江戸時代から今も続いている伝統の布があります。その布の名前は伊勢木綿。
昔から変わらぬ製法で出来る小巾の反物は、最高の肌触りと古布のような素朴な風合いがあります。その秘密は糸（弱撚糸）にあります。強く撚りをかけずに綿（わた）に近い状態の糸を天然のでんぷんのりで固めて、昔の機械でゆっくりと織っていく。
一台の機械で一日一反（十三メートル）しか織れません。出来上がった布は洗っていくうちにのりが落ちて、糸が綿（わた）に戻ろうとするので、生地がやわらかくなっていきます。この肌触りこそが伊勢木綿の魅力なのです。

浴衣の生地としてもご使用頂ける、手ぬぐい地の中で一番上等な生地の事を特岡と呼びます。糸の太さは30/30と同じですが、少し荒めに織られています。
同じ糸でも縦糸の本数や織り方でそれぞれ生地の呼び方が変わります。

初代 田村駒治郎

創業当時の田村駒の社屋

創業明治二七年百年以上の歴史を持つ大阪船場の生地企画・加工・卸の総合メーカー。日本で初めて英国に田村駒指定のプリントを発注するなどの経歴をもつ。
二代目田村駒治郎はプロ野球セ・リーグの初代優勝チームの松竹ロビンス（現・横浜ベイスターズ）オーナーとしても有名。