皐月 尚武
『葉月/水音(みなおと)』
京の夏は暑い。
様々なよろけた線で水が流れる音を表してみた。
山の湧き水、川のせせらぎ…。
見る人によってイメージすることは色々あると思うが、
少しでも涼を感じて頂ければ幸いです。
8月のお菓子は、“水音”をイメージして
寒天を使って作りました。
透明感と色、つるんとした食感で涼を感じて
頂けたかと思います。

水色のよろけた線は、求めているイメージに
近づけるため試行錯誤を繰り返し、最終的
には注射器で青色の寒天を注入するという
方法で成功しました。
長久堂さんも初めての試みだったそうです。
線に“にじみ”のあるところが水中のようで
さらに涼しさを増しているようです。
寒天とお砂糖を煮立て、漉します。
 
さらに漉して冷やします。
 
型に流しいれます。型に使っている茶色い
部分はなんと羊羹です。
高さを記した簡易定規。
SOU・SOU 9月 h1.7c」と書いてあります。
熱によって台にゆがみが出ないよう、重しをしています。
冷やします。その間に青い寒天を用意します。

固まりました。
そっと型を外します。針金らしきものが見えます。
入っていた針金を1本ずつ抜きます。
これで7本の空洞ができました。
切り分けて、いよいよ注射器の登場です。
青い寒天を吸い込み、注入します。
 
最後に断面をきれいにカットして完成です。