SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記
“古都の愉しみかた/寺田 由”
SOU・SOUがある京都の中心、四条河原町はどこを歩けど祇園祭のお囃子「コンチキチン」の音が聞こえてきます。
初めて聞いても、どことなく「京都」を感じることのできる不思議な音色です。
祇園祭を目的に京都へお越しの観光客も多くおられますし、京都に住まわれている方も祇園祭にまつわる思い出があるのではないでしょうか。
さて、私は鞄の中に必ず本を携帯しています。
熱心な読書家ではないのですが、スマホや手ぬぐいと同じで本がないと落ち着かない性分です。
本日は今の時期に読みたくなる一冊を、印象深い本文と一緒にご紹介いたします!
「古都」川端康成
川端康成の代表作の一つですので、ご存知の方も多いかもしれません。
(百恵ちゃん主演で映画化もされていました!)
京都を舞台に、生き別れた双子の姉妹が祇園祭の夜に偶然出会う切なく情緒的な作品。
四季折々の京都名所や名店が登場し、小説の中で京都を存分に楽しめるのもこの作品の魅力です。
川端康成が苦戦したと言われている京言葉も今では日常的に使われることが少なくなくなりましたが、風情を感じることができ耳障りの良い言葉だと思います。
なんとなくイントネーションも想像しながらお楽しみください。
◆「人間の娘も、あの杉みたいに真っ直ぐに育つとええかしらん。」
主人公が友人と青紅葉を見物しに高雄へ出かけた際、まっすぐに立つ北山杉を見た時の言葉。
SOU・SOUでもコラボレートしている鳥獣戯画が有名な「高山寺」の近くにはこんな景色が今も残っています。
丁寧に間伐された北山杉は今も日本建築に欠かせない貴重な材木です。
四方を山に囲まれている京都、実はこんな景色もあるんですよ。
◆「今日は、島村はんから、瓢正の笹巻きずしをたんといただきましたさかい、うちでは、おつゆだけでかにしてもらいました。」
主人公の家での食卓のシーン。
「瓢正」は現在も高瀬川沿いにある京料理店。
笹巻きずしがお店の名物(予約必須)で、実際に川端康成の好物でもあったそうです。
変わらぬ味が今も楽しめるのがファンにとっては嬉しいですね。
◆「お越しやす、お嬢さん。祇園祭で、いそがしいて、いそがしいて、ほんまの古いおなじみさんだけでかにしてもろてます。」
祇園祭の夜に主人公がお遣いに出掛けたのは「湯葉半」。
御池通から少し北へ上がったところにある雰囲気のある佇まいの湯葉のお店。
中には今も湯葉を汲み上げる作業場があります。
◆「今夜会うたこと、誰もいわしまへん。誓います。知っといやすのは、御旅所の祇園さんだけどす。」
この物語のハイライト、双子が出会いお互いに姉妹であると確信するシーンはSOU・SOUのすぐそばにある「御旅所(おたびしょ)」でのこと。
四条の寺町商店街前の横断歩道の南側にあるのが「御旅所」です。
大通り沿いで通り過ぎてしまいそうな
御旅所は八坂神社から出た神輿がお休みになるところで、祇園祭の際には御神輿が3基並びます。
祇園祭は華やかなお祭りではありますが、どことなく儚げ。
そんな繊細さや空気感を表現できる日本語っていいですね。
京都を愛した文豪は川端康成だけではありません。
文豪の愛したお店、名優の愛したお店が京都にはたくさんございます。
京都のガイドブックは数あれど、時には大人の古都を愉しむのもいかがでしょうか。
引用:「古都」川端康成 (新潮文庫)
6 件のコメント
読むだけで京都を感じられる小説!
早速購入して読んでみたいと思います(^^)
祇園祭のシーズンに京都を訪れたことがまだ無いのですが、毎日のライブ配信で聞こえてくる店内のお囃子のBGMで京都にいる気分になれます。
毎年必ずどなたかのブログ記事にも上がる御手洗祭もいつか参加してみたいです!
本を持ち歩いてないと落ち着かないという共通点に、嬉しくなりました(^o^)必ず読むとは限らないんですけどね…。
hika 様
コメントをいただきましてありがとうございます。
わかりますー!読むとは限らないし荷物にもなるのですが、ついつい持ち歩いてしまいます!
ぜひ一度、手にされてみてください!
御手洗祭りも祇園祭と同じくこの時期の欠かせない行事です。
春や秋もいいですが、夏の京都もおすすめでございます!
お越しの際はSOU・SOUにもお立ち寄りいただけましたら幸いです!
洛中は祇園祭一色になってきましたねぇ♪
私は百恵ちゃんの「古都」を劇場公開当時に観に行きました。
はんなりとした雰囲気に溢れた場面のイメージが微かですが、今も覚えています。
寺田さんも書かれています、御旅所のシーンがやっぱり印象的でしたね♪
今日から週末まで雨模様ですが、久しぶりの祇園祭を楽しみたいですねぇ♪
kazu-endlix 様
いつもコメントをいただきましてありがとうございます。
百恵ちゃんの映画、一度見てみたいのですがなかなか見つからず。
でも、主人公のイメージと百恵ちゃんの大人びた雰囲気が絶対に合うような気がします!
今朝、御旅所では提灯が掛かり着々と準備が進んでいました。
いよいよ始まる!そんな気がしてワクワクしています!!
寺田さんが、百恵ちゃんの古都、とは意外でした。てっきり松雪泰子版が来るかと….。SOU・SOUのスタッフさん達とお話しすると、意外に「なんで、そんな古いの知ってんねん 世代ちゃうやろ 笑」と思う答を頂くことがあります。これも、店舗の楽しみの一つです。
ANN様
コメントをいただきましてありがとうございます。
松雪泰子さんの古都より、やっぱり百恵ちゃんの方が興味が惹かれてしまいます!
完全な親の英才教育(影響)のおかげです。
SOU・SOUのスタッフは意外と懐メロ好きが多かったり、昭和の映画に詳しかったり・・・
いやー、昭和っていい時代ですよね!!