一期一絵 毎日更新!SOU・SOU読本

SOU・SOUへの道 / SOU・SOUを始めるきっかけ

平成27年11月22日 日曜日号

“第四十四話/不思議な縁の女の子”


SOU・SOUが当初サッパリの売上げだった時、地下足袋のおかげでV字回復したことは以前にも書きましたが、実はそれ以外にこの女性のおかげでもありました。
SOU・SOU歴の長い方はご存知かもしれませんが、名前は井上香奈。職業絵描き。

10年以上前にさかのぼりますが、SOU・SOUの前身となる京都のteems design + moonbalanceに彼女がはじめて友人とふらりと来てくれた時のこと。
店内をふら~っと見て帰ろうとする彼女に
「あのー、ちょっとスミマセンがここの服のモデルをやってくれませんか?」とおもむろに声をかけた。今思えば怪しいナンパのようだ。
しかし「いいですよ!」と快く返事をくれた。彼女は京都造形芸術大学の学生だった。
後日、当時僕が作っていたレディースの服を着てもらって写真を撮った。そしてその写真をお店に貼ったら、そのアイテムがよく売れた。凄い効果だなと思った。
(ちなみにその当時はまだnetshopはやっていない。)

やっぱりカワイイ子が着ると商品がよく見える。
それからも、香奈ちゃんにはずーっとモデルをお願いした。おかげで、それまでより断然服が売れるようになった。

(モデル写真)

モデルをお願いしてから少し経った頃、SOU・SOUが出来て例の地下足袋を販売することになった。香奈ちゃんが地下足袋を履いた写真を撮ると、若い女の子によく売れた。
ちなみに、もりたもとこさんに地下足袋を履いてもらって写真を撮ったときは、若くない女性によく売れた。

teems designからSOU・SOUになり、売上げが崖っぷちな時にフッと現れて救ってくれた不思議な縁の女の子の話でした。

(次回に続く)


『SOU・SOUへの道』以前の記事一覧
・第一話/30年前の話(2015-01-04)
・第二話/東京への憧れ(2015-01-11)
・第三話/決意表明(2015-01-018)
・第四話/寮生活スタート(2015-01-25)
・第五話/学生生活の事(2015-02-01)
・第六話/学校の課題(2015-02-08)
・第七話/学生生活の事 その2(2015-02-15)
・第八話/寮生活のあれこれ(2015-02-22)
・第九話/学校の課題 その2(2015-03-01)
・第十話/社会人の思い出 その1(2015-03-08)
・第十一話/ビンテージブーム到来(2015-03-15)
・第十二話/「本物」を求め(2015-03-22)
・第十三話/そしてNYへ(2015-03-29)
・第十四話/NYの生活(2015-04-05)
・第十五話/懐かしの場所(2015-04-12)
・第十六話/帰国(2015-04-26)
・第十七話/買い付けの思い出(2015-05-03)
・第十八話/時流(2015-05-16)
・第十九話/辻村さんとの出逢い(2015-05-24)
・第二十話/テキスタイルデザイナー 脇阪 克二(2015-05-31)
・第二十一話/構想と試作(2015-06-14)
・第二十二話/前身の紆余曲折(2015-06-21)
・第二十三話/オファー(2015-06-28)
・第二十四話/人事(2015-07-5)
・第二十五話/SOU・SOU(2015-07-12)
・第二十六話/東京店オープンとその後(2015-07-19)
・第二十七話/地下足袋(2015-07-26)
・第二十八話/SOU・SOU足袋の誕生(2015-08-02)
・第二十九話/高砂産業(2015-08-13)
・第三十話/手縫い地下足袋(2015-08-16)
・第三十一話/東京店の奇跡(2015-08-23)
・第三十ニ話/俵屋の奇跡(2015-08-30)
・第三十三話/SOU・SOU足袋 EXHIBITION(2015-09-06)
・第三十四話/日本文化としての評価(2015-09-13)
・第三十五話/日進ゴム(2015-09-20)
・第三十六話/洋から和へ(2015-09-27)
・第三十七話/伊勢木綿(2015-10-04)
・第三十八話/リニューアル(2015-10-11)
・第三十九話/SOU・SOUのスタッフ(2015-10-18)
・第四十話/SOU・SOU作務衣(2015-10-25)
・第四十一話/le coq sportif(2015-11-01)
・第四十ニ話/お隣さんの閉店(2015-11-08)
・第四十三話/わらべぎオープン(2015-11-15)
・第四十四話/不思議な縁の女の子(2015-11-22)
・第四十五話/繋がるご縁(2015-11-29)
・第四十六話/堀淵さん(2015-12-06)
・第四十七話/裏寺町通(2015-12-13)
・第四十八話/SOU・SOU布袋(2015-12-20)
・第四十九話/東京店から青山店へ(2015-12-27)
・第五十話/10th anniversary SOU・SOUブランドムック(2016-01-03)
・第五十一話/伝統の続きをデザインするSOU・SOUの仕事(2016-01-10)
・第五十ニ話/完成間近(2016-01-17)
・第五十三話/ユニクロ(2016-01-24)
・第五十四話/ユニクロ②(2016-01-31)
・第五十五話/ようやく完成(2016-02-07)
・第五十六話/和菓子になったテキスタイルデザイン(2016-02-14)
・第五十七話/京旬菓(きょうじゅんか)(2016-02-21)
・第五十八話/布袋の移転&染めおりOPEN(2016-03-06)
・第五十九話/SOU・SOU在釜(2016-03-20)
・第六十話/SOU・SOU×ワコール(2016-04-17)
・第六十一話/キーヤン(2016-05-08)
・第六十ニ話/田端しぼり(2016-06-12)

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平成27年11月15日 日曜日号

“第四十三話/わらべぎオープン”


SOU・SOU着衣が出来てから約1年後、スタッフの徳治夫婦の間に子供が生まれた。今年小学4年生になるはるかだ。
産後も千夏っちゃん(お母さん)は働く気満々だったので、赤ちゃんを抱っこしながら伊勢木綿のお店に立ってもらうことにした。
赤ちゃんを抱っこしながら働くというのは昔はよくある光景だったと思うが、最近ではほとんど見かけない。
ウチも実家がうどん屋だったので、母親は僕をおんぶしながら毎日朝から晩まで働いていたという。

伊勢木綿の店内レジ前に小さなスペースがあったので、徳治が買ってきたベビーベッドを置いてみた。隙間にぴったりジャストサイズだった。さすが父親、絶妙なサイズのベッドを見つけてきたもんだ。
SOU・SOUの店内にベッドがあって、そこで赤ちゃんが寝ているというのはちょっとビックリするかもしれないが、まーいいかと思った。
お客さんも概ね理解してくださっていたように思う。(中には不快なかたも居られたと思いますが)


そんなある日、僕が経営していた最後の洋服屋を閉めることになった。スタッフのために最後まで残していたのだが、とうとう終了することになった。
そこでその店舗をこの後どうしようかと思っていたら、なにやら千夏っちゃんに良い考えがあるという。
話を聞く為に徳治と千夏っちゃんを連れて焼肉屋に行った。食事しながら彼女が「こども服をやったらどうですか?絶対いいと思います!!」と猛烈にアピールしてきたのだった。


僕は日本のいいものをセレクトした品揃え(現在ではそういう店多いですけど)の「SOU・SOU好み」という店か、国産の絞りだけを扱う「SOU・SOU絞り」という店を考えていたのだが、結局千夏っちゃんの熱意に負けて子供服にした。
店名は、こどもらしい気持ち=童気(わらべぎ)ということから、SOU・SOUわらべぎにした。

(SOU・SOUわらべぎ)

千夏っちゃんは子育て、家事、オッサン(徳治)の面倒を見ながら、わらべぎの企画もやってくれた。あの時期は、情熱大陸が彼女を取材するべきだと思った。。

(次回に続く)


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・第二話/東京への憧れ(2015-01-11)
・第三話/決意表明(2015-01-018)
・第四話/寮生活スタート(2015-01-25)
・第五話/学生生活の事(2015-02-01)
・第六話/学校の課題(2015-02-08)
・第七話/学生生活の事 その2(2015-02-15)
・第八話/寮生活のあれこれ(2015-02-22)
・第九話/学校の課題 その2(2015-03-01)
・第十話/社会人の思い出 その1(2015-03-08)
・第十一話/ビンテージブーム到来(2015-03-15)
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・第三十七話/伊勢木綿(2015-10-04)
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・第五十四話/ユニクロ②(2016-01-31)
・第五十五話/ようやく完成(2016-02-07)
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平成27年11月08日 日曜日号

“第四十ニ話/お隣さんの閉店”


ある日の朝、店の前をほうきで掃いていると、元足袋屋隣にあったミッキーマウス屋のご主人がやって来て声をかけられた。

「店長ー(僕のことをそう呼んでいた)、あのさー、もう店を閉めるんやけど、借りてくれへんか?」

「えーそうなんですか?長いことご商売されているのに、一体どうしたんですか?」

「もう、しんどーなってきてね。そんで、誰かに貸そうと家族に相談したら娘がSOU・SOUさんに頼んでみたらって言うんや」


という訳で、その店舗を借りることにした。
ちょうどSOU・SOU作務衣をオープンして3年くらいした時だったと思うが、この店舗に男性用と女性ものが混在していることに不自然さを感じはじめていた。
ヨシザキ(当時のスタッフ)みたいな大男が女性に試着を勧める図も何かおかしいし、なにより女性が店に入りづらいだろうなと思っていたのだ。


ということで、新しい店舗は女性用のお店にすることにした。
店名は「SOU・SOU着物」にしたいところだったが、着物はやはり凝り固まったイメージが強いので、着衣(きころも)という名前にした。
少し離れたところにあった”SOU・SOUしつらい”は、着衣の2Fに移した。
新しい”しつらい”は坪数が約5分の1くらいになったので、大型家具は一旦取り扱いをやめた。

(上:SOU・SOU着衣/下:SOU・SOUしつらい)

そして50坪あったSOU・SOUしつらいは、倉庫兼SOU・SOU netshopデリバリーセンターにした。
それまで店舗スタッフがnetshop業務をやっていたが、もう追いつかなくなっていて、そろそろ独立させなければと思っていたところだった。


そしてこの頃誉田屋源兵衛さんに「キミももっと傾(かぶ)いたらいいねん」と言われたことで「傾く」という言葉を知り、なるほど、シンプルなファッション全盛の今、男の派手な身なりってカッコいいな!と思い、この際SOU・SOU作務衣の店名を傾くための衣”傾衣”に変えることにした。おもしろいもので、店名を傾衣にしてからは服作りに遠慮が無くなっていった。逆に普通の服を好む人にはちょっと手強いお店になった。でもそれでいいのだ。SOU・SOUはそうでありたい。
隣のご主人がお店を辞めることで、図らずもSOU・SOUが次々と変わっていくのだった。

(SOU・SOU傾衣)


(次回に続く)


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・第九話/学校の課題 その2(2015-03-01)
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・第三十三話/SOU・SOU足袋 EXHIBITION(2015-09-06)
・第三十四話/日本文化としての評価(2015-09-13)
・第三十五話/日進ゴム(2015-09-20)
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・第五十話/10th anniversary SOU・SOUブランドムック(2016-01-03)
・第五十一話/伝統の続きをデザインするSOU・SOUの仕事(2016-01-10)
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・第五十四話/ユニクロ②(2016-01-31)
・第五十五話/ようやく完成(2016-02-07)
・第五十六話/和菓子になったテキスタイルデザイン(2016-02-14)
・第五十七話/京旬菓(きょうじゅんか)(2016-02-21)
・第五十八話/布袋の移転&染めおりOPEN(2016-03-06)
・第五十九話/SOU・SOU在釜(2016-03-20)
・第六十話/SOU・SOU×ワコール(2016-04-17)
・第六十一話/キーヤン(2016-05-08)
・第六十ニ話/田端しぼり(2016-06-12)

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コメント
  • 「しつらい」かっこよかったのですね~。
    テーブルの上の三角のものは何ですか?

    • AJ Cooper様
      コメント有難う御座います。
      テーブルの上に有るのは家型のクッションですよ。
      全て手描きの一点ものです。

      (若林) 平成27年11月11日 10:12:09
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平成27年11月01日 日曜日号

“第四十一話/le coq sportif”



ある日一通のメールが会社のPCに届いた。
世界中の誰もが知っているフランスの超有名ブランドからだった。
そして、一度担当の方と会って話をした。

あまり詳しくは書けないが、要するにヒール付きの地下足袋が作れないかという話だった。
今から思えば二つ返事で作ればよかったが、当時の僕は若かった。そういうのは邪道だということで、あまり乗り気でない返事をしてしまったのだった。
その後は何の音沙汰も無い。

まー縁がなかったのだと思うが、ビッグチャンスを逃した感は否めない。
もし次があるのならば、業界のためにももう少し大人の対応をしたいと思う。

その後も地下足袋のコラボレーションの話はいくつか頂いた。
そのうちの1つがle coq sportifだった。

ある日、当時のSOU・SOU足袋青山店にle coq sportifのMDの方がやって来られて「一緒に地下足袋を作りませんか」というお話を頂戴した。
ナイキのエアリフトという地下足袋風スニーカーはすでにあったけど、もしコラボすることになったら、世界最古のスポーツブランド le coq sportifから本物の地下足袋が発売されることになるかも・・・これは歴史に残るな。。勝手に妄想し興奮して結局その話を受けさせて頂くことにした。

その後ルコックシューズデザイナーの麻谷さんとも会って、コンセプトや方向性を打ち合わせした。そして「どうせ地下足袋を作るなら国産の本物を!」ということにも賛同して下さって、とうとう本当にSOU・SOU×le coq sportif×日進ゴムのトリプルネームで地下足袋をリリースすることになった。これは嬉しかった。
それ以降も毎シーズン地下足袋をリリースしていく事になった。

取引が始まって2、3年した頃、SOU・SOUを始める以前から僕が経営していた洋服屋の取引先ブランドが倒産した。それに伴ってその店を閉めることにした。
突然空きテナントになってしまったのでどうしようかと考えた結果そこを新展開のSOU・SOU le coq sportifのオンリーショップにしてみようと思った。他のSOU・SOU店舗とは毛色の違うお店になるが、まーそれも良いかなと。


(SOU・SOU le coq sportif OPEN時の店内)


計画性もなくただ場所が空いたからとオンリーショップをオープンしたせいで、肝心の商品は全然無かった。
そりゃそうだ。今までSOU・SOU作務衣の店内の一角で小さく展開していた程度の商品数だったのに、いきなり一店舗に拡大したのだから。。
こーいうことは予定通りにはいかないものだと思って諦める事にした。

その時のオープニングスタッフが高橋(現お点前王子)、瀬野(現わらべぎ店長)だった。

ちなみに、高橋はSOU・SOU×le coq sportifが似合ってるのかどうかがわからなかった。


(次回に続く)


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・第六十話/SOU・SOU×ワコール(2016-04-17)
・第六十一話/キーヤン(2016-05-08)
・第六十ニ話/田端しぼり(2016-06-12)

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コメント
  • 初めまして。大阪府阪南市で「海のカフェ高木」を営んでいる高木さゆりです。
    この夏から お店でも普段でも 下駄を履くようになり、肌寒くなった頃、洋服にも合う足袋をネットで探していたところ、sousouさんに出会えることができ、ジバンや足袋、もんぺなど履かせていただいてます☻
    どれもこれも履き心地、着心地が良くて、お世話になった方々にも 足袋をプレゼントしたりして喜んでいただいてます。
    なかなか、お店をしているので、京都まで行けないのですが、これからも ネットを見て 楽しませていただきます。
    とても素敵なモノに出会えたなぁと 思い、最近は、sousouさんの着衣や足袋を履いて仕事をするのが ワクワクするようになりました。 是非、時間を見つけて、お店にも伺いたく思っております!

    高木さゆり 平成27年11月08日 14:07:17
  • 高木さゆり様
    コメント有難う御座います。
    いつも御愛顧頂きまして誠にありがとうございます。
    またお店にお運び頂ける機会が御座いましたら幸いです。今後共宜しくお願い致します。

    (若林) 平成27年11月11日 10:21:09
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平成27年10月25日 日曜日号

“第四十話/SOU・SOU作務衣”



SOU・SOU足袋、SOU・SOU伊勢木綿、SOU・SOUしつらいを作った時、どさくさでSOU・SOU作務衣というお店を作った。

(SOU・SOU作務衣店頭写真)


どさくさというのは、本当は当時やっていたSOU・SOUとは別のセレクトショップ(洋服)の改装を予定していたのだが中止し、そこを急遽SOU・SOUに変更したからだ。
僕は、きっとこのジャンルのセレクトショップに将来性は無いだろうと感じていた。
それをスタッフに相談したところ、「実は僕もこの先の事を考えたらこの店もSOU・SOUにした方が良いのではと思います...」と言った。図面着手ギリギリのタイミングだった。
そのスタッフはスケーターでジーンズを”ケツ出し”ではく様なタイプだったので、僕が力を注いでいたSOU・SOU事業部についてはほぼ興味が無かったと思うが、それでもその様に感じていたのだ。おかげで絶妙のタイミングでセレクトショップを閉めてSOU・SOU作務衣というお店を作る事が出来た。
この店はSOU・SOUの衣類部門(男性用・女性用共に)にした。
セレクトショップにいた半ケツスタッフと当時SOU・SOU足袋店に勤務していた石田明日香(現 着衣店長)をこの店に配属させた。

本当は「着るもの」を取り扱うならば”SOU・SOU着物”という店名にすればいいのだが、着物というとどうしても堅苦しいイメージなので、SOU・SOU作務衣という店名にした。
作務衣は普通の人に馴染みは無いが要するにワークウェアだ。
セレクトショップからスライドさせた半ケツスタッフもいるから、日本のワークウェアである作務衣をファッションとして提案するお店がいいんじゃないかと思ったのだ。
そんな店どこにも無いことだし。。
また、このお店には次の様な架空のストーリー設定をしていた。

「京都のある老舗呉服屋にお洒落好きの息子がいた。彼は『着物には興味ない!家業なんか継ぎたくない!』と言って、大学卒業後とりあえず憧れのアメリカに渡った。
しかし図らずもそのアメリカで日本の素晴しさ、着物の美しさ、家業の凄さに気づく事になる。
そして数年たって帰国後その息子は家業を継ぐことを決心した。しかしそのまま継ぐのではなく、新業態として作務衣とカジュアルウェアをミックスさせた新しいスタイルを提案するショップをオープンさせることにした。彼は『家業の着物屋は素晴しいものを扱ってるが今のままではこの先だめになる。和装に目を向ける若者達をもっともっと増やさなければいけない、その為には着物をもっと自由に楽しめるものにしなければいけない。』という思いでその店を立ち上げたのだった。」

こんなイメージでSOU・SOU作務衣というお店をつくった。

オープン当初はオリジナル作務衣の他、仕入れ物の浴衣やストリートカジュアルブランドのミックスで構成した。
下駄と一緒にアディダスなんかも並んでいた。
着物屋色が強くなってしまって一般の人が入店を拒絶しないよう特に配慮した。
スタート時は色んなものを仕入れたりミックスしながら品揃えしたが(そうするしかなかったのだが)、近い将来は全てSOU・SOUオリジナルのラインナップに出来ればな...と思っていた。
この店が後のSOU・SOU傾衣になる。

(次回に続く)


『SOU・SOUへの道』以前の記事一覧
・第一話/30年前の話(2015-01-04)
・第二話/東京への憧れ(2015-01-11)
・第三話/決意表明(2015-01-018)
・第四話/寮生活スタート(2015-01-25)
・第五話/学生生活の事(2015-02-01)
・第六話/学校の課題(2015-02-08)
・第七話/学生生活の事 その2(2015-02-15)
・第八話/寮生活のあれこれ(2015-02-22)
・第九話/学校の課題 その2(2015-03-01)
・第十話/社会人の思い出 その1(2015-03-08)
・第十一話/ビンテージブーム到来(2015-03-15)
・第十二話/「本物」を求め(2015-03-22)
・第十三話/そしてNYへ(2015-03-29)
・第十四話/NYの生活(2015-04-05)
・第十五話/懐かしの場所(2015-04-12)
・第十六話/帰国(2015-04-26)
・第十七話/買い付けの思い出(2015-05-03)
・第十八話/時流(2015-05-16)
・第十九話/辻村さんとの出逢い(2015-05-24)
・第二十話/テキスタイルデザイナー 脇阪 克二(2015-05-31)
・第二十一話/構想と試作(2015-06-14)
・第二十二話/前身の紆余曲折(2015-06-21)
・第二十三話/オファー(2015-06-28)
・第二十四話/人事(2015-07-5)
・第二十五話/SOU・SOU(2015-07-12)
・第二十六話/東京店オープンとその後(2015-07-19)
・第二十七話/地下足袋(2015-07-26)
・第二十八話/SOU・SOU足袋の誕生(2015-08-02)
・第二十九話/高砂産業(2015-08-13)
・第三十話/手縫い地下足袋(2015-08-16)
・第三十一話/東京店の奇跡(2015-08-23)
・第三十ニ話/俵屋の奇跡(2015-08-30)
・第三十三話/SOU・SOU足袋 EXHIBITION(2015-09-06)
・第三十四話/日本文化としての評価(2015-09-13)
・第三十五話/日進ゴム(2015-09-20)
・第三十六話/洋から和へ(2015-09-27)
・第三十七話/伊勢木綿(2015-10-04)
・第三十八話/リニューアル(2015-10-11)
・第三十九話/SOU・SOUのスタッフ(2015-10-18)
・第四十話/SOU・SOU作務衣(2015-10-25)
・第四十一話/le coq sportif(2015-11-01)
・第四十ニ話/お隣さんの閉店(2015-11-08)
・第四十三話/わらべぎオープン(2015-11-15)
・第四十四話/不思議な縁の女の子(2015-11-22)
・第四十五話/繋がるご縁(2015-11-29)
・第四十六話/堀淵さん(2015-12-06)
・第四十七話/裏寺町通(2015-12-13)
・第四十八話/SOU・SOU布袋(2015-12-20)
・第四十九話/東京店から青山店へ(2015-12-27)
・第五十話/10th anniversary SOU・SOUブランドムック(2016-01-03)
・第五十一話/伝統の続きをデザインするSOU・SOUの仕事(2016-01-10)
・第五十ニ話/完成間近(2016-01-17)
・第五十三話/ユニクロ(2016-01-24)
・第五十四話/ユニクロ②(2016-01-31)
・第五十五話/ようやく完成(2016-02-07)
・第五十六話/和菓子になったテキスタイルデザイン(2016-02-14)
・第五十七話/京旬菓(きょうじゅんか)(2016-02-21)
・第五十八話/布袋の移転&染めおりOPEN(2016-03-06)
・第五十九話/SOU・SOU在釜(2016-03-20)
・第六十話/SOU・SOU×ワコール(2016-04-17)
・第六十一話/キーヤン(2016-05-08)
・第六十ニ話/田端しぼり(2016-06-12)




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コメント
  • こんにちは。いつも楽しく拝見させていただいております。
    わー!懐かしく想い出深い作務衣店の写真。また見ることができてうれしいです。
    当時、半ケツスタッフの彼が着こなす作務衣もとてもよかったです。辞められたのが残念でしたが。
    一顧客としても当時何かの流れを感じていたことを思い出します。。
    そして、この写真の壁に飾られている服、まだ健在です。

    井川さん@岐阜 平成27年10月27日 20:32:18
    • 井川さん@岐阜様
      コメント有難う御座います。
      この頃は全てが激動でした。半ケツも元気かな。。

      (若林) 平成27年10月29日 11:33:42
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平成27年10月18日 日曜日号

“第三十九話/SOU・SOUのスタッフ”



SOU・SOUが成功するかどうかは、どれだけ”SOU・SOU人”が集まるかにかかっています。

ビンテージ古着の店ならビンテージマニアのスタッフが豊富な知識で古着を接客したらお客さんも楽しいだろう。古着にまつわるサブカルチャーに精通していれば尚いい。

お菓子屋さんならお菓子が好きで、知識豊富で、休日にはお菓子を作っていたりなんかして過ごし、さらにお店のお菓子に合う飲み物なんかもいろいろ提案できれば、そこに来るお客さんはきっと嬉しいだろう。


では、SOU・SOUはどうか?
SOU・SOUが好きなのはもちろん、休日にはお茶のお稽古したり、カジュアルに着物でも着て美術館めぐり...またある日は和菓子や陶芸の体験を楽しんだり...。そんなふうに日本文化を自由に日常で楽しむ”SOU・SOU人”が集まれば仕事も楽しくなるし面白い商品も生まれる、
SOU・SOUのファンも自然と増えるだろう。
そしてとても強い会社が出来ると思う。

SOU・SOUがこの10年間で少しずつ伸びてきたのはそういう”SOU・SOU人”が実際に集まったからだと思う。僕はずーっとそれだけを強く思い描いてやってきました。
SOU・SOUを知らない多くの人たちにその良さや楽しさを伝えることが出来るのは”SOU・SOU人”だけです。

SOU・SOUに短期バイトや派遣社員等がいないのはそのためです。
求人募集しても人が全然集まらなかった以前の東京店には派遣社員もいたことがありましたが、時給の高い他社の仕事にあっさり転職されました。
まーそんなもんです。
今はそういう事はないので、それだけでも昔とは大きく違います。


これからも社内外を問わず”SOU・SOU人”たちと楽しみながらすこしづつ成長できれば幸せだと思います。
別に会社はそんなに大きくならなくったっていいんです。

(SOU・SOUムック本でのスタッフ集合写真)

(次回に続く)



『SOU・SOUへの道』以前の記事一覧
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平成27年10月11日 日曜日号

“第三十八話/リニューアル”



以前にも書いたが、当初のSOU・SOU京都店の場所はわかりづらかった。
冬のある平日の夕方、お店に一本の電話があった。

「そちらのお店はどうやって行けばいいですか?」

中年位の女性の声だった。

「どちらからお越しですか?」

「京都駅からタクシーで行きます」

「あ、そうですか。それでは“御幸町御池を上がったところ”と運転手さんに伝えてください。そこに真っ黒なビルがありますので、その3階です。エレベーターは2階からですのでご注意下さい。」

「わかりました」

一旦電話を切った。


車で20分位せ着く距離なのに、30分経っても1時間経っても現れない。
さらにしばらくたった頃、「はー、やっと見つけた。。」と言って二人の母娘連れが入って来られた。
二人は少し雨に濡れていた。

「いらっしゃいませ。ひょっとして先ほどお電話頂いたお客様ですか?」

「はい、そうです。ちょっと迷ってその辺でぐるぐる歩いてしまいました」

「すみません。上手く説明出来ていなくて・・・」


店内の地下足袋をいろいろ見られて、娘さんが貼付地下足袋TA-I-RU(今は廃盤)をお買い上げになり、そのまま店を出ようとエレベーターボタンを押された。

<懐かしの貼付地下足袋TA-I-RU>


窓の外を見るとまだ雨が降っていたので「ちょっと待ってください」と言って、不要なビニール傘を差し上げた。
そして「今から京都観光ですか?」と訪ねたら、「いえ、もう帰ります」とおっしゃった。

「どこからお見えですか?」

「北海道です。」

「えー!北海道からわざわざですか?ひょっとして地下足袋を買いにですか?」

「そうです。」

「せっかくなのでよかったら、少し京都観光でもされては如何ですか?  時間ありませんか?」

僕は申し訳ない気持ちになって、ついその母娘にそんな事を言ってしまった。
しかし観光はまた今度にということで、そのまま空港に向かわれた。
そんなことならタダで差し上げてもよかったな─という気持ちになった。


この時に「もうSOU・SOUは路面店にしよう。わかる人だけ来てくれれば良いという尖った洋服屋みたいなスタンスは、SOU・SOUには向いていない」と強く思った。
そこで、まず旗だけ作って仮設オープンしていたSOU・SOU足袋の場所をSOU・SOU伊勢木綿としてリニューアルオープンし、SOU・SOU足袋はP-91ビル一階(今のSOU・SOU在釜の上)に移転リニューアルオープンすることにした。

(P-91ビルに移したSOU・SOU足袋)


その後それまでSOU・SOUがあった場所をどうしようかと考えた。
ビルの3階にあって、広々とした空間を生かすには何がいいか・・・?と考えたとき”家具屋”が頭に浮かんだ。
ちょうど上の階には辻村デザイン事務所もある。
場合によっては家具のオーダーも出来るしちょうどいいな。

という訳で、”SOU・SOUしつらい”というカテゴリーを作って、家具・インテリア雑貨の店にすることにした。

(次回に続く)



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平成27年10月04日 日曜日号

“第三十七話/伊勢木綿”


伊勢木綿はややこしかった。
思うように染まらないのだ。
手初めに50反染めてみたら、その内35反が染め不良(B反)になるという状態だった。
また生地にも織りキズがとても多かった。さらには生地の横糸が斜行している等々。。
現在一般的に流通している生地をベースに考えると問題だらけだった。

しかし、ある時気がついた。"これが伊勢木綿"だ。
職人さんは昔ながらのやり方を何も変えずただ織っているだけ。
織機は、今のトヨタが喉から手が出るほど欲しがる100年前のトヨタ式織機。なんと現役だ。
伊勢木綿を現代の価値基準に引き上げようとするのではなく、そのままを現代でどう生かすかが大切なのだと思った。


幸い染め工場さんの努力もあり、染色については半年後くらいに概ね上手くいくようになっていた。
織りに関しての問題は”存在しない”ことにした。
100年前の織機が今も現役で働いていることがすでに奇跡だ。
織キズが出たらその分だけオマケしてもらえばいい。
トヨタ式織機が生み出す多少の織キズは、ご飯でいうところの”おこげ”だと思うことにしてみた。

その頃の臼井さんの悩みは、売上げ、後継者、機械の老朽化等いろいろあったと思うが、その理由の一つに伊勢木綿の知名度の低さというのがあった。
確かに伊勢木綿は僕も知らなかったし、周りの誰も知らなかった。
臼井さんの話によると、地元の人(極端な話、町内の人ですら)も知らないのだという。
いくら良いものを作っても、ここまで誰も知らなければ意味がない・・・。

SOU・SOU伊勢木綿という店名は、そういうことから名づけた。
店名にしてしまえば、もし何かメディアの取材を受けた時に「伊勢木綿」という名前が表に出る。
たとえショップ紹介だけの小さな記事でも、伊勢木綿という文字が表記される。
そうやって少しづつでも啓蒙活動する事が大切だと思ったのだ。


写真は、当時山田節子さんに頂いた本の1ページ
「現代との出会いを待っている伝統の技」

僕には「SOU・SOUとの出会いを待っていた伝統の技」と読めた。

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・第二十四話/人事(2015-07-5)
・第二十五話/SOU・SOU(2015-07-12)
・第二十六話/東京店オープンとその後(2015-07-19)
・第二十七話/地下足袋(2015-07-26)
・第二十八話/SOU・SOU足袋の誕生(2015-08-02)
・第二十九話/高砂産業(2015-08-13)
・第三十話/手縫い地下足袋(2015-08-16)
・第三十一話/東京店の奇跡(2015-08-23)
・第三十ニ話/俵屋の奇跡(2015-08-30)
・第三十三話/SOU・SOU足袋 EXHIBITION(2015-09-06)
・第三十四話/日本文化としての評価(2015-09-13)
・第三十五話/日進ゴム(2015-09-20)
・第三十六話/洋から和へ(2015-09-27)
・第三十七話/伊勢木綿(2015-10-04)
・第三十八話/リニューアル(2015-10-11)
・第三十九話/SOU・SOUのスタッフ(2015-10-18)
・第四十話/SOU・SOU作務衣(2015-10-25)
・第四十一話/le coq sportif(2015-11-01)
・第四十ニ話/お隣さんの閉店(2015-11-08)
・第四十三話/わらべぎオープン(2015-11-15)
・第四十四話/不思議な縁の女の子(2015-11-22)
・第四十五話/繋がるご縁(2015-11-29)
・第四十六話/堀淵さん(2015-12-06)
・第四十七話/裏寺町通(2015-12-13)
・第四十八話/SOU・SOU布袋(2015-12-20)
・第四十九話/東京店から青山店へ(2015-12-27)
・第五十話/10th anniversary SOU・SOUブランドムック(2016-01-03)
・第五十一話/伝統の続きをデザインするSOU・SOUの仕事(2016-01-10)
・第五十ニ話/完成間近(2016-01-17)
・第五十三話/ユニクロ(2016-01-24)
・第五十四話/ユニクロ②(2016-01-31)
・第五十五話/ようやく完成(2016-02-07)
・第五十六話/和菓子になったテキスタイルデザイン(2016-02-14)
・第五十七話/京旬菓(きょうじゅんか)(2016-02-21)
・第五十八話/布袋の移転&染めおりOPEN(2016-03-06)
・第五十九話/SOU・SOU在釜(2016-03-20)
・第六十話/SOU・SOU×ワコール(2016-04-17)
・第六十一話/キーヤン(2016-05-08)
・第六十ニ話/田端しぼり(2016-06-12)

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コメント
  • 私のSOU・SOUとの出会いは、伊勢木綿からでした。
    伊勢木綿のお膝元に住んでいますが、地元で見る伊勢木綿は、縞格子の柄なんですよね。
     なので、SOU・SOUテキスタイルのポップな伊勢木綿との出会いは衝撃でした。
     首巻きの柄と、布袋、着衣、足袋などなど、テキスタイルを併せるだけでテンションあがります。
     SOU・SOUと伊勢木綿の出会いがなかりせば、今の私の日常囲まれているもの、との出会いもなかったかもしれません。
     今後も、SOU・SOUを通じて、日本の日常生活につながる伝統の「いいところ」との出会いを楽しみにしています!

  • はな様
    コメント有難う御座います。
    いろんな方が伊勢木綿を日常で使っていただけて嬉しいです。やりがいがあります。これからも宜しくお願い致します。

    (若林) 平成27年10月05日 12:01:27
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平成27年09月27日 日曜日号

“第三十六話/洋から和へ”

前にも書いたが、僕は以前ビンテージ・ジーンズマニアであった。
その頃はLevis501XXがあれば何もいらないと思っていた。
しばらくして、ビンテージジーンズ離れしたが、ジーンズ自体は好きだったのでで色んなブランドのものをよくはいていた。
SOU・SOU足袋を作ったときも初めはジーンズに合わせて履いていた。
接客の時にも「地下足袋はジーンズに合いますよ!」と言っていた。
しかし、ある時気がついた。
「アパレル関係ならどこの店員も言っているセリフだな、これは...」
スニーカー屋や革靴、サンダル等の履物屋の店員さんは勿論、シャツ、セーター、ジャケット、革ジャンetcあらゆるアイテムを接客する際店員さんが口にするのが「ジーンズに合いますよ!」だ。
誰もがもそのセリフを常套句としているのだ。
「お客さん聞き飽きてるわな。。」
それに気付いた日から僕は接客で「ジーンズに合いますよ」と言うのを止めた。
そして、SOU・SOU(コラボを除く)では、ジーンズ等のアメリカンカジュアルウェアを作るのを止めて、やはり地下足袋に本当に合う衣類を作っていこうと決めた。
その当時まだ和服に興味があった訳ではなかったが、「この先和装を避けて通ることは出来ないな」と覚悟した。
そして手始めにデニムを使って着物でも作ってみた。
(今ではどこでもやってるベタな手法だが。。)
また、ヘリンボーンツイル、ループ染ムラ糸デニム、ヒッコリーストライプ等、岡山産生地を使ってビンテージテイスト満載にしていた。
その時、そばにいて下さったのが室町の異端児、呉服界のピーコこともりたもとこさんだった。
(SOU・SOUスタッフと共にTV出演した際のもりたともこさん)
僕は着物の知識ゼロだったが、もりたさんと話をしているとおもしろかった。
もりたさんはギャルソン等のモード服が大好きだったが、ある日着物のおもしろさに目覚めてどっぷりはまったのだそう。
着物を日常で楽しんで着ているという時点で、呉服業界の人とはすでに輝きが違っていた。
そんな訳で、もりたさんと一緒に着物や周辺グッズを楽しみながら作った。
ある日、脇阪さんが東京生活研究所のディレクター山田節子さんという女性をSOU・SOUに連れてこられた。いろいろお話を伺ったあと、ついでにデニムで作った着物の試作品を見せてみた。すると
「こういうものをつくるなら、あなた伊勢木綿って知ってる?すごくいいわよ。紹介するわ」
と言って、その場で携帯を取り出し電話をされた。
「もしもし臼井さん、山田です。今京都にいるんだけど、おもしろいものを作っているSOU・SOUという会社があるの。若林さんていう人なんだけどちょっと会ってみたら?」
という訳で、三重県津市に出向くことになり、伊勢木綿と出会った。
「これはいい!」直感的にそう思った。
そして、話をきいてるうちに伊勢木綿は残さねばいけない伝統だと思い、それまで企画していたデニムの着物を全て中止して、伊勢木綿に切り替えた。
(次回に続く)





『SOU・SOUへの道』以前の記事一覧
・第一話/30年前の話(2015-01-04)
・第二話/東京への憧れ(2015-01-11)
・第三話/決意表明(2015-01-018)
・第四話/寮生活スタート(2015-01-25)
・第五話/学生生活の事(2015-02-01)
・第六話/学校の課題(2015-02-08)
・第七話/学生生活の事 その2(2015-02-15)
・第八話/寮生活のあれこれ(2015-02-22)
・第九話/学校の課題 その2(2015-03-01)
・第十話/社会人の思い出 その1(2015-03-08)
・第十一話/ビンテージブーム到来(2015-03-15)
・第十二話/「本物」を求め(2015-03-22)
・第十三話/そしてNYへ(2015-03-29)
・第十四話/NYの生活(2015-04-05)
・第十五話/懐かしの場所(2015-04-12)
・第十六話/帰国(2015-04-26)
・第十七話/買い付けの思い出(2015-05-03)
・第十八話/時流(2015-05-16)
・第十九話/辻村さんとの出逢い(2015-05-24)
・第二十話/テキスタイルデザイナー 脇阪 克二(2015-05-31)
・第二十一話/構想と試作(2015-06-14)
・第二十二話/前身の紆余曲折(2015-06-21)
・第二十三話/オファー(2015-06-28)
・第二十四話/人事(2015-07-5)
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平成27年09月20日 日曜日号

“第三十五話/日進ゴム”

SOU・SOU足袋を発売してすぐに、NHKが取材に来てくれた。実質、これが初めてのテレビ取材だった。
どうして地下足袋をやり始めたのか等いろいろ聞かれ、取材で埼玉県のまるそう産業や兵庫県の高砂産業、岡山県のコレクト(生地屋)等をカメラマン、ディレクターの人たちと一緒に旅した。
十数分の番組だったと思うが、ものすごく長い時間カメラを回した。
さすがはNHK。時間と資金に余裕がある。
そして一度撮った映像は、同じ局内の他の番組でも使われたりしていて、結局4番組でSOU・SOU足袋を放送してくれた。
これはさすがに勢いがついた。そして地下足袋工場の方達もとても喜んで下さった。
NHKの信頼度はすごいと感じた。
そして某日、東京店にスーツを着た一人のおじさんがやって来た。そのおじさんは一通りSOU・SOUのカラフルな地下足袋を見て
「SOU・SOUさんはすごい!地下足袋のステージを上げてくれた。ありがとう!!」
と言い放って帰っていかれた。
後でその男性は自力足袋で有名な(株)日進ゴムの植田部長だということがわかった。
当時、日進ゴムさんとは取引がなかったが、SOU・SOU足袋みたいなものが世に出て来たことが本当にうれしかったのだったという。
そしてこの後日進ゴムとの取引が始まることになる。
(日進ゴム 植田部長)
その後、植田部長は会社に戻って地下足袋がファッショナブルに生まれ変わったということを同社の会長にお話しになられた。
会長はとても地下足袋が好きな方で、ご高齢で足が悪かったにも関わらず、後日岡山の本社から京都のSOU・SOUまでわざわざお運び下さった。
この頃店頭にはまだまるそう産業と高砂産業の地下足袋しかなかったが、カラフルでポップな地下足袋を見て会長はとても喜んでおられた。
隣におられた奥様が「お父さん、こういう若い人が出てきてよかったね、嬉しいね」と仰っていた。僕も嬉しかった。
その後しばらくして会長はお亡くなりになられた。
たった一度だったが、あのご夫妻にお会いできて本当によかったと思う。
(次回に続く)


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平成27年09月13日 日曜日号

“第三十四話/日本文化としての評価”

NEW YORKでの展示会は結果的に150万円の赤字だったが、とても良い経験になった。
あのタイミングを逃すと、きっともう出来なかっただろうと思う。
スニーカーではなく地下足袋を売ったことで、僕はすごいドーパミンが出た。
ちょっと他では味わえない感覚だった。
帰国後は、東京・京都で展示会を行った。
(東京での展示会の様子)
(京都での展示会の様子)
僕はこの頃から、SOU・SOUはまず日本国内での評価を大切にするべきだと感じていた。
西洋風の服を作っているのなら西洋人に見てもらって評価をもらえばいいが、日本の文化的な履物である地下足袋なら日本人の評価が大切だ。
寿司屋に例えてみよう。
外国人にウケているが、日本人にはさっぱりウケない「SOU・SOU寿司」というお店があったとしたら入りたいと思うだろうか。
きっと見た目だけ日本ぽくした嘘っぽいなんちゃって寿司屋だと思われるに違いない。
今度はフランス料理に例えてみよう。
外国人にウケているが、日本人にはさっぱりウケないSOU・SOUフレンチ。
この場合、ひょっとすると日本人がわかっていないだけで、実は本場の味なのかもしれない・・・。
極端だが同じ評価でも作るものによってこのような違いがある。
そういえば京都の老舗料亭は、ヨーロッパのタイヤメーカーによる星の評価を拒否したお店がたくさんあった。
この場合「おたくらにはほんまもんの良さはわかりまへんやろ」という意味だと思う。
70年代以降のファッションブランドは、パリコレを最高峰として崇めてきた。
それはやはり西洋をルーツとした服づくりをするからだ。
その証拠に、モデルは必ず外国人を使う。
「新しい日本文化の創造」がコンセプトのSOU・SOUは、「外国からの評価ではなく、日本国内の評価が大切だ」という結論に自然に行き着いた。
日本の一般大衆に支持される事が何より大切でカッコいい。
そう思うようになってからは「パリでこんなにウケましたよ、日本のみなさん!すごいでしょ!!」ていうカードを使う人を古いなと感じている。
(次回に続く)


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平成27年09月06日 日曜日号

“第三十三話/SOU・SOU足袋 EXHIBITION”

時を同じくして「SOU・SOU足袋 EXHIBITION NEW YORK-TOKYO-KYOTO」という展覧会をやった。
地下足袋を広めるために何かイベントをやろうと思ったのだった。こういう時、誰でも思いつくのが海外での発表だろう。
未だに多くの人に言われるのが「外国に持っていったら売れますよ」というセリフだ。
当たり前だ。誰でもわかる、そんな事。
当時の僕もそう思っていたからNEW YORKでの発表にこだわったのだろう。
以前は買い付けで散々お世話になったNEW YORK。
しかし「今度は売りに行く番だ!」と思っていた。
会場はSOHOにある小さなギャラリー。
マンハッタンでの土地勘はあったので、全く不安はなかった。
ただ準備期間が少なかった。そして肝心の地下足袋も全然予定より数が上がってこなかった。
これは新規取引の高砂産業さんに対して僕の熱意が、当時そこまで伝わっていなかったんだと思う。
しかし後には引けないので、そのまま計画を進めた。
メンバーは僕とカミサン、顧客からスタッフになった清水(彼は英語が話せた)、そして「自腹きってでも行きたいです!」と言ってきたガン(僕はこういうセリフに弱い)の4名。
会場のセッティングには辻村さんも来てくださった。辻村さんは、この小さな展示会のためだけにNYに来て観光もせずとんぼ返りで日本に戻られた。
現地のギャラリースタッフは「彼はこの数時間のためだけにわざわざ日本から来たのか」と驚いていた。
セッティングもなんとか終わり、地下足袋在庫も揃わないまま展示会初日を迎えた。
一番初めのお客さんがバカデカイ足で、13インチをくれと言って来たが合うものがなかった。さすがアメリカだと思った。
そして最初に売れたのがラルフローレンのディレクターをしているというポッチャリした男性だった。彼は何日も前から「いつSOU・SOU足袋が来るんだ?」とギャラリー宛てにメールをくれていたそうだ。
その後もグラフィックデザイナー、ファッションデザイナー、モデル等が大喜びで買って行ってくれた。さすがNEW YORKだと思った。
ちなみにヒップホップのダンサー達が来た時に「君たちは踊り始めて何年経つかは知らないが、この地下足袋は日本で400年の伝統がある阿波踊りのときに履く足袋だ。とても良いものだ。」と言ったら「スゲークールダ!!」と言って、これまた大喜びで買って行ったのを憶えている。
(次回に続く)


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・第六話/学校の課題(2015-02-08)
・第七話/学生生活の事 その2(2015-02-15)
・第八話/寮生活のあれこれ(2015-02-22)
・第九話/学校の課題 その2(2015-03-01)
・第十話/社会人の思い出 その1(2015-03-08)
・第十一話/ビンテージブーム到来(2015-03-15)
・第十二話/「本物」を求め(2015-03-22)
・第十三話/そしてNYへ(2015-03-29)
・第十四話/NYの生活(2015-04-05)
・第十五話/懐かしの場所(2015-04-12)
・第十六話/帰国(2015-04-26)
・第十七話/買い付けの思い出(2015-05-03)
・第十八話/時流(2015-05-16)
・第十九話/辻村さんとの出逢い(2015-05-24)
・第二十話/テキスタイルデザイナー 脇阪 克二(2015-05-31)
・第二十一話/構想と試作(2015-06-14)
・第二十二話/前身の紆余曲折(2015-06-21)
・第二十三話/オファー(2015-06-28)
・第二十四話/人事(2015-07-5)
・第二十五話/SOU・SOU(2015-07-12)
・第二十六話/東京店オープンとその後(2015-07-19)
・第二十七話/地下足袋(2015-07-26)
・第二十八話/SOU・SOU足袋の誕生(2015-08-02)
・第二十九話/高砂産業(2015-08-13)
・第三十話/手縫い地下足袋(2015-08-16)
・第三十一話/東京店の奇跡(2015-08-23)
・第三十ニ話/俵屋の奇跡(2015-08-30)
・第三十三話/SOU・SOU足袋 EXHIBITION(2015-09-06)
・第三十四話/日本文化としての評価(2015-09-13)
・第三十五話/日進ゴム(2015-09-20)
・第三十六話/洋から和へ(2015-09-27)
・第三十七話/伊勢木綿(2015-10-04)
・第三十八話/リニューアル(2015-10-11)
・第三十九話/SOU・SOUのスタッフ(2015-10-18)
・第四十話/SOU・SOU作務衣(2015-10-25)
・第四十一話/le coq sportif(2015-11-01)
・第四十ニ話/お隣さんの閉店(2015-11-08)
・第四十三話/わらべぎオープン(2015-11-15)
・第四十四話/不思議な縁の女の子(2015-11-22)
・第四十五話/繋がるご縁(2015-11-29)
・第四十六話/堀淵さん(2015-12-06)
・第四十七話/裏寺町通(2015-12-13)
・第四十八話/SOU・SOU布袋(2015-12-20)
・第四十九話/東京店から青山店へ(2015-12-27)
・第五十話/10th anniversary SOU・SOUブランドムック(2016-01-03)
・第五十一話/伝統の続きをデザインするSOU・SOUの仕事(2016-01-10)
・第五十ニ話/完成間近(2016-01-17)
・第五十三話/ユニクロ(2016-01-24)
・第五十四話/ユニクロ②(2016-01-31)
・第五十五話/ようやく完成(2016-02-07)
・第五十六話/和菓子になったテキスタイルデザイン(2016-02-14)
・第五十七話/京旬菓(きょうじゅんか)(2016-02-21)
・第五十八話/布袋の移転&染めおりOPEN(2016-03-06)
・第五十九話/SOU・SOU在釜(2016-03-20)
・第六十話/SOU・SOU×ワコール(2016-04-17)
・第六十一話/キーヤン(2016-05-08)
・第六十ニ話/田端しぼり(2016-06-12)

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平成27年08月30日 日曜日号

“第三十ニ話/俵屋との奇跡”

地下足袋をデビューさせた後も小さな奇跡が続いた。
ある日、辻村さんの元勤め先(株)リブアートの谷口社長から僕の携帯に電話がかかってきた。
珍しい事もあるもんだと電話に出ると「キミ、地下足袋作ってるんやったらスリッパも作れるやろ?」と言われた。
聞けば京都の高級老舗旅館 俵屋で、手縫いのスリッパを作れる職人さんを探しておられるとのこと。
もちろん地下足袋とスリッパは全く工場がちがう。何よりスリッパなど一度も作った事がなかったが、とりあえず打ち合わせに伺うことにした。
谷口さんに紹介されて、俵屋のご主人(女性)にお会いした。初めに言われたのが「あなたがどこの誰かはわからないけれど、谷口さんが連れて来たのだから、まー大丈夫なんでしょう」だった。
先方が所望されたスリッパは、シルクで出来た手縫いのものだった。
いろいろこだわりポイントをお話を聞かせていただいたが「とりあえずサンプル作ってみますので、それを見て判断してください」と言って俵屋を後にした。
しかしエラそーに言ったはいいが、もちろんどこで作ればいいのかわからなかった。
その日の夜、家に帰ってご飯を食べながらぼーっとテレビを見ていると、たまたまスリッパ工場が映っていた。どうやらスリッパの産地を取材した番組のようだった。気がつくと僕は食い入る様に画面に近づいていた。
「そうか、山形が日本一のスリッパ産地なのか!」。絶妙のタイミングで産地情報をゲットした僕は次の日、ネットで山形県スリッパ工業協同組合を調べた。何軒かの工場に電話を入れ、一番愛想が良かったタカナシスリッパ(有)という工場にオファーしてみる事にした。
いきなり電話して初回から高度な仕様の話をしたので先方も少しためらっておられたが何とか1stサンプルを作る事ができた。そして修正を重ねながらもどうにかか現物を納品することが出来た。
谷口さんの顔に泥を塗る事無くすんだのもよかった。
(当時プリントアウトした資料)
(1stサンプル作成時の加工書)
その後、俵屋のご主人が「あなたの地下足袋おもしろそうね。ウチで置いてみてあげる」と言ってくださった。
すごい、俵屋に置いていただけるなんて。
これは、外国の有名美術館に置いてもらうよりうれしく、光栄な事だと思った。
そして俵屋で一番初めに地下足袋を買ってくれたのが、その日泊まりに来ておられた映画監督スティーブン・スピルバーグだった。
(次回に続く)


『SOU・SOUへの道』以前の記事一覧
・第一話/30年前の話(2015-01-04)
・第二話/東京への憧れ(2015-01-11)
・第三話/決意表明(2015-01-018)
・第四話/寮生活スタート(2015-01-25)
・第五話/学生生活の事(2015-02-01)
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平成27年08月23日 日曜日号

“第三十一話/東京店の奇跡”

地下足袋がデビューして、東京店の売り上げが伸びていくのだが、実はちょっとした奇跡が起きていた。
オープン以来ずーっと客入りが悪かった東京店は、なんとかしてまずお客様を店内に引き込みたかった。
いろいろ考えた結果、ガラガラの店内が丸見えではお客様も逆に入りづらいのではないかと思って入り口に大きな白いのれんをかけ、店内をあまり見えないようにしてみた。
しかし残念ながら大した効果はなかった。
そんな中、オーダーしていた数十種類のカラフルな地下足袋がとうとう入荷してくることになったので、入り口正面のSO-SU-U柄の壁一面に地下足袋をディスプレイしようと思い、その為の棚を造作した。
カラフルでポップな地下足袋が壁一面に並ぶと店内の雰囲気は一変した。
そして心機一転地下足袋の販売をスタートした矢先、入り口にかけてあった暖簾の棒を掛ける部分が片方取れてしまい、暖簾がバサッと落ちたのだった。
すると外から店内にある壁一面のカラフルな地下足袋がバーンと見えるようになって、図らずもお客様が入って来られるようになった。
岡部は「これは多分、神様が落としてくれたんやな・・・」と言った。僕もそう思った。
その時から東京店は赤字から脱出し徐々に売り上げを伸ばし、神様に守られているかのごとくあのリーマンショックや長引く不況にも全く影響されない売り上げがとれる奇跡のお店となっていった。
そしてヴィーナスフォートのアパレル全店の中で、坪当たりの売り上げが常にトップを争うまでになった。
(次回に続く)


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平成27年08月16日 日曜日号

“第三十話/手縫い地下足袋”

次に見つけたのは、埼玉県行田市のまるそう産業さんだった。
この地域は、全盛期は年間400万足以上を生産していた手縫い地下足袋の一大産地だった。
埼玉の商工会議所で調べてもらって、なんとか残っていた最後の一軒、まるそう産業さんを見つけたのだった。
初めて工場に電話をした時に「京都から電車賃かけてわざわざ来て、採算は合うのか?」と聞かれた。会長の小沢さんだった。
採算が合うかどうかはわからないが、行ってみない事には始まらない。とりあえず埼玉県行田市へ向かった。
なるほど、工場も働いている職人さん達も雰囲気があって、良い感じだった。
手縫い地下足袋というのは、ゴムソールとアッパーの足袋を手で縫いつけるところがポイント。
ゴムを針で通すのがとても硬くて「若い人に頼んでも2週間ももたないよ」とおばあちゃん職人がおっしゃっていた。
内側に付いている虎のプリントは、近くにある宝登山で安全祈願をしている証し。
「この仕事が無事に終わりますように」と地下足袋に祈願するのだ。
つまりお守り付きのスーパーシューズというわけだ。こんな履物は世界中探してもあるまい。
この手縫い地下足袋は、履き心地の良さから本場とび職の愛好家もいたらしいが、ソールを手縫いしているということから普段履きとしては雨の時水が沁みるという弱点があった。
SOU・SOUだけでコンスタントに月間500足以上を毎月職出し出来れば防げたかもしれないが、残念なことに当時それは実現できなかった。
5年前にゴムソール屋さんが廃業されたため、地下足袋を生産することが出来なくなり、連鎖的にまるそう産業さんも廃業されてしまったのだ。
これで行田市の手縫い地下足袋歴史が終わってしまった。
「手縫い地下足袋の灯火は消さない」と小沢会長がおっしゃっていたのが思い出される。
(次回に続く)


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・第五十五話/ようやく完成(2016-02-07)
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平成27年08月09日 日曜日号

“第二十九話/高砂産業”

地下足袋は国産であるべき。そう思い続けて工場を探していたところ、
ある会社の紹介で高砂産業さんに出会うことができた。
(高砂産業 本社工場の看板)
高砂産業さんとの最初の打ち合わせのときに、僕は15分くらい遅刻をしてしまった。
そのせいかどうかは知らないが、加古社長はニコリともせず不機嫌そうな面持ちで、終始重い空気が流れていた。
20柄以上の加工書を見せて、表地裏地の柄合わせの指示や今後のビジネス展開等を話したが、「ウチでは出来ひんな」と一蹴された。
こりゃあかん!と思い、とりあえず柄合わせのない無地扱いのものだけを机の上に残し、その他の加工書、生地を見えないところに下げた。
「どのように裁断して頂いてもOKです、これなら大丈夫ですよね」と言って、何とか考え直してもらえた。
まーこれが現実だと思った。どこの馬の骨かわからん初対面の男に、地下足袋についてあーしろ、こーしろ言われて、はいそうですかとはなかなかならない。
それに一回きりのオーダーで終わりだろうと思われていたのだから、なおさらだ。
しかしながら、結果的にこのとき加古社長がオーダーを受けてくださったことが次に繋がっていったことは事実だ。本当に感謝しなければいけない。
地下足袋に関しては立ち上げから数年に渡り、生産を一人で担当してくれた畑中という女性スタッフがいた。どんくさいところもあったが、人情があってとてもいいヤツだった。
仕事面では僕とよく口論になったが、本当によく耐え、がんばってくれた。彼女無しでは今はないと思っている。
彼女は3年前料理人のもとに嫁いだ。小料理屋の女将兼、母親としていそがしい毎日を送っているはず。
大変だとは思いますが、持ち前の明るさでがんばってほしい。
(次回に続く)

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平成27年08月02日 日曜日号

“第二十八話/SOU・SOU足袋の誕生”

そう言えば、最初丸五さんで地下足袋を作った時のこと。
地下足袋を発注したのはいいけれど、実は会社には倉庫がなかった。
確か2300足ほどオーダーしていたにも関わらず、それを置くスペースのことは何も考えていなかった。というか、多少考えてはいたけれど、いくら考えても答えは見つからなかったのだ。
仕方がないので、なんとか店のストックスペース、店内、事務所内の置けるところにすべて置いた。
東京店からの業務日報には「こんなに地下足袋が送られてきて売れるのでしょうか」と書かれてあった。「やかましい!売るんじゃ!」と思って、バンバン送った。
そんなある日、当時僕がテナントを借りていながらも経営の一切を任せてていたお店があった。しかしその店長が店を辞めるといってきた。
急遽店が空くことになった。仕方がないからそこに地下足袋だけを並べてお店をやってみることにした。お金も時間もかけられないから店内は一切何も手を加えず、店先にかける旗だけ作って「SOU・SOU足袋」とした。
(当時のSOU・SOU足袋を取り上げた掲載誌より)
その時はまだ会社の売り上げの柱となっていた洋服のセレクトショップ事業の店頭スタッフだった中岡(現・足袋屋店長)に「キミ、明日から足袋屋やってくれるか」と頼んだら「ハイ」と言ったので、SOU・SOU足袋店長にした。
また、teems design+moonbalanceの事務所でグラフィック担当だった岩崎も、急遽足袋屋スタッフにした。グラフィックの仕事なんて、実は全然なかったのだった。でも、彼女も快く引き受けてくれた。
当時行き当たりばったりで行った人事に文句も言わず付いてきてくれたスタッフには感謝している。
そして、このドタバタ劇が、SOU・SOUの足袋部門を独立させるきっかけにもなった。
この後、SOU・SOU伊勢木綿、SOU・SOU作務衣等、商品カテゴリーごとに店舗を展開していくことになる。
(次回に続く)


『SOU・SOUへの道』以前の記事一覧
・第一話/30年前の話(2015-01-04)
・第二話/東京への憧れ(2015-01-11)
・第三話/決意表明(2015-01-018)
・第四話/寮生活スタート(2015-01-25)
・第五話/学生生活の事(2015-02-01)
・第六話/学校の課題(2015-02-08)
・第七話/学生生活の事 その2(2015-02-15)
・第八話/寮生活のあれこれ(2015-02-22)
・第九話/学校の課題 その2(2015-03-01)
・第十話/社会人の思い出 その1(2015-03-08)
・第十一話/ビンテージブーム到来(2015-03-15)
・第十二話/「本物」を求め(2015-03-22)
・第十三話/そしてNYへ(2015-03-29)
・第十四話/NYの生活(2015-04-05)
・第十五話/懐かしの場所(2015-04-12)
・第十六話/帰国(2015-04-26)
・第十七話/買い付けの思い出(2015-05-03)
・第十八話/時流(2015-05-16)
・第十九話/辻村さんとの出逢い(2015-05-24)
・第二十話/テキスタイルデザイナー 脇阪 克二(2015-05-31)
・第二十一話/構想と試作(2015-06-14)
・第二十二話/前身の紆余曲折(2015-06-21)
・第二十三話/オファー(2015-06-28)
・第二十四話/人事(2015-07-5)
・第二十五話/SOU・SOU(2015-07-12)
・第二十六話/東京店オープンとその後(2015-07-19)
・第二十七話/地下足袋(2015-07-26)
・第二十八話/SOU・SOU足袋の誕生(2015-08-02)
・第二十九話/高砂産業(2015-08-13)
・第三十話/手縫い地下足袋(2015-08-16)
・第三十一話/東京店の奇跡(2015-08-23)
・第三十ニ話/俵屋の奇跡(2015-08-30)
・第三十三話/SOU・SOU足袋 EXHIBITION(2015-09-06)
・第三十四話/日本文化としての評価(2015-09-13)
・第三十五話/日進ゴム(2015-09-20)
・第三十六話/洋から和へ(2015-09-27)
・第三十七話/伊勢木綿(2015-10-04)
・第三十八話/リニューアル(2015-10-11)
・第三十九話/SOU・SOUのスタッフ(2015-10-18)
・第四十話/SOU・SOU作務衣(2015-10-25)
・第四十一話/le coq sportif(2015-11-01)
・第四十ニ話/お隣さんの閉店(2015-11-08)
・第四十三話/わらべぎオープン(2015-11-15)
・第四十四話/不思議な縁の女の子(2015-11-22)
・第四十五話/繋がるご縁(2015-11-29)
・第四十六話/堀淵さん(2015-12-06)
・第四十七話/裏寺町通(2015-12-13)
・第四十八話/SOU・SOU布袋(2015-12-20)
・第四十九話/東京店から青山店へ(2015-12-27)
・第五十話/10th anniversary SOU・SOUブランドムック(2016-01-03)
・第五十一話/伝統の続きをデザインするSOU・SOUの仕事(2016-01-10)
・第五十ニ話/完成間近(2016-01-17)
・第五十三話/ユニクロ(2016-01-24)
・第五十四話/ユニクロ②(2016-01-31)
・第五十五話/ようやく完成(2016-02-07)
・第五十六話/和菓子になったテキスタイルデザイン(2016-02-14)
・第五十七話/京旬菓(きょうじゅんか)(2016-02-21)
・第五十八話/布袋の移転&染めおりOPEN(2016-03-06)
・第五十九話/SOU・SOU在釜(2016-03-20)
・第六十話/SOU・SOU×ワコール(2016-04-17)
・第六十一話/キーヤン(2016-05-08)
・第六十ニ話/田端しぼり(2016-06-12)

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平成27年07月26日 日曜日号

“第二十七話/地下足袋”

SOU・SOUを始めてからは、いろいろな日本のコト、モノに興味を持ち始めた。
昔の人の美意識ってすごいなーと感心することがとても多かった。

ある日何かのときにサンプルとして買っておいたいわゆる黒い地下足袋を倉庫で見つけてまじまじと眺めていた。


「これって本当はとてもいいモノなんじゃないか」と漠然と思った。理由は、機能性、世界に類を見ない独特のデザイン性、そして伝統性が兼ね備わっていることだった。
また、日本人は地下足袋をファッションアイテムとして認めていないのに、外国人はオシャレな人ほど地下足袋を見て”クール”と言うところも面白い。
「これはイケるな。」直感的にそう思った。我々日本人は地下足袋に対して偏見を持っているだけだと思ったのだ。

さっそく地下足袋メーカーを探した。力王、丸五、月星(現ムーンスター)・・・。大手と言われる会社の名前が出てくる。
しかし、問い合わせてみるとどこも中国製だった。国産にする意味などどこにもないという感じだ。

とりあえず、岡山の丸五さんにお邪魔して話を聞くことにした。
藤木さんと大谷さんがいろいろと話を聞かせてくださった。昭和40年代、力王さんを皮切りに皆中国へ生産拠点を移していったそう。話を聞いてるとそれが良いとか悪いとかではなく、時代の流れだったのだと思った。

仕方がないので、丸五さんにお願いしてとりあえず中国製でオリジナル地下足袋の生産をスタートすることにした。SOU・SOU足袋の始まりだ。
地下足袋の柄はSO-SU-UとHA-KOの2柄各白黒。デザインは、先の割れたものと先が丸いものの2型作った。

(初期の頃のオリジナル地下足袋)

なかなか良い仕上がりだった。
これらの1stモデルはそれほど売れたわけではないが、柄数を増やしてカラフルにすれば絶対にもっと売れるはずだと確信した。

SOU・SOU×丸五足袋を発売しながらも、実は国産工場をずーっと探し続けていた。
この先きっと海外へも売っていくことになる。その時「日本の伝統的な履物です」といいながら中国製では、外国の人に「なんで?」と言われるに決まっている。
国内では誰もそんな事言っていなかったが、それは皆が地下足袋に興味がないからだと思った。

例えばヴィンテージ市場では(アメリカ人は誰もそんな事は言わないが)リーバイスやナイキはアメリカ製がいいと言う日本人はいっぱいいるし、ロレックスはスイスメイドがいいと言うだろう。
当時、プラダが中国生産をスタートするという事がニュースにもなっていた。まーそれくらい日本人はブランドやプロダクトの生産国に対して、実はこだわっているのだ。

僕は別に何が中国製でもかまわない。
ただ、日本の伝統的なもの、例えば着物、扇子、足袋みたいなものは国産、それも伝統的な産地で作る方が良いものが出来て本物だと思っている。
でも、へったくそなくせに「日本製」と打ち出すくらいなら、上手な中国製の方がマシだとも思う。

まーそんな訳でいろいろあたっているうちに国産地下足袋工場、まるそう産業、高砂産業に出会うことになる。


(次回に続く)


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平成27年07月19日 日曜日号

“第二十六話/東京店オープンとその後”

東京店オープンは、10年前の2003年3月8日。
(上:オープン当日の様子/下:脇阪さんと辻村さん)
前日はオープニングレセプションで大勢の方が来てくださったが、オープン初日は意外とあっさりしたものだった。
僕もオープン後1ヶ月は毎日ヴィーナスフォートに出勤した。当時いたスタッフのお父さんの紹介で、恵比寿にある某組合の社員寮にお世話になった。
売り上げは毎日イマイチというかサッパリだった。ちょっとお店をクールに作りすぎたのか、入りづらいというお客様の声もあった。
知らない場所での出店というのは、オープンしてからが勝負だ。
営業しながらその場所や客層に合ったMDにしていくとか、時間をかけて自分たちの世界観を好きになって頂ける顧客を作っていくとかして、少しずつ発展させていかなければいけない。これは思ってた以上に大変そうだなと感じていた。
東京での一人暮らしを始めた岡部も相当大変だったに違いない。初めての東京一人暮らしと、知らないスタッフとの慣れない仕事場、取れない売り上げ・・・。
売れていて疲れるのは心地よいが、売れなければ疲れるだけでなく精神的にもキツくなる。
予算が取れないまま1ヶ月が過ぎ、僕は京都へ戻らなければいけなくなった。
東京での最終日、恵比寿の居酒屋で岡部に
「明日からしっかり頼むで」
と伝えたときの彼女の表情はとても疲れていて覇気がなく、これからやっていけるのかなとちょっと絶望的な感じがしている様に僕には見えた。(本人はどう思っていたかは知りませんが)
その後もずーっと売り上げは悪く、赤字経営が続いた。
その頃会社のメイン事業はまだ洋服のセレクトショップの方で、売り上げは調子良かった。そちらの利益をSOU・SOUのマイナスに充てていた。
しかしながら商業施設というのは普通のテナントとは違って、家賃さえ払っていればいいというわけではない。ある程度ヴィーナスフォート側が納得する売り上げを取らないと出て行かなければいけない。それは、デパートを含むどんな商業施設でも同じこと。
SOU・SOUがオープンしてから約半年後、ヴィーナスフォートの運営室から「そろそろSOU・SOUにテコ入れした方がよさそうだな」という声も出ていたそう。
「テコ入れもへちまもない。こっちだって真剣にやっているんだ」と思いながらも、やはり売り上げは芳しくなかった。
そんな中、SOU・SOUの救世主「地下足袋」が登場することになる。
(次回に続く)


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平成27年07月12日 日曜日号

“第二十五話/SOU・SOU”

少し話が前後しますが、東京出店を決めた時にちゃんとしたお店の名前を改めて決めなければいけないと思った。
当時の京都の店名は「teems design + moonbalance」。
「お電話ありがとうございます。teems design + moonbalance東京店でございます」では長すぎて噛んでしまう。
そして、誰も憶えてくれない。
また、この頃「なんで日本のファッションブランドやショップ名はみんな英語なのかなー」という疑問もわいていた。
「よし。日本のモノづくりをするのだから、日本語にしよう」と思った。
いろいろ考えた結果、クリエイティブの「創」、かんたんという意味の「草」、よそおいの「装」、住まいの「荘」etc...というところから「SOU・SOU」にした。アルファベットにしたのは外国の人にも読めるように

実はコンセプトにある「相槌=そうそう」というのは後付けだ。バラしてしまった。
脇阪さんの奥さんが「相手を肯定する日本人らしさがあるわね。」と言われたので、なるほどーと思ってそちらをコンセプトに採用した。
というわけで、東京ヴィーナスフォート店がオープンすることになったので「SOU・SOU」という名前が生まれた。
(東京ヴィーナスフォート店 店頭写真)
そして、東京店がオープンしてから約半年後に京都店も「SOU・SOU」に変えた。
圧倒的にこちらの方が気に入ってしまったのだ。
ちなみに東京店オープン時のDMに「SOU・SOU TOKYO GRUND OPEN」と書いてしまった。
正しくは「GRAND OPEN」だ。
当時プレスを担当していた女性スタッフは、とても恥ずかしそうにしていた。作り直した方がいいと提案してきたが、僕はそうしなかった。
外国に行ったらお店の貼り紙、メニュー、カタログ等、変な日本語なんて山盛りある。しかし、彼らはそんな事全く気にしていない。日本人は英語のスペル間違いに敏感過ぎる。
「たかが英語を間違えたくらいで気にするのはやめよう。日本語を間違えたのなら問題やけど」
と言って、気にせずそのDMを使った。
(次回に続く)



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コメント
  • 確かに その通りだと思います。
    外国で、おかしな日本語を私達はなんとか理解しようとしてあげています。(旅の土産話的におかしな看板を写真な納めたりしながら。)
    日本に来ている外国の方も、きっと同じ。
    広報の方が(あるいは私達が)スペルを間違えて 恥ずかしいと感じるのは外国の方に対してではなく、同じ日本人同士に対してなんですよね。
    日本人の几帳面さや、いい意味でもワルい忌みでもPRIDEの高さ故の感情ですね。
    SOU SOUへの道…
    続きが益々楽しみです!

    おかっぱの母 平成27年07月13日 11:48:52
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