染料が刷り込まれるので、深い色あいを表現出来るといった特徴がございます。
人の手でしか残せない風合いが、手捺染にはございます。
皆さんも是非、その技術に触れてみてはいかがでしょうか。
平成25年07月10日 水曜日号
“第九話:「久留米絣」について”
染織倶楽部、第九話は「久留米絣」についてご紹介いたします。
江戸時代の後期から、福岡県久留米市および周辺の地域で製造されている、
久留米絣(くるめがすり)。
当時12歳の井上伝という少女が創始したとされています。
今では伊予絣、備後絣とともに日本三大絣の一つといわれ、
久留米絣の技法は国の重要無形文化財に指定されています。
SOU・SOUならではのポップでかわいい久留米絣。
他ではなかなか見掛けない柄です。
人気の久留米絣・帯もんぺ。
約38cmの小巾の反物で作られております。
生地の用尺は着丈の4倍かかることになり、一反から出来る本数はわずかになります。
とっても手が込んでいる久留米絣。
「絣」とはどういうものか?簡単にですがご紹介していきたいと思います。
「絣」とは織物の技法の一つで、絣糸(かすりいと)、という前もって染め分けた糸を
経糸(たていと)、緯糸(よこいと、)、またはその両方に使用して織り上げ、
文様を表すものです。
糸を染める前と染めた後の状態。染めない部分を括って防染してあります。
織っているところ。柄を合わせるのが技の見せどころです。
経糸で柄を織りだす、経絣(たてがすり)
緯糸で柄を織りだす、緯絣(よこがすり)
そして難易度の高い、経緯絣(たてよこがすり)
SOU・SOUの帯もんぺでは緯絣(よこがすり)の技法を使用しております。
緯絣だけでも様々な文様が織りだされます。
また、絣足とも呼ばれる柄の端が不揃いになるのも絣ならではの特徴です。
久留米絣が出来るまでには、約30もの工程をへて織り上げられています。
涼しくて着れば着るほど肌に馴染み、肌触り、風合いが良くなっていく久留米絣。
しっかり織られた丈夫な生地ですので洗濯にも強く、日常着として
たのもしい性質を持っています。
小説家の太宰治は久留米絣を用いた着物を好んで着ていたとか。
これから夏本番に向けて大活躍すること間違いありません。
是非おためし下さいませ。
- コメント
-
染織倶楽部のお話、とっても興味深く拝見しています。
この9話を読んだら、久留米絣の帯もんぺがどうしても欲しくなり、先日net shopで注文しちゃいました。
軽くて涼しい上に丈夫というのが良いですね。柄の出方も素敵です。
色違いで欲しいくらい。(もう売切れていますが。)
最近買ったものの中で、ダントツ一番のお気に入りとなりました。嬉しい!買って良かった!とみんなに伝えたい気分です。
また久留米絣を使った商品が出ることをひそかに期待しています♪
B子様
コメント頂きありがとうございます。
久留米絣は本当に軽くて涼しくて夏には最適です。是非、沢山履いて下さいませ。
他には、久留米絣の反物が入荷致しました。
柄は帯もんぺと同じですが、ネットショップでも近日入荷予定でございます。是非ご覧下さいませ。
私も久留米絣を使った商品が他にも出ないかと期待致しております。
来年は何か新商品が発売されるかもしれませんね。
是非、またお店にもお越し下さいませ。
お待ち致しております。
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平成25年06月26日 水曜日号
“第八話:藍捺染について”
染織倶楽部、第八話は藍染めの世界から革新的な技法を生み出した
藤田染苑の『藍捺染』についてお届けいたします。
『藍染め』といいますと古くから伝わる植物染料の代表格ともいえる染色技法のひとつです。
■名所江戸百景より神田紺屋町
藍染めは染液に浸し、空気に触れさせ酸化させることで色を定着させます。
深い色を出すまでその工程を繰り返すため、
好みの色を出すまでには時間を要する根気のいる染色技法です。
また、藍染めで柄を出すためには絞り染めが主流です。
しかし、藍を自由に、色んな柄で手捺染する世界初の「藍捺染」の技術を生み出したのが藤田染苑の藤田さんです。
SOU・SOUでは手ぬぐいやくびまき、のれんなど伊勢木綿商品で展開しております。
これらは全て、天然の藍を使用しています。
■SOU・SOU×藤田染苑 藍捺染 くびまき/すいぎょく
これからの季節にぴったりな爽やかな色目です。
藍について調べていて個人的に興味深かったのが、
IDG(インディゴ)48もとい『藍四十八色』と総称される色名です。
左から甕覗き(かめのぞき)/水浅葱(みずあさぎ)/納戸色(なんどいろ)/
藍(あい)/留紺(とめこん)
取り上げた色名は一部ですが、微妙な色の発色からこれだけの色が生まれたそうです。
色名の由来は割愛させていただきますが、興味のある方は是非調べてみてはいかがでしょうか。
SOU・SOUの衣類の色名にも用いられているので、馴染みのある方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
その色の深さに、藍の魅力を感じます。
左:手ぬぐい/間がさね 青和
右: SOU・SOU×藤田染苑 藍捺染 手ぬぐい/間がさね
同じ柄、青の色の商品でも印象が違ってまいります。
これからの季節にもぴったりな涼しげな藍。
是非この夏に、一味違った藍染めをお楽しみ下さいませ。
- コメント
-
日本の青は藍から来てるのですね。
毎回楽しみに読ませてもらっています。昔の日本人の色彩感覚には驚かされることが多いです。
時代祭の衣装など色の組み合わせががすごいです。
藍捺染の素数使って今年はポロシャツリメイクして着ています。
とても勉強になりました。
島津利雄様
コメントいただきありがとうございます。
私自身も毎回楽しく勉強させていただいております。
原色をぶつけたり微妙な濃淡を重ねたり、昔の人の色彩感覚は本当に豊かだったんだなと感じます。
ポロシャツも手がけられたのですか!
以前お話しくださったユニクロのリメイクTシャツも見せていただくのを楽しみにしてます!
またのご来店お待ちいたしております。
そうですね。藍は深いですね。
日本人の色彩感覚の重要な部分を占めているように思います。海、浮世絵の富士山、そういえば東海道新幹線も青と白。
前田様
コメントいただきありがとうございます。
確かに、浮世絵というと景色の中の鮮やかな青色が思い浮かびます。
藍が庶民の間で親しまれていた染料ということも、関係しているのかもしれません。
今後とも様々な染織についてご紹介していきたいと思いますので、どうぞお付き合い下さいませ。
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平成25年06月12日 水曜日号
“第七話:「高島縮」について”
染織倶楽部、第七話は『高島縮』についてご紹介致します。
SOU・SOUでお取り扱いをしている『高島縮』には、2種類ございます。
一 二
■一つ目は、髙橋織物さんによるエンボス加工(凹凸模様を与える加工法)を施した生地です。
横糸に強撚糸(撚りの強い糸)を使用した平織りの生地を
エンボス加工により生地巾178cmを112cmに縮ませています。
そのため、伸縮性のある生地が出来上がります。
高島縮 えんゆう穿き 普通丈/短丈
高島縮 風靡 上下
■二つ目は、坂尾織物さんによるサーキュラー仕上げの生地です。
同じく横糸に強撚糸(撚りの強い糸)を使い織り上げた生地を、
サーキュラー(サーキュラー社製の洗濯機)で洗いをかけることで、
糸の撚りが戻る力によって、生地の表面に自然なシボが生まれます。
一の様に、型によって縮ませて(エンボス加工)おりませんので、
あまり伸び縮みしないのが特徴です。
高島縮 四角衣(しかくい)/長方形衣(ちょうほうけい)
高島縮 薙刀長方形衣(なぎなたちょうほうけい)
一と二は、生地の見た目も伸縮性も違いは有りますが、
さらっとした肌触り、風通しがよく、汗をよく吸い、ベトつかないという、
縮の性質は同じです。
体感温度はマイナス2度とも言われています。
高温多湿の日本の風土に適した『高島縮』を是非お試し下さいませ。
- コメント
-
倶楽部員(そんなお呼び方でよろしいのか?)本間様 こんにちわ!(笑)
高橋さん坂尾さんによる高島縮が そのような加工の違いがあるとは存じ上げず 感動いたしました。実はまだ 昨年頂いた薙刀の貫頭衣でのあのふわりと温かい袷の縮を体験しただけで 夏の縮 お楽しみはこれからでございます。美しく神聖な琵琶湖の恩恵を十分に受けた高島縮 デザイン、発色、着心地の良さ 大好きです。
はたむらかおり様
いつもコメントありがとうございます。
高島縮は本当に着心地が良いです。
特に夏場は涼しくて、一度着たらやめられません。
重ねると保温性があり、一枚だと、サラッとして、通気性のある、万能素材でございます。
是非、楽しんでお召しになって下さいませ。
また、お店でお会い出来るのを楽しみに致しております。
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平成25年05月22日 水曜日号
“第六話:染料の種類について”
染織倶楽部、第六話は化学染料の種類についてお届けいたします。
化学染料は粉末のものを水で溶かし使用しますが、第二話でお届けしたように
染料は非常に細かい粒子で構成されております。
少しの風圧でぶわっと舞い上がってしまうので、学生時代染料測る際は空調を切り
マスクが必須なのですが、面倒くさがっていつもマスクをつけずに豪快にはかっておりました。
よく冗談で「肺が染まるー」などと言っておりましたが、今になって振り返ると
危険なことをしていたなーと思います。
それはさておき、化学染料には種類がたくさんございまして
染め方や生地との相性によって染料を使い分けなければなりません。
例えば伊勢木綿手ぬぐいで例えますと手捺染と絞りの商品で染料が違います。
■手ぬぐい/金襴緞子(きんらんどんす)
まず、手捺染には染料をアルカリなどの助剤と化学反応を起こさせ色を固着させる
「反応染料」を使用しております。
特徴といたしましては発色も鮮やかで、堅牢度(変色や退色に絶えうる度合い)
にも優れています。
■ SOU・SOU×たばた絞 手ぬぐい/たばた雪花 朱雀
一方、絞りの商品は「スレン染料」という染料を使用しております。
落ち着いた色目が特徴で、こちらも堅牢度に優れており日常品の
手ぬぐいに適した染料です。
染めたときの色と出来上がりの色が異なるのもまた面白く、
私も毎日チェックしているまり木綿のブログでよくその様子が描かれています。
染める過程を見ていると染色は化学だなとしみじみ感じます。
■SOU・SOU×福しま絞り 手ぬぐい/水風船(みずふうせん)
ちなみに福しま絞りの手ぬぐいはスレン染料で染めた後に顔料を用いた
摺り友禅という技法で柄を重ねております。
多色摺りが可能で、女性にも人気の一品です。
染めという方法は「引き算ができない」と言われています。
色を重ねていくことは可能ですが、一度染めてしまうと元には戻せません。
もちろん脱色することは可能ですが、その分生地を傷めつけてしまいます。
非常に些細な条件で色の出方や滲み方もかわってしまうのですが、
それもまた手仕事の魅力のひとつだと思います。
平成25年05月08日 水曜日号
“第五話:伊勢木綿「特岡」と「文」について”
染織倶楽部、第五話は伊勢木綿の手ぬぐいに使われる「特岡」(とくおか)と「文」(ぶん)についてご紹介致します。
「特岡」と「文」といってもご存知ない方がほとんどではないでしょうか?
私もSOU・SOUに入社して初めて耳に致しました。
文(ぶん) 特岡(とくおか)
拡大するとこのように糸の密度が違います。
「特岡」とは、手ぬぐい地の中で一番上等な生地の事を言います。
糸の太さは経、緯ともに30番手と言う糸を使い、少し荒めに織られていますが、
文に比べて張りがあり、糸の密度が高いです。
(綿糸は数字が大きくなるにつれて糸は細くなります。)
しつらいで扱っている特岡の生地は
巾37cm、経糸1140本、緯糸約26本(1cm内)で織られています。
ちなみに浴衣に使われているのも経、緯ともに30番手の糸です。
巾40cm、経糸1300本、緯糸約21本(1cm内)で織られています。
「文」は、経、緯ともに20番手の糸を使い、
ざっくりと織ってあるので、生地としては30番手の特岡より薄く感じます。
空気を含み易く、洗い込むとガーゼの様にふんわりします。
通気性がよいのが特徴で、重ねる事により保温力が増します。
肌着やシャツにも最適です。
伊勢木綿のてぬぐい
巾35cm、経糸656本、緯糸約15本(1cm内) で織られています。
くびまき
特岡(とくおか)の名前の由来としては、
江戸時代から栃木県真岡地方でつくられていた上等な木綿の生地のことを、
真岡木綿(もおかもめん)と言い、そこからきているという説が有力だそうです。
今では職人さんの中では「特岡」(とくおか)、「文」(ぶん)ともに、
一般的な呼び方になっております。
てぬぐいや浴衣をご覧になる際に、ちょっと気にかけてみてはいかがでしょうか?
また違った見方が出来て、面白く感じるかも知れませんね。
- コメント
-
先日、菊づくしの特岡の生地をしつらいで分けて頂いたのですが、いつもの手ぬぐいのフワフワ感とは異なり「違う生地だったんだ」と思っていたところに、タイムリーな情報でした(^o^) 毎回詳しい解説楽しみにしております。
しちょ様
いつもありがとうございます。
本当にタイムリーですね。
少しでもお役に立てれば嬉しく思います。
またのご来店をお待ち致しております!
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平成25年04月24日 水曜日号
“第四話:「植物染料」について”
日本人は色彩感覚が豊かだと言われていますが、四季が移り変わる日本には
植物にまつわる多くの色や色名がございます。
染織倶楽部、第四話は「植物染料」についてお届けいたします。
前々回お届けした「染料」には、更に大きく分けて
「化学染料」と「天然染料」がございます。
「天然染料」とは、植物や動物の持つ色素を利用する染料ですが、
一般的には植物を煮出す「植物染料」をイメージされる方が
多くいらっしゃるのではないかと思います。
SOU・SOUで取り扱っている商品の中にも植物染料を用いた商品がございます。
■広形もんぺ 星桜雲斎 草木染/洗朱
商品ページでもご説明させていただいているように、こちらの商品は
村田染工さんによって絶妙な色合いを生み出しております。
・・・余談ですが、洗朱を染めるのに用いられている「ラックダイ」という
植物染料の他に、赤を染めるための「コチニール」という昆虫の色素を用いる染料がございます。
初めて「コチニール」で染色したとき、思わず顔をしかめたのを覚えています。
心臓の弱い方は、決して画像検索などされませんよう・・・。
他にも太陽の光に当てることで色を定着させ、染め重ねるほどに
強度を増す「柿渋」や、
■貼付地下足袋/デニム柿渋
天然染料の代表格「藍」を使用した商品がございます。
■富士(伊勢木綿20/20)/本藍
■SOU・SOU×藤田染苑 藍捺染 くびまき/すいぎょく
天然染料で染める製品の魅力は色に深みがあるところですが、
天候や湿度など環境に大きく仕上がりの色が左右されます。
職人さんでさえ、目指す色の再現には非常に困難を極めるといいます。
染織史家、吉岡幸雄さんによるドキュメンタリー映画「紫」。
植物染料について、色々と学べる映画です。
COCON烏丸3F京都シネマにて5月4日(土)-17日(金)まで1日1回の上映です。
G.W後半は映画をご覧になった後にSOU・SOUへ・・・なんて流れはいかがでしょう。
平成25年04月10日 水曜日号
“第三話:「麻」について”
染織倶楽部、第三話は『麻』についてご紹介致します。
麻 きさらぎ/つくも
SOU・SOUでお取り扱いの、夏の代表的な素材といえば、
伊勢木綿、高島縮、麻、などなど、、、
伊勢木綿、高島縮については、ネットショップでも詳しく取り上げております。
詳しくはこちらをご覧下さいませ。
■伊勢木綿 https://www.sousou.co.jp/?mode=cate&cbid=122457&csid=0
■高島縮 https://www.sousou.co.jp/?tid=7&mode=f35
では『麻』ついてご紹介致します。
一般的に麻といわれている物には、リネン(亜麻)、ラミー(苧麻)、大麻(ヘンプ)、
ジュート、など20種類以上ありますが、日本で「麻」と表示できるのは、
このうちリネンとラミーだけです。
リネン(左)とラミー(右) 茎の部分から麻ができます。
では、なぜ麻が夏向きの素材なのでしょうか?
麻の持つ特徴をいくつか挙げてみたいと思います。
1、天然繊維の中で最も吸湿(吸汗)・速乾性に優れている。
汗をかいてもべとつかず、汗離れがよいので常に清涼感があります。
2、丈夫で腰が強く、水に濡れると更にその強さを増す性質がある。
3、汚れを落としやすく、繰り返しの洗濯にも強い。
4、静電気が起きにくい
5、害虫に強い=虫食いが起きにくい
6、冷たさ・冷感
等があげられます。
しかし、シワになりやすいという、デメリットもあります。が、
今では、そのシワを活かして衣服に取り入れることも多々あります。
以上のことでも、麻は非常に優れた素材と言えます。
SOU・SOU着衣の麻素材の商品です。
麻 陣羽織 肩上げ/柴色(ふしいろ)
麻 筒下(つつした)/糺の森(ただすのもり)
ひんやりとする特有の心地よい感触、汗を吸い、蒸発させてくれる麻素材は、
高温多湿の日本の夏にきわめて適しているといえます。
余談ですが、世界最古の衣類は麻素材だそうです。
エジプトのミイラをまいていた布も麻です。
少し前に流行った歌のタイトル「亜麻色の髪の乙女」は、
欧州女性の麻のような、黄金色した美しい髪のことを意味しています。
古代から色々な場面で広く使われている『麻』。
これからも私たちの生活になくてはならない素材と言えます。
平成25年03月27日 水曜日号
“第二話:「染料」と「顔料」について”
染織倶楽部、第二話は「染料」と「顔料」についてお届けいたします。
「染め」は生地を織ってから色付けを施すため、「後染め」とも呼ばれています。
(反対に糸を染めてから生地を織る「織り」は「先染め」と言います。)
染めには大きく分けて「染料」か「顔料」の2つがあります。
簡単に表現しますと「染料」は粒子が細かいために繊維に色が染み込み色付けされ、
「顔料」は粒子が粗いために中まで染み込まず繊維の上に乗ることで
色付けされます。
衣類や伊勢木綿商品など、SOU・SOUで扱っている中には染料を用いた商品が
多くございます。
・手ぬぐい/間がさね 宮美
・たばた絞り 綿麻混 きさらぎ/水玉大 緋色×生白(みずたまだい ひいろ×きじろ)
染料を使用した技法にはプリントや絞りなど多々ございますが、
それらはまたいずれご紹介したいと思います。
色を生地に染み込ませる染料は、生地の風合いを生かしたまま
柄を表現することが可能でございます。
顔料の特徴のひとつは、「白」を表現できるところにございます。
・モスリン 開襟草衣 上(かいきんそうい うえ)/菊づくし つくも
・小巾鞄/南天 濃紺
白地に白、黒地に黒と生地の上に同色のプリント、
という粋な表現も可能でございます。
また濃い色の生地の上からでもさまざまな色を染めることができるところも魅力です。
・股付5枚足袋/金襴緞子(きんらんどんす)
今回は染めの入門編といたしまして、色付けに用いられる
「染料」と「顔料」についてご紹介させていただきました。
隔週でお届けいたします染織倶楽部、今後とも何卒お付き合い下さいませ。
- コメント
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古川さま こんにちわ 畑村と申します。
このお話 とても楽しいですね。
お陰様で 自身の持っておりますモスリンの草衣 上の ちぎれ雲が つくも色の上に白色でプリントされているのも顔料ということがわかりました。このように顔料が施してある布地に 染めを更に施すことは可能なのでしょうか?というか どのようになるのでしようか?白色なので いつか他の色で染めたいと思うのですが。理想としては 顔料だけは白く残るといいのですけど(笑)
次回も楽しみです。
畑村様
コメントいただきありがとうございます。
染織倶楽部、お楽しみいただき幸いです。
モスリン草衣上、地色を染めることは可能でございます。
顔料部分はうっすら染まるかはたまた染料をはじいて白く残るか・・・。
化学反応で何が起こるか分からない、思いがけない結果を引き起こすのが染色の楽しさでございます。
機会がございましたら是非、お試しください!
・・・こっそりと結果を教えて頂ければ、嬉しく存じます。
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こんにちわ。 伊勢木綿 伊勢でもあまりお見かけしない貴重な柄が手に入るなんて 素敵!
カタハは わたしが初めてSOU・SOUさんで購入した タイパンツの柄です。合わせカタハだったかしら?正式の名は失念しました。まだまだ 現役。というか とても柔らかく どのてぬぐいよりもクタクタで履いていて心地がよいです。色も藍色でお洒落。宝物です。
染めおりさんの紹介 益々期待しております。
本間さま どうぞ お元気で。
はたむらかおり様
コメントありがとうございます。
先日はご来店頂き誠にありがとうございます。
お会いできてとても嬉しかったです。
あの後、着衣で田端さんと遭遇されていたとはビックリです。運命を感じますね。
染織倶楽部ではこれからも色々な紹介を行ってまいりますので、
拙い文章ではございますがどうぞお付き合い下さいませ。
寒い日が続いておりますので、お体に気を付けてお過ごし下さいませ。