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  SOU・SOU×有松鳴海絞サイトTOP板締めの可能性帽子絞りについて平成20年度新商品
 
 

 
 

 伝統とはある集団・社会・民族の中で有形・無形の遺産として受け継がれてきた思想・技術・風習・しきたり等の事柄を言います。また、それらを受け継ぐ事でもあります。つまり伝統とは遺産であり、遺産とは財産です。

 有松鳴海絞りには400年の伝統という財産があります。しかしこの財産はお金のように誰の目にも見えるものではありません。また、最先端の技術でもなければ、世界遺産にもなっていません。ですから中には価値がわからない人もいます。この伝統という無形の財産は、ある程度知的な人にしか認められない価値でもあるのだと思います。有松鳴海絞りの産地では、400年間かけて財産をつくり、その価値を高めてこられました。もしこの先500年目を迎えることが出来れば、その価値はさらに上がります。

 しかし、今のままではこの先無価値なものにもなってしまうかもしれません。思想・
技術・風習・しきたり等を次の世代に受け継ぐといくのは、今の時代特に大変なのだと思います。でもJAPANブランドプロジェクトというのは、それをやりましょうという事業です。有松鳴海絞りを含めた全国に点在する伝統を、日本の財産としてこの先も残していきましょうというプロジェクトです。この事業に関わり始めた頃は産地に技術≠ニいうものが残ればいいと思っていましたが、今は産地全体の思想・風習・しきたり等その全てが技術を残すための環境になっているのだと感じています。
逆に技術が残るという事は、その他のものもちゃんと残るという事だと思います。そう考えるとすごく難しそうな感じがするかもしれませんが、要するに今使いたくなるような日常品をつくる事だと思います。

 平成19年度のSOU・SOU×有松鳴海絞、JAPANブランドプロジェクトもこれがテーマです。

   


 有松鳴海には古くから残る街並みや祭りの山車、その他の名所があり、この街を観光する人に対する売り≠ェあります。しかし、やはりそれらは絞りの伝統があっての事です。絞り≠ェこの産地の経済を地盤から支えているという状態─これが全国のどこにもない、ここだけの独自の文化であり価値だと思います。

 名古屋には世界のトヨタがあります。今は最先端の技術がこの地方の経済を支えていると言えます。しかし400年もの長い間、地元の経済を支えてきた絞りにもかけがえのない尊さがあります。
この先も出来るだけ長く絞り技術が生きる伝統産地であり続ける事─これは有松鳴海に課せられた使命ではないでしょうか。

   
 


 有松鳴海絞りというのは日本製であろうが中国製であろうが、ものが良ければどちらでもいい─そう考えるのであれば、もうJAPANブランドプロジェクトなどはやる必要がなくなります。JAPANブランドというのは全国のいろいろな産地の技術そのものをブランド化≠オてもの作りを行うプロジェクトであって、国産というのは前提≠ナす。そして外国産が良いとか悪いとかということとは別として、消費者に対してはちゃんと生産国を明記する責任が産地企業にはあります。

 今の時代、例えば輸入した牛肉を国産と偽って販売したら、もうそれは大変なことになってしまいます。この産地ではそういう事のない様に、また、もし紛らわしい事があるとすれば今のうちに問題を解決しておかなければいけません。こういうことは一企業の問題ではなく産地全体のモラルの問題と捉えられてしまいます。
 
   


 絞り染めの良さというのは、他のあらゆる染色方法にはない大胆さと味わい、独自性にあると思います。僕が絞りのテキスタイルデザインを作る上で必要なのは、何が作りたいかを考える事ではなく、何が出来るかを知る事です。今、出来る技術を最大限に生かして図案を考える。そしてそれが暮らしの中に溶けこんでいく様なものであればいいと思います。テキスタイルデザイナーが関わるというのは、そういう事だと思います。

テキスタイルデザイナー 脇阪克二

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