『長月/初雁(はつかり)』
秋、北方から飛来してくる雁。
三角形の隊列を組んで悠然と大空を渡ってくる。
昔の人はよく空を見上げていた。
月を愛で、初雁の飛来をゆっくりとながめていた。
いつ頃からそういうことを忘れてしまったのだろうか?
桂離宮の欄間の月の字に雁を組み合わせた。
9月のお菓子は、月と初雁をイメージした水羊羹を作りました。
今回は黒糖味とお芋味の2つが楽しめます。



寒天を溶かし、羊羹で作った枠に流し込みます。下にはエアキャップを敷き、表面にゆるやかな凹凸が出来るようにしてあります。
雁形の抜き型。これで一度型を抜いた後、さらに一まわり小さくします(すごく細かい作業です)。
出来上がった雁を先ほど流し込んだ寒天の上にひとつひとつ置いていきます。 置く位置がわかるように、線の引いた紙が敷いてあります。
2色の極小雁形がたくさんできました。


一方で、2つの味の水羊羹を作ります。黒い方は黒糖を溶かし、寒天と合わせて漉したものを先ほど作った雁を置いた寒天の上に流し込みました。
      裏ごしします。

これがやまといもです。
蒸したものはこれだけでも十分に美味しい。

寒天を加え、練り合わせてざるで漉します。
そしてこちらも型へ。
型を外し、ひっくり返してエアキャップを剥がします。

独特の凹凸が現れました。
表面の凹凸が昔の板ガラスのような、味わい深い仕上がりになりました。
最後にきれいにカットして完成です。