一期一絵 毎日更新!SOU・SOU読本

令和3年03月21日 日曜日号

一日一駄話 / SOU・SOUプロデューサー若林剛之によるたわいもない事

“茶室彼是(ちゃしつあれこれ)【15】”

本日は日曜日、数寄屋大工一家の箱入り娘&SOU・SOU傾衣の看板娘、寺田由のコーナーです!
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祖父や父が手がけた茶室は個人宅が多く、プライベートな場所となっているのでもちろん非公開。
美術館は外から観ることはできても実際に触ったり空間に入ることができないことがほとんど。
日本の文化なのに私たちが本格的な茶室に足を踏み入れようとした場合、ごく限られたシーンでしかその空間を味わうことができないのです。

マイホームを建てる時、多くの人はモデルルームやショールームに足を運びイメージを膨らませると思いますが茶室はそれができない。
茶室だってきっと一生に一度の大きなお買い物のはずなのに、なんだかな・・・私はそんな風に思っていました。

若林がそのことに対してどう思っていたかはわかりませんが、せっかくなので我が家以外の茶室にも見てみよう!と揃って出かけたのは京都、大徳寺にある塔頭・瑞峯院(ずいほういん)。

お寺の中にある「平成待庵(へいせいたいあん)」という茶室はご縁あって30年ほど前に祖父が建てさせていただいた茶室です。

「待庵(たいあん)」というのは京都の妙喜庵(みょうきあん)というお寺に実際にある茶室で、千利休が造ったとされる最古の茶室建築と言われています。
つまり待庵は今の茶室の原型で、その「待庵」を模したものが「平成待庵」です。

いつも笑顔で迎えてくださる瑞峯院のご住職は父の顔を見るなり
「あんたの方が詳しいから好きなだけ見て行きなさい」
と奥へ通してくださりました。

祖父は平成待庵を建てるのにあたり、発見された文献などをもとに待庵が建てられた当時の寸法を忠実に再現したとのこと。
また、真っ黒い壁は経年劣化によって変色した待庵の壁を再現するために土壁の材に煤や炭をまぜて敢えて黒くしたものです。

自宅の茶室とは趣が違い驚きましたが、狭さを全く感じないのは茶室の凄さだと思います。

待庵が茶室の「原型」と言われても素人目には「完成型」にしか思えないのですが、実際その空間に身を置くと、そこに利休や秀吉がいて、ここは縁の深い大徳寺・・・と想像の羽を広げずにはいられません。
同行した私はちょっとしたロマンを感じながらワクワクしていました。

《つづく》
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それでは、また明日。

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今日の合言葉は 「茶室彼是(ちゃしつあれこれ)」

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