SOU・SOU日記 / スタッフがお届けする日記
“十牛図/鍵和田 安奈”
3月に入り、いよいよ春も本番ですね!
花粉なども舞ってきているようですが、皆様元気にお過ごしでしょうか。
先日、お茶のお稽古の関係で、「十牛図」の一部を描く機会に与りました。
今年の干支【丑年】にちなみ、茶道の精神の勉強の一貫として与えられた課題。
こちらを描くにあたり、大変勉強になりましたので、
その感想をお分かちさせていただきます!
駄作で恐縮ではございますが、お付き合いいただければ幸いです。
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十牛図とは、逃げ出した牛を探し求める牧童(牧人)の様子を
段階的に描いた10枚の絵です。
牛は「真の自己(本当の自分)」の象徴で、
牛を探し求める牧童は「真の自己を究明する自分」をたとえたものです。
私が担当したシーンは十牛図の其ノ一
「尋牛(じんぎゅう)」
牛を尋ね求めるという意味です。
本当の自分を見失い、なんとも寂し気な表情の中に
必ず牛を見つけるんだ!という強い意思を描くことを試みました。
十段階のはじめである、「尋牛」のキーワードは
「取り掛かること」だと感じました。
物事に取り掛かるにはエネルギーを必要とするため、
何もしないのが楽であることは、言うまでもありません。
それを振り切って「取り掛かる」かどうかは自分次第だと教えられます。
こちらの絵の解説に利休百首の一首が引用されておりました。
「その道に入らんと思う心こそ我身ながらの師匠なりけれ」
まずは物事に「取り組む気持ち」が最も大事で、
その自分の気持ちこそが最後まで寄り添う師匠なのだそうです。
牧童が手綱を手にしているように、
まずは物事に取り組む準備をする。
そして取り掛かった後、突き詰めていく「諦めない精神」。
これを大切にしていきたい、
否、大切にしてくべきなのだ。
以上のことを、「尋牛」を描くにあたり、感じたことです。
ちなみに、今回「十牛図」を描くために読んだ本がこちら
この牧童が最終的にどうなっていくのか、
気になる方はぜひ、ご一読をおすすめいたします!
また、茶道に関わらず色々な物事に通じるところが大いにあると感じております。
最後に利休百首より、もう一首
「稽古とは一より習ひ十を知り 十よりかへるもとのその一」
到達した!と思えたところでまた次の壁にぶつかり、
初心にかえる、
その繰り返しなのだと・・・。
日々の生活の中に茶の湯の精神を適応していくことが
目下の目標でございます。
10の段階に至るまで、まだまだ長い道のりではありますが
今後とも精進して参ります!