本間と古川の染織倶楽部 /
“第十話:手捺染について”
はやいもので十回目となりました染織倶楽部、今回はSOU・SOUでメインにしております染色技術「手捺染」についてお届けいたします。
「捺染(なせん)」というのは、染料を混ぜた糊を使って生地に模様を施す技法でございます。
染料自体が防染の役割を果たしておりますので、染料がにじむことがなく細かい柄を表現することが可能でございます。
■左:東山三十六峰
■右:花鳥風月
捺染は色ごとに版が分かれており、一色ずつ染めていくことで柄を表現していきます。
例えば「うらら」を染める場合、二色ですので二つの版が必要です。
色数が増えると版も増えるので、手間も染める時間もかかります。
しかし色が重なった際の発色が美しいのが特徴でございます。
■おおらかとりどり
固まった糊の上に新たな色を乗せるので、単純に二色を混ぜた色ではなく下の色の発色が強く残ります。
捺染には職人が1版ずつ手作業で染める「手捺染」と、機械が自動で染めるオートスクリーンがございます。
■左:手捺染の様子
■右:オートスクリーンの様子
SOU・SOUの商品はほとんどが手捺染ですが、荒川風呂敷、ワコールとのコラボレーション商品はオートスクリーンで染ております。
■風呂敷(大)/暫(しばらく) 孔雀(くじゃく)
一度にたくさん生産できるのがオートスクリーンの利点でございます。
オートスクリーンにも種類があって、手捺染同様版を用いたものや、凹凸のあるロール状の型で染めるローラープリントなどがございます。
機械の利点は大量生産ができることとコストの面で有利です。
対して手捺染は職人さんが一版ずつ手作業で色を擦ってのせていくため、生産できる量には限りがございます。
余談ですが、夏は猛暑の中、冬は極寒の中作業をしなければならないため、作業場の環境はとても厳しいものがあります。
技術的には色ムラが出ないよう常に均一の力、スピードで色をのせなければいけません。
オートプリントに比べて手捺染は生地にしっかりと染料が刷り込まれるので、深い色あいを表現出来るといった特徴がございます。
人の手でしか残せない風合いが、手捺染にはございます。
皆さんも是非、その技術に触れてみてはいかがでしょうか。