SOU・SOUいとをかし / SOU・SOUの日常をお届け
“ニーハオ、台湾! (10)”
橋本真紀:越境するテキスタイルデザイン
SOU・SOU企画室長橋本真紀、誠品書店チームと数十回のオンラインでミーティングをし、今回SOU・SOU×誠品書店計18種類のコラボレーションを実現させました。ここまでの道のりは山あり谷あり。これらのコラボアイテム、そして毎年旅するという台湾には、橋本さんのどんな思いが宿っているのだろうか。SOU・SOU in Taiwanの裏話、橋本真紀が感じる台湾の魅力を紐解きます。
❚「SOU・SOU in Taiwan」の開催が決定するまで
「誠品書店との繋がりができたのが2005年なので、今年でちょうど15年目になります。私がSOU・SOUに入社したのも2005年で、当時からずっと担当させていただいております。なんだかご縁があるなぁと感じつつ、約4ヶ月にわたって今回のプロジェクトを進めてきました。」
とSOU・SOU日記で綴る橋本さん。
しょう 誠品書店とのつながりができてから今年で15年、今回のイベントは何か特別な理由がありますか?
橋本 台湾の誠品書店では足袋下などの小物類を中心にSOU・SOUコーナーをしっかり設けて下さいました。過去には何度かイベントの開催もお声掛け頂きましたが、対応できる状況ではありませんでした。今年の秋に「誠品生活」が東京・日本橋で日本初出店されるきっかけで、日本文化を発信するブランドとイベントをやりたいとあつくオファーして下さいました。一方、SOU・SOUも一昔前と違って、ネットショップがどんどん国際的に発展していることもあり、台湾をはじめ多くの海外のお客様が訪れて下さっています。そういう経緯から「SOU・SOU in Taiwan」の開催が決まりました。
❚台湾への思い
▲今回泊まったホテルの二軒隣に紐屋さんがあり、カラフルでレトロな紐とパールに囲まれ、店主のおばあちゃんは日本語で話しかけてくれました。
しょう 台湾は何回目ですか。
橋本 15回は行っていると思います。。
しょう 橋本さんの13年前のSOU・SOU日記を読んで以来、毎年台湾旅行記を楽しみにしています!
橋本 何度行ってもほんとうに飽きません。めっちゃ暑いけれど、実は夏に行くのが一番好きで。。
しょう 紐屋さんのおばあちゃんが「暑くてごめんね」とすまなさそうに言うほどの酷暑でしたよ。
橋本 しかし、南国の蒸し暑いなか路地でお爺ちゃんたちが暇そうにしている様子とか、夕暮れ時にさっと吹いた風はとても気持ちよかったな。。あの湿度が高いけどちょっと涼しく感じる風は、京都で仕事してたらなかなか感じられませんよね。
しょう 今でも「台湾の魅力は?」と聞かれたら「人!」と即答しますか?
橋本 はい!いつ行っても現地の人と触れ合った時のいいなぁと思う感じは全然ぶれないから。だからまた行きたくなりますね!
❚台湾限定アイテムが誕生するまで
▲オープニングトークイベント前、誠品書店のスタッフと打ち合わせの様子
しょう 4ヶ月に渡って、18種類のコラボアイテムのデザイン監修をやりましたね。
橋本 私が最初に提案したのは誠品書店にある既存のSOU・SOUコーナーをもう少し広げるくらいのイベントだったけれど、返ってきたプランが自分の想像の何倍もの規模だったからちょっとびっくりしましたね。対応できるかなと不安になりました。
しょう ところで今回の台湾限定色は橋本さんの提案ですか。
橋本 そうですね。私は最初に台湾らしい限定色のお題を出して、誠品のデザインチームに色々提案をしてもらったんです。もともと思ったのはあのショッピングバッグの配色。ちょうど向こうも「これが台湾っぽい」と提案して来られたので、今回のメインビジュアルに使おうということになりました。
▲台湾の市場のあちこちで目にするショッピングバッグの色をイメージカラーに
しょう 数あるコラボアイテムの中で一番形にしてみたかったものは?
橋本 「安全帽(ヘルメット)」と「電鍋」です!
▲日本でも人気を博する「大同電鍋」のSOU・SOU in Taiwan限定バージョン。ベースの深緑色は誠品書店のイメージカラー。「ほほえみ」は台湾のレトロな花柄のプリント配色の黄色と紫色を使用。
橋本 実は、デザイン監修の最終段階で電鍋の納期が間に合わないからドロップするかもしれないと言われました。電鍋はヘルメットと同じくらいの重要性があると思っていたので「絶対にドロップさせないで!」と伝えて、ものすごく短いスケジュールでデザインや監修を進行したのは印象に残ってます。
❚練り込んだ会場セッティングに感心
しょう 台湾に行く前にすでに、イベントの全体像を把握されていましたよね。
橋本 事前に図面でも確認していたので大体のイメージができていました。
しょう 実際にその空間に行ってみて初めに感じたことは?
橋本 地下街に入って、最初に目に入った三枚の光った看板がありましたね。
▲本の頁をイメージした電子看板。台湾限定色のほほえみが地下街を彩る。
橋本 それはよくある光った看板ではなくて「本が重なっているようなイメージ」で立たせてあって、いかにも本屋さんらしいプレゼンテーションだなぁと感心しました。立ち止まって看板を見た人は「あっ、今この地下書街でSOU・SOUのイベントがあるんだ!」と気づきます。さらに前へ進むと、壁面には鴨川をイメージした”水”のテキスタイルデザインが。それらを感じ取りながらSOU・SOUのメイン会場にたどり着きます。
しょう それら一連の流れが良かったということですね。
橋本 メージはあったけど、実際そこに行って歩いてみて「なるほど!これはお客様の気持ちを段々と盛り上げるように考えられてるなぁ!」と実感できました。
▲今回のイベントを企画された誠品書店チームのみなさんと
❚「和菓子になったテキスタイルデザイン」の再開を望む台湾のお客様
▲トークイベントで台湾のお客様の質問に答える橋本さん
しょう 台湾のお客様からの質問で一番印象的だったのは何ですか?
橋本 私が担当している”和菓子になったテキスタイルデザイン”について質問されたことですね。
「お菓子のデザインはどういう風に進めているか?」や「和菓子になったテキスタイルデザイン企画の再開予定は?」など聞かれました。「和菓子になったテキスタイルデザイン」はSOU・SOUの主力商品でもなく売上上位のものでもないけれど、このような質問をいただいたのは、お客様の満足度やブランドのプレゼンテーションとしての価値が高いからじゃないかなぁと思いました。
❚現地の暮らしに欠かせないモノを作りたい
▲台北の旧市街に入れば庶民の暮らしが息づいている
しょう またこういう機会があったら、どのような台湾限定商品を作りたいですか。
橋本 ヘルメットをもっとSOU・SOU柄で作りたいですね、絶対ニーズがあるから。それから、ドリンクホルダー!台湾の人は冷たい飲み物をよく持っている印象で、タクシーの運転手さんも常にタピオカミルクティーなどの冷たい飲み物を車内に置いているイメージがあります。台湾のこの食文化にあたって、かわいい柄の『ドリンクホルダー』が作れたらなぁと思います。
しょう 今回のイベント会場の大半を占めていたのは、正に台湾の暮らしに合わせたコラボ商品でしたね。
橋本 SOU・SOUの商品を買おうと思えばネットでご購入いただけますが、コラボグッズはそこでしか買えない。その国らしいものを作りたいですね。今回でいうと台湾では交通機関がほとんどバイクという生活背景なので”ヘルメット”。また大家族が多い台湾では必要不可欠な調理万能選手”電鍋”はそれに値すると思います。コラボが一種の文化交流とも言えます。
しょう 文化のエクスチェンジャーにつながるのが面白いですね。
橋本 ただのビジネスを超えた「大義」があります。
「今後もこういう機会があれば、京都のSOU・SOUの世界観をのまま持っていくのもいいですが、SOU・SOUのテキスタイルデザインをその国の生活に合わせたアイテムで展開をしていけたらいいですね。オリジナルの図案を新たに描き起こすのも良いと思います!」
そう語る橋本さんの表情は晴れやか。
2 件のコメント
台湾にいる友達にもお土産にSOUSOUを持って行ったりしてファンを増やしていたので、その現地の友達もこの企画をすごく喜んでいました。
私もこの期間に台湾に行きたかったです!
とても大変だったと想像いたしますが、素敵な企画ありがとうございました。
これからも日本の素敵な文化を海外へ発信してくださるのを期待しております。
anzai様
大変うれしいコメント・・・ありがとうございます!
本当にうれしいです。。。
国内でもあれほどの規模で催事をやったことがなかったので、期待と不安が入り混じる中、コツコツ準備を進めてきましたが、現地で台湾のお客様がとても喜んでくださっている様子を感じることができてとても良い経験となりました。
これからもSOU・SOUのファンでいてくださる方々のために、良い企画ができるよう努めます!